縁（えにし)

じゅじゅだまでっぼう

じゅじゅだまでっぼう

9歳の涼太は、夏休みの終わりを迎えようとしていた。裏山で竹を使って水鉄砲を作ったのが先週のこと。涼太はその水鉄砲が楽しくてたまらず、毎日使って遊んでいた。しかし、彼の心にはもう一つ作りたいものがあった。それは、彼が昔から憧れていた「じゅじゅだまでっぼう」だった。

「じゅじゅだまでっぼう」とは、涼太が好きなアニメの中で登場する、魔法の力を持った棒のこと。アニメのキャラクターたちがこの棒を使って様々な冒険を繰り広げる様子に、涼太は心を奪われていた。自分もあのような棒を作りたいと思っていたが、どうやって作るかが問題だった。

「竹を使えば、じゅじゅだまでっぼうも作れるんじゃないか？」と涼太は考えた。竹の水鉄砲を作る過程で、竹がとても扱いやすいことに気付いたからだ。そこで、涼太はまた裏山に出かけることに決めた。

裏山に到着した涼太は、竹の生えている場所を探した。いつものように小さな鋸とナイフを持ってきて、竹を選んだ。涼太は竹の長さを確認し、自分が思い描くじゅじゅだまでっぼうの形を頭に浮かべながら作業を始めた。

「まずは竹の先端をきれいに整えて、魔法の杖っぽくするんだ。」涼太は一生懸命に竹を削り、形を整えていった。竹の表面を滑らかにし、長さを調整しながら、じゅじゅだまでっぼうに近づけていった。涼太の心は、作業の過程でどんどん高まっていった。

竹を削り終えた涼太は、次に竹の中を空にする作業に取り掛かった。じゅじゅだまでっぼうには、竹の中に隠された魔法のエネルギーが込められているイメージがあったので、竹の内部をきれいに掃除しなければならなかった。涼太は真剣な表情で、竹の中を丁寧に掃除していった。

「これで完成！」涼太は、竹のじゅじゅだまでっぼうを手に取り、満足げな笑みを浮かべた。彼は竹の先端に色とりどりのリボンや紐を結びつけ、装飾を施した。これで、じゅじゅだまでっぼうの見た目が、涼太が想像していたものに近づいた。

涼太は完成したじゅじゅだまでっぼうを持って家に帰ると、家族に自慢したくなった。「お母さん、お父さん、見て！じゅじゅだまでっぼうができたよ！」

お母さんは興味津々で涼太の作ったじゅじゅだまでっぼうを見て、「わあ、すごいね、涼太ちゃん！まるで本物のじゅじゅだまでっぼうみたいだね。」と感心した。

お父さんも笑いながら、「君が作ったじゅじゅだまでっぼうで、どんな冒険をするのかな？」と聞いた。涼太は目を輝かせながら、「これで魔法の冒険に出るんだ！」と答えた。

その日の午後、涼太はお友達の和樹を招いて、裏山でじゅじゅだまでっぼうを使って遊ぶことにした。和樹は涼太の作ったじゅじゅだまでっぼうを見て、「すごいね！僕もやってみたい！」と目を輝かせた。

二人は裏山で想像の世界に入り込み、じゅじゅだまでっぼうを使って「魔法の戦い」を始めた。竹の棒を振り回しながら、涼太と和樹は楽しそうに笑い合い、冒険の中で数々の「魔法の敵」を倒していった。彼らの声が山に響き渡り、夏の終わりを楽しい思い出でいっぱいにした。

夕方になり、涼太はお母さんに「今日は本当に楽しかったよ。じゅじゅだまでっぼうのおかげで、素敵な冒険ができたんだ。」と話した。

お母さんは微笑みながら、「涼太ちゃんが作ったじゅじゅだまでっぼうで、楽しい時間を過ごせたことが一番嬉しいわ。」と答えた。

涼太はその夜、自分が作ったじゅじゅだまでっぼうを見ながら、満足そうに眠りについた。竹で作ったじゅじゅだまでっぼうは、ただの遊び道具ではなく、彼にとって大切な冒険の象徴となった。