「俺は小説家になる」と申しております

「再生」

「再生」

シーツを取り換え、ベッドを整える。長い間放置されていた部屋は、少しずつ心地よい空間に変わりつつある。古いシーツを取り外し、清潔なシーツを新たに掛ける。部屋に漂っていた薄いカビ臭や古びた匂いが少しずつ消えていくのを感じる。ベッドを整え、ふかふかとした感触に仕上げることで、心も安らいでいくような気がする。

消臭剤を一吹きし、部屋の隅々まで心地よい香りを広げる。匂いの変化は小さなことかもしれないが、自分の生活に少しずつ変化をもたらす大切な一歩だと感じている。これからは、自分のために、そして自分の生活のために、小さなことから整えていこうと決めた。

その後、YouTubeで「ひぐらしの音」を検索し、心地よい自然の音を流す。ひぐらしの音は、深い森の中で涼しげに響く夏の風物詩であり、その音色には癒しの効果があるとされている。部屋に流れるその音は、心の中のざわめきや不安を少しずつ鎮め、リラックスさせてくれる。

ベッドに座りながら、ひぐらしの音に耳を傾ける。その音の中で、僕は小さな安心感を見つける。自然の音に包まれていると、自分が大丈夫であること、今後の生活もきっと良い方向に進むだろうという気持ちが強くなるのだ。

「ねー、僕大丈夫だよね？」と、ひとり言を呟く。自分に問いかけるように、心の中で不安や疑念を打ち消そうとしている。今までの生活とは大きく違う変化の中で、時には不安になることもあるけれど、その不安を受け入れながらも、一歩一歩前進していこうとしている。

「大丈夫だよ、自分」と、ひぐらしの音を聞きながら、自分自身を励ます。過去の自分に別れを告げ、新たな自分を迎え入れるために、少しずつでも前進することを忘れないようにしよう。部屋が整い、心が少しずつ落ち着いていく中で、自分の未来に希望を抱きながら、新しい生活のスタートを切る準備が整ってきた。