お金持ちごっこ

春秋花壇

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変わるべきは自分

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変わるべきは自分

直樹は40歳の営業職。これまで仕事に没頭しながら生活してきたが、気づけば貯金もほとんどなく、将来の備えも皆無だった。ある日、上司から「これからの人生設計をしっかり考えてみろ」と言われ、ふと自分の生活や習慣を振り返ってみた。忙しさに追われる日々の中で、無駄遣いや衝動買いが多く、なんとなく過ごしてきた時間が積み重なっていたことに気づいた。

その日、直樹は大学時代の友人であり、成功した実業家の泰一に相談を持ちかけることにした。泰一は質素な生活を続けつつも、若い頃から着実に資産を築き上げてきた人物だ。しばらく連絡を取っていなかったが、泰一は快く時間を作ってくれ、二人は久しぶりに都内のカフェで会うことになった。

直樹は早速、焦り混じりに質問をぶつけた。

「泰一、どうしてお前はそんなに堅実にお金を貯めたり増やしたりできるんだ?俺も少しは貯金してるつもりだったんだけど、全然足りない気がしてさ。どうしたらいいか、教えてくれないか?」

泰一は直樹の話を静かに聞いてから、少し微笑みながら言った。

「直樹、まず大事なのは“お金の考え方”だけじゃなく、普段の生活や習慣をどう捉えるかなんだよ。例えば、時間の使い方や日々の行動一つ一つが、長い目で見ると大きな財産になる」

泰一の言葉に直樹は少し驚いた。資産や投資の話を期待していたが、まず「行動や習慣」というテーマから始めたことに新鮮さを感じた。

「俺が若い頃に気づいたのは、まず『無駄を減らす』ということだった」と泰一は続けた。「それはお金だけでなく、時間も同じだよ。例えば、計画もなく衝動で買い物をすることや、何となく夜更かしをしてしまうこと、要は“無意識の行動”が自分の生活にどれだけ積もっていくか、改めて見直してみたんだ」

泰一は、日々の小さな無駄遣いや生活習慣を記録することで、少しずつ意識を変えていったと説明した。直樹も無意識のうちに衝動買いや怠惰な生活に流されている自分に思い当たり、「無駄の見える化」が自分にとって必要な第一歩だと感じた。

さらに泰一は、自分をコントロールするための「ルール」を設定したと言う。

「僕の場合、毎月決まった金額を先に貯金し、残ったお金で生活するようにした。それに、衝動買いを防ぐために“欲しいものリスト”を作って、1ヶ月経っても欲しいものだけを買うことにしたんだ。そうすれば、時間もお金も少しずつ自分のペースで使えるようになる」

直樹は「欲しいものリスト」という方法に興味を持ち、自分でもやってみようと心に決めた。

泰一の話はさらに続いた。「それと、日々の生活を少しずつ改善することで、自然と余裕ができてくる。自分の行動を意識的にするだけで、浪費や無駄な出費が減るし、余った時間で新しい知識を得たり、本当に大事なことに使えるようになる」

その後、泰一は一つの「目標設定」の重要性を話し始めた。

「ただ節約するだけじゃなく、何のためにやっているかを意識することも大切だよ。例えば、直樹も将来の備えが必要と感じているなら、具体的な金額を目標に設定する。それがあれば、自分の行動や生活も無理なく変えていけるからね」

直樹はそのアドバイスに目が覚めるような気持ちになった。お金の使い方に関する話だけではなく、自分の生活や行動の「無駄」を減らし、意識的に時間とお金を使うことが、結局は資産形成の基本になるのだと初めて気づいた。

その夜、家に帰った直樹は、早速「無駄遣いリスト」を作り、日々の生活を見直すことにした。そして、欲しいものがあれば1ヶ月後に検討しようとルールを決め、さらに毎月一定額を貯蓄に回すことにした。これらは一見小さなステップだが、直樹にとっては大きな意識改革だった。

数ヶ月後、直樹は少しずつ成果を感じ始めた。無意識のうちにしていた出費が減り、生活の中で余裕が生まれた。また、余計な夜更かしをやめて、早起きして資格試験の勉強も始めた。小さな積み重ねが、少しずつ充実感と自信をもたらしてくれた。

泰一から学んだのは、お金持ちになるための「考え方」や「行動の積み重ね」が、自分の人生を豊かにする一歩だということだった。無駄を見直し、目標を持って少しずつ改善していく。その積み重ねがやがて大きな結果を生み、生活や仕事にもよい影響をもたらすのだと、直樹は実感していた。








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