妻と愛人と家族

愛の再確認

愛の再確認

結婚してから5年が経った。隆也と美咲は、初めて出会ったころのような情熱を失いつつあった。忙しい日常に追われ、二人の会話は日々の業務や家事のことばかりで、「好きだよ」や「愛している」という言葉はすっかり聞かれなくなっていた。

ある日、美咲は友人の結婚式に参加した。新郎が新婦に向けて熱い愛の言葉を捧げる姿を見て、美咲は昔の隆也を思い出した。彼もかつてはあんなふうに自分に愛を伝えてくれていたのに、と胸が痛んだ。

その夜、美咲は帰宅した隆也に尋ねた。「ねぇ、最近どうして『好きだよ』とか『愛してる』って言わないの？」

隆也は驚いた顔をして答えた。「そんなこと、考えたこともなかったよ。でも、愛していることに変わりはないんだ」

美咲は微笑み、手を伸ばして彼の手を握った。「それなら、ちゃんと伝えてほしいの。言葉にしないと伝わらないこともあるんだから」

その後、隆也は意識して愛の言葉を美咲に伝えるようになった。朝起きた時、仕事に出かける前、寝る前のひととき—小さな瞬間にも「好きだよ」と「愛してる」と言葉をかけるようになった。

次第に、二人の間には再び温かい雰囲気が流れ始めた。美咲は嬉しそうに微笑むようになり、隆也もそれを見て心が満たされた。

ある日の夕暮れ、美咲はキッチンで夕食を準備していた。隆也はその背後から彼女を抱きしめ、「いつもありがとう、美咲」と囁いた。美咲はその温もりに包まれ、幸せを感じた。

「私も、いつもありがとう、隆也」と、美咲は彼にキスを返した。

その夜、二人は久しぶりに一緒に映画を見て過ごした。お互いの手を握りしめながら、彼らは再び愛を再確認した。

「愛しているよ、美咲」

「私も、愛しているよ、隆也」

結婚生活が長くなっても、愛情表現を忘れないこと。二人はそれを大切にしながら、これからも共に歩んでいく決意を新たにした。