縁（えにし)

12歳 涼真の竹馬づくり

12歳 涼真の竹馬づくり

12歳の涼真（りょうま）は、夏休みの始まりに大きな計画を立てました。それは、竹馬を作ることです。涼真の住む田舎の村には、豊かな自然が広がっており、彼はいつも野山を駆け回るのが大好きでした。しかし、この夏休みは特別でした。彼の祖父が「昔の遊びを教えてやる」と言ってくれたのです。

「竹馬って何？」と涼真は祖父に尋ねました。

「竹馬は竹で作った足長の道具だよ。それに乗って歩くと、まるで大人になったみたいに高いところから景色が見えるんだ」と祖父は答えました。

涼真はその話に興味津々でした。竹馬に乗れば、自分の目線が変わり、いつもと違う世界が見えるかもしれない。それに、自分で作ることができるという挑戦も魅力的でした。

次の日、涼真と祖父は竹林に向かいました。祖父は大きな竹を選び、ノコギリで丁寧に切り倒しました。その後、二人で竹を家に運びました。

「さて、これからが本番だ。まずは竹を削って滑らかにしよう」と祖父が言いました。

涼真は祖父の指示に従って、竹を削り始めました。削る作業は思ったよりも難しく、手が痛くなりましたが、祖父の励ましで何とか続けることができました。竹の表面が滑らかになると、次は竹馬の足部分を作りました。祖父は細かく説明しながら、竹を適切な長さに切り、足場を取り付けました。

「ここに足を乗せるんだ。最初は難しいかもしれないけど、練習すれば必ず上手になるよ」と祖父は優しく言いました。

涼真は出来上がった竹馬を見て、胸が高鳴りました。初めての挑戦にワクワクしながら、竹馬に乗る練習を始めました。しかし、最初の数回はバランスが取れず、何度も転んでしまいました。それでも、涼真は諦めませんでした。

「大丈夫、涼真。コツを掴めば、すぐに上手くなるよ」と祖父が励ましました。

毎日、涼真は竹馬に乗る練習をしました。朝早くから夕方まで、何度も転びながらも少しずつ上達していきました。そして、ある日ついに、涼真は竹馬に乗ってスムーズに歩けるようになりました。

「やったー！見て、じいちゃん！」涼真は嬉しそうに叫びました。

祖父も大きくうなずき、「すごいぞ、涼真！お前は本当に頑張ったな」と褒めてくれました。

竹馬に乗れるようになった涼真は、村中を竹馬で歩き回りました。竹馬に乗ることで、彼はいつもと違う景色を見ることができ、まるで新しい世界に足を踏み入れたような気分でした。村の友達も涼真の竹馬に興味を持ち、彼に乗り方を教えてほしいと頼みました。

涼真は友達にも竹馬の作り方と乗り方を教えることにしました。彼らは一緒に竹林に行き、新しい竹を選びました。涼真は祖父から教わった通りに友達に教え、みんなで竹馬を作りました。涼真の家の庭は、竹馬に乗る練習をする子供たちで賑わうようになりました。

夏休みが終わる頃、涼真は竹馬づくりを通じて大切なことを学びました。それは、何かを成し遂げるためには努力と忍耐が必要であり、仲間と一緒に楽しむことでさらに価値が増すということでした。祖父との絆も深まり、友達との新しい思い出もたくさんできました。

涼真はその後も竹馬に乗り続け、ますます上手になっていきました。そして、彼の竹馬は村中で有名になり、涼真自身も竹馬の名手として知られるようになりました。涼真の挑戦はまだまだ続きます。彼は次の目標に向かって、新しい冒険を始めることでしょう。

エントリー作品として、12歳の涼真の竹馬づくりの物語は、読者に努力と友情の大切さを伝える心温まるストーリーです。涼真が挑戦を通じて成長し、新しい世界を見つける姿は、アルファポリスの「第2回きずな児童書大賞」にふさわしい作品です。