縁（えにし)

10歳の遥

10歳の遥

10歳の遥は、小さな山村に住む明るく元気な女の子だった。村には大きな川が流れ、その川辺で遊ぶのが遥の一番の楽しみだった。春になると桜が咲き乱れ、夏には蛍が舞い、秋には紅葉が美しく、冬には真っ白な雪が積もる。その四季折々の風景が、遥の心を豊かにしてくれた。

ある日、遥は川辺で新しい友達を見つけた。その友達の名前はタカシ、10歳の男の子で、都会からこの村に引っ越してきたばかりだった。タカシは最初、村の生活に馴染めずにいたが、遥の明るさと優しさに触れ、次第に心を開いていった。

「タカシ、こっちに来て！見て、川の中に小さな魚がいるよ！」遥は川辺でタカシを呼び寄せた。

「本当だ、すごいね！」タカシは目を輝かせて言った。

遥とタカシは一緒に川で遊び、魚を追いかけたり、石を投げて水切りをしたりして過ごした。その日から、二人は毎日のように川辺で遊び、親友になった。

ある日、遥の家族が村の古い写真を見せてくれた。写真には、遥の祖父母やその友人たちが写っていた。その中に、タカシのおばあさんも写っていたことに気づいた。

「タカシ、見て！これ、あなたのおばあさんじゃない？」遥は写真を見せながら言った。

「本当だ！おばあさんだ！」タカシは驚きと喜びの表情を見せた。

遥とタカシは、その写真を見ながら、二人のおばあさんたちがどれだけ親しい友人だったかを知ることができた。彼らは、遥の祖父母がタカシのおばあさんと共に過ごした楽しい思い出話を聞くことに夢中になった。

その後、遥とタカシは村の歴史や伝統についてもっと知りたいと思うようになった。二人は村の古い神社やお寺を訪れ、お年寄りたちから昔話を聞いたり、伝統的な祭りに参加したりして、村の文化を学んだ。

ある日、二人は村の古い橋の下で不思議な石を見つけた。その石には、古い文字が刻まれていた。

「これは何だろう？」タカシは興味津々で石を見つめた。

「おじいちゃんに聞いてみようよ！」遥は提案した。

二人は石を持って遥のおじいちゃんのところに行き、その石の謎を解いてもらうことにした。おじいちゃんはその石を見て、しばらく考え込んだ後、にっこりと笑った。

「これはね、昔の人たちがこの村に幸せと繁栄を願って刻んだものだよ。」おじいちゃんは優しく説明した。「この石は、村の宝物なんだ。」

遥とタカシは、その石が村の歴史と深い絆を象徴していることを知り、感動した。彼らはその石を大切にし、村のみんなにその石の話を伝えることにした。

季節が巡り、村にはまた新しい年がやってきた。遥とタカシは、村の伝統を守りながら、友達や家族との絆を深めていった。

ある日のこと、遥とタカシは村の大きな祭りに参加した。祭りでは、村の人たちが一堂に会し、笑顔が溢れていた。二人は、その祭りの中で、自分たちがこの村の一部であり、村の歴史と未来をつなぐ存在であることを実感した。

「タカシ、この村に来てよかったね。」遥は笑顔で言った。

「うん、遥のおかげで僕もこの村が大好きになったよ。」タカシも笑顔で応えた。

二人は手を取り合い、村の未来に向けて力強く歩み始めた。彼らは、これからもずっと友達であり続け、村の絆を大切にしながら成長していくのだろう。

遥とタカシの物語は、村の人々にとっても大切な思い出となり、次の世代に語り継がれていった。そして、彼らのように絆を大切にし、未来を築いていく子供たちが、村の明るい未来を支えていくのだと信じられていた。

エントリー作品として、10歳の遥とタカシの物語は、読者に心温まる感動を届けることでしょう。村の絆と友情の大切さを描いたこの物語は、アルファポリスの「第2回きずな児童書大賞」にふさわしい作品です。