妻と愛人と家族

親孝行な娘

親孝行な娘

昔々、ある村に貧しい母娘が住んでいました。母は病気で、娘はまだ幼いながらも母の世話をする日々でした。

娘は朝早くから働き、帰りには母のために食べ物や薬を買って帰ります。その健気な姿が村中に広まり、ついにはお城の殿様の耳にも入りました。

「この娘、どうしてこんなに偉いことをしているんだろう。私も彼女に何かほうびをあげたい。誰か行って、確かめてきてくれ。」殿様は家来に命じました。

家来は早速その村へ行き、娘の評判を確かめました。そして驚くべきことに、娘の親孝行ぶりを多くの人々が称賛していました。

しかし、家来がその家をのぞいてみると、現実は想像とは違っていました。娘が白いご飯を食べているのに対し、母は粗末な黒い食事をしていたのです。そして、娘は食事の後片付けもせずに早く寝てしまいました。

家来は驚きと怒りを覚えました。「この娘、親不孝者ではないか！」と思い、急いで殿様のもとへ戻りました。

殿様も怒りを露わにし、「このような行為は許せない！明日、その娘をここへ連れてこい！」と命じました。

翌日、娘はお城に連れてこられ、殿様の前で取り調べを受けました。しかし、娘の説明は驚くべきものでした。

「私たちはとても貧しいので、白いご飯を食べることはありません。母のためには粗末な食事を用意しています。母には、粟を。わたしは近所で分けていただいたおからを食べているのです。そして、私は自分の寝具を温めて母を寝かせます。」

娘の言葉に、殿様と家来は涙を流しました。彼女の愛情と献身は、金や名声には代えられないものでした。

「このような偉業を成し遂げた娘に、私の褒美を与えよう。そして、これからも親孝行を続けなさい。」殿様はそう言って、娘に多くの贈り物を与えました。

娘と母はその後も幸せに暮らし、村人たちから尊敬されました。彼女の物語は、親孝行と愛情の大切さを教えるものとして、村に語り継がれることになりました。


その後も、娘は母親の世話を続けながら、村の人々に善行を積み重ねました。母親の健康も少しずつ良くなり、二人は笑顔で日々を過ごしていました。

ある日、村には大きな災害が訪れました。洪水が起き、多くの家や畑が水浸しになりました。村人たちは逃げ惑い、困難な状況に直面しました。

しかし、娘は決意しました。彼女は母親を安全な場所に避難させた後、村人たちの助けになろうと決意しました。彼女は何も持たず、自分の命を危険にさらしながら、流れる水の中に飛び込んでいきました。

娘は一人ひとりを助け、困っている者たちに力を貸しました。彼女の勇気と優しさは、村人たちの心に希望を与えました。

やがて洪水は収まり、村は再び元の姿を取り戻しました。娘の勇気と献身に感動した村人たちは、彼女を称える祭りを開きました。殿様もその噂を聞きつけ、彼女に再び褒美を贈りました。

娘と母はその後も幸せに暮らしました。彼女の親孝行と勇気は、村の伝説となり、後世に語り継がれることとなりました。彼女の物語は、愛と勇気の力がどれほど強いものかを示すものとして、永遠に記憶されることでしょう。