不撓不屈

諦めたら人生終了

諦めたら人生終了

夏の終わり、大学四年生の拓海は就職活動に行き詰まっていた。何度も面接を受けたが、全て不採用。履歴書を送るたびに、希望が薄れていくように感じていた。友人たちは次々と内定をもらい、拓海だけが取り残されているようだった。

ある日、拓海は父親に叱られた。「いつまで無職のままでいるつもりだ？お前の将来を考えたことはあるのか？」

拓海は言葉が出なかった。自分でも何をすべきかわからなかったのだ。その夜、彼は一人で公園のベンチに座り、星空を見上げていた。

「諦めるしかないのかもしれないな...」と、拓海は呟いた。

その時、隣に座っていた老人が声をかけてきた。「若者よ、諦めるのはまだ早いぞ。」

驚いた拓海は老人に目を向けた。「でも、もうどうしたらいいかわからないんです。」

老人は微笑んで言った。「人生は諦めたら終わりだ。どんなに辛くても、前を向き続けることが大切だ。」

その言葉に、拓海は少し勇気をもらった。彼は次の日から、もう一度就職活動を再開することを決意した。しかし、思うようにはいかなかった。再び不採用の連絡が続いた。

そんなある日、拓海はふと目にしたインターネット広告で、スタートアップ企業の説明会を見つけた。大手企業ではないが、自分の力を試せる場所かもしれないと思い、参加することにした。

説明会当日、拓海は緊張しながら会場に足を運んだ。そこで出会ったのは、若くて情熱的な社長の一輝だった。一輝は、自分の夢を語り、会社のビジョンを熱心に説明していた。その姿に、拓海は心を打たれた。

「ここなら、僕も自分の力を発揮できるかもしれない。」そう思った拓海は、その場で面接を申し込んだ。

面接の日、一輝は拓海に質問を投げかけた。「君はなぜこの会社を選んだんだ？」

拓海は深呼吸して答えた。「僕は、自分の力を試したいんです。大手企業でなくても、ここでなら自分が何かを成し遂げられる気がします。」

一輝は満足げに頷いた。「いい答えだ。僕たちは挑戦する意欲を持つ人間を求めている。君もその一人だ。」

その言葉に、拓海は胸が熱くなった。数日後、彼は内定をもらい、ついに新しい一歩を踏み出すことができた。

仕事を始めてからの日々は忙しく、辛いことも多かったが、拓海は一輝や仲間たちと共に成長していった。彼は諦めずに努力し続けることで、自分の可能性を広げることができたのだ。

数年後、会社は成長し、拓海は重要なポジションに就いていた。彼はふと、あの夏の夜に出会った老人の言葉を思い出した。「人生は諦めたら終わりだ。」

拓海はその言葉を心に刻み、これからも前向きに生きていくことを誓った。どんな困難が待ち受けていようとも、諦めない限り、彼の人生はまだ終わらない。