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春秋花壇

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魔法のキャンディ屋さん

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『魔法のキャンディ屋さん』

街の小道の一番奥に、ひっそりと佇んでいる小さなキャンディ屋があった。外観はとても普通の古い洋館のようで、白い壁にくすんだレンガの煙突、窓には優しいレースのカーテンが揺れている。看板には手書きの文字で『甘い夢の店へようこそ』と書かれている。そのキャンディ屋は、普通の人には見えないらしい。

見えた人間は、大抵その店の常連になるのだった。

ある日、主人公のリリィは、ふと迷い込んだ小道の先にあるそのキャンディ屋を見つけた。都会での忙しい日々に疲れていたリリィは、道を間違えたつもりだった。だが、目の前には美しい扉が立ちはだかり、どこか異世界への入口のような雰囲気を漂わせていた。

「なんだか面白そうな店……」

興味本位で、リリィは扉をノックした。

扉がゆっくりと開き、現れたのはふわりと漂う甘い匂いと笑顔が素敵な女性。彼女の髪はカラフルな飴のようにピンクとオレンジに輝いていた。

「いらっしゃいませ、お客様！ようこそ、魔法のキャンディ屋へ！」

その女性が明るい声で歓迎の言葉を口にした。

「魔法のキャンディ？」リリィはその言葉に興味をそそられた。「どういうこと？」

女性は楽しそうに笑った。

「さあ、それは食べてみてのお楽しみですわ！」

リリィの心はすぐに踊った。何か普通じゃないキャンディがあるなら試してみたい。

「お好きな味を選んでください。フレーバーはなんでもありますよ。お砂糖の海、甘い森、夜の星の味……」

女性の言葉にリリィの瞳が輝く。

「じゃあ……夜の星の味！」

「承知いたしました！」女性が手を振ると、店の奥から魔法のようにカラフルなキャンディが出てきた。色とりどりの青と紫のキャンディがキラキラと光りながら、カウンターの上に並んだ。

「こちらでございます！」

リリィは迷わずそのキャンディを手に取った。

「では、いただきます……！」

キャンディを口に入れた瞬間。

「…え？」

甘く、ふわりとした風味が口の中いっぱいに広がった。それは単なる甘さではなく、まるで夜空のような、星屑のような、どこか神秘的な味わいだった。

「これ……美味しい！」

リリィは目を輝かせた。

「でしょう？魔法のキャンディは、食べた瞬間、気持ちがふわっと軽くなるんです。さあ、どうぞ、たくさんお召し上がりください」

彼女が言いながら、キャンディを次々とリリィの手元に置いていく。

リリィはためらいなく口に運んだ。ひとつ、またひとつとキャンディを味わうと、不思議な感覚がリリィを包み込んだ。心が軽くなり、笑顔がこぼれ、身体がスキップするような楽しさに満ちた。

「これ、本当に魔法みたい……」

女性はにっこり笑った。

「そうですわ。魔法のキャンディは、お客様の心が疲れたときや、楽しいことを求めているときに、心の奥深くから願いを叶えるお手伝いをするんです」

リリィは驚きながら目を見開いた。

「願いを叶える？」

「ええ。もちろん、ちょっとした魔法ですから、大それたことはできません。でも、小さな希望や、ちょっとした冒険を手助けすることならできますわ」

リリィは一瞬考え込んだ。

「じゃあ……何か、何か面白いことをしてみたいな……」

その言葉を聞いて、女性の瞳がキラリと輝いた。

「面白いことですか？それなら、私と一緒に魔法のキャンディツアーに行ってみませんか？」

リリィは目を丸くした。

「魔法のキャンディツアー？」

「はい！このキャンディを食べると、魔法の世界に飛び込めるんです。星の森、甘い雲、願いの海……何が待っているかは、お客様次第です！」

リリィは迷った。普段ならきっと、「そんなの夢物語」と笑い飛ばすところだろう。しかし、今の彼女は、この甘い誘惑に心が踊っていた。

「行ってみる！」

「それでは、行きましょう！」

彼女が手を差し出し、リリィは笑顔でその手を握る。

「さあ、魔法の旅へ！」

女性の手がふわりと揺れると、キャンディが青い光を放ち始めた。リリィの視界がゆっくりと揺らぎ、世界が変わっていく……。

次の瞬間、彼女は空を舞う星たちと共に、ふわりとした甘い雲に包まれていた。まるで別世界のように美しい場所。

「ここが魔法のキャンディの世界……？」

目の前には、雲の上でキラキラと輝く星々、甘い風がふわりと漂う美しい森が広がっていた。リリィはその景色に目を見張った。

「これが魔法の世界？」

「ええ。ここでは何でも自由に遊べますよ。あなたの願いひとつひとつが、魔法のキャンディが叶えてくれます」

その言葉に、リリィの心が弾んだ。

「じゃあ、私の願い、叶えてみせるわ！」

リリィは笑い声をあげ、キャンディツアーの冒険が始まった。

どんな願いが叶うのか？甘い風景の中での不思議な旅は、リリィの心をもっと輝かせる。

「さあ、次は何が待っているの？」

彼女の瞳には、期待がいっぱいに映っていた。

魔法のキャンディ屋さんの扉は、いつでも、楽しい夢の入口。

リリィの冒険は、これからもっと楽しくなる――。

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