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春秋花壇

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ヨブの試練

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「ヨブの試練」

ウツの地には、誰もが知る裕福な商人、ヨブがいた。彼の名は遠くの町にも広がり、彼の豊かな家畜や立派な家、そして大勢の召し使いたちはその証だった。しかし、ヨブにとって最も大切なのは、物質的な成功ではなく、神エホバとの絆であった。ヨブは日々、神に忠実に仕え、神を畏れ、悪を避けて生きていた。彼の心は常に神に向いており、そのために彼の家族は安泰であり、事業も順調に運んでいた。

ヨブには7人の息子と3人の娘がいた。家族は仲良く、毎日を喜びと感謝に満ちた日々を過ごしていた。彼の家には豊かな食物が並び、家畜たちは肥えて、草原を駆け巡っていた。そのすべてがヨブの勤勉と誠実の成果であり、彼は心から神に感謝していた。

ある日のこと、天の神々が集まっている席で、エホバはサタンに目を留めて語りかけた。

「サタン、私に仕えるヨブを見たか?地上に彼のような者は他にいない。彼は私に忠実で、正直な人間であり、神を畏れ、悪から離れている。」

サタンは冷ややかな笑みを浮かべ、エホバに答えた。

「本当にヨブが純粋な気持ちで神を畏れているのでしょうか?彼のすべての持ち物はあなたが守っているから、彼は安心して忠実でいられるのではないですか?あなたが彼に与えた祝福があったからこそ、彼はそのように振る舞っているだけです。」

サタンの言葉には冷徹な疑念が込められていた。彼は続けて言った。

「もしあなたが彼の周りの守りを解き、彼の持ち物を奪うなら、ヨブはどうなるでしょうか。彼は神に対して忠実でいられるかどうか、試してみてください。」

エホバはしばらく静かにサタンの言葉を聞いた後、深く考えた。彼はヨブの信仰を疑うことはなかったが、サタンの言う通り、彼に試練を与えることが必要だと感じた。そして、エホバはサタンにこう言った。

「ヨブの持ち物をすべてお前の手に渡す。だが、彼自身の命には手を出すな。」

これにより、ヨブの試練が始まった。

その日の午後、ヨブの家にひとりの使者が駆け込んできた。息を切らして言った。「主君、すべての家畜が盗まれ、火が降って来て羊たちが焼かれてしまいました!」その直後、別の使者がやってきた。「すみません、主君。私たちの家畜がすべて襲われ、盗まれました。」次々に使者が報告に来た。ヨブはそのすべてを聞きながら、言葉を失った。

やがて、使者の一人が恐る恐る言った。「主君、恐ろしいことが起きました。あなたの子どもたちが集まっていた家が倒れ、全員が命を落としました。」

その瞬間、ヨブの心は打ち砕かれた。息子たち、娘たち、そして全ての持ち物が奪われてしまった。しかし、彼は涙を流すことなく、天を仰いでこう言った。

「私は母の胎から裸で出てきた。裸で帰るべきだ。エホバは与え、エホバは取る。エホバの名はほむべきかな。」

ヨブは、神の命令に従って、すべてを受け入れた。それでも、彼の心は神への信仰と忠誠を捨てることはなかった。苦しみと悲しみの中でも、彼は神に向かって祈り続けた。

その後も、ヨブの試練は続いた。彼の肉体にも病が襲い、皮膚にひどい病ができ、全身が痛みに満ちていた。彼の友人たちは彼を訪れ、苦しみの原因を探ろうとしたが、どんな理由を探しても、ヨブの信仰は揺らぐことはなかった。

そして、ヨブは言った。「私は知っている、私を救う者が生きておられることを。そして最後に、私はこの身でその顔を見ることができる。」

ヨブの信仰は、試練を通して鍛えられ、神との絆はどんな困難にも勝ることを示していた。すべてを失った後でも、ヨブは神に忠実であり続けた。それこそが、彼の信仰の真髄であった。

神はヨブの忠誠を称え、再び彼に祝福を与えた。ヨブは以前のように家畜を持ち、再び子どもたちにも恵まれ、かつての富を超える豊かさを得た。しかし、彼の心に最も大切なものは、物質的な豊かさではなく、神との揺るぎない絆であった。

ヨブの物語は、信仰と試練、神への忠誠の大切さを教えている。そして、神の計画は人間の理解を超えるものであり、その中で真実の信仰が試され、深まっていくことを示している。







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