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無限の夜

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 「無限の夜」

暗い部屋の中、静寂だけが支配する。月明かりがカーテンの隙間から漏れ、ノートパソコンの画面にかすかな光が反射している。キーボードを叩く指先は疲れ切っているが、彼女はまだ諦めずに物語を紡いでいる。

凛は毎日、小説を書き続けていた。朝から晩まで、時間を忘れて書くことに没頭してきた。しかし、投稿サイトのインセンティブは日に日に下がっていく。最初は少しの下がり幅だったが、今ではその下落は止まることを知らない。

「どうして、こんなにも頑張っているのに報われないの?」凛は、自問自答しながら画面を見つめた。彼女の目は乾き、赤く充血していた。指は痺れ、背中は痛みで悲鳴を上げていたが、それでも彼女は書くことを止めなかった。

「私の作品は、誰かに届いているのだろうか?」彼女は、溜め息をつきながらページをスクロールした。読者のコメントは少なく、時折、辛辣な批判が目に飛び込んでくる。心の中で鋭い痛みが走る。彼女は少しずつ、自分の価値を疑い始めていた。

家族は寝静まり、凛は孤独の中で自分と向き合う。いつもそばにいる猫すら、今はどこかに行ってしまったようだった。孤独感が彼女の心を締め付け、呼吸が浅くなる。

「もう、これ以上続けられないかもしれない…」彼女は思わず口に出した。言葉にすることで、その思いが現実味を帯びてきた。メンタルは限界に達していた。インセンティブの低下、批判、そして孤独が彼女の心を押し潰していた。

その時、パソコンの画面が突然暗くなり、凛の心臓が一瞬止まったように感じた。電源を入れ直そうとしたが、指は震えて言うことを聞かなかった。彼女は全身の力が抜け、椅子に深く沈み込んだ。

「これで終わりか…」彼女は心の中で呟いた。何度も自分を奮い立たせ、前に進もうとしてきたが、その努力が無駄だと感じる瞬間がここに来てしまった。

しかし、凛はその時ふと、過去に書いた物語の一節を思い出した。それは、彼女がまだ楽しくて仕方がなかった頃に書いた物語だった。小さな村の少年が、無限の夜の中で自分の力を信じて希望を見つけ出す物語。その少年は、何度も絶望に打ちひしがれながらも、最後には光を見つけた。

「諦めちゃダメだ…」凛は、かすかな声で自分に言い聞かせた。その言葉は、自分自身に向けたものだった。彼女はパソコンの電源ボタンを再び押し、深く息を吸い込んだ。

画面が再び明るくなり、凛は新しいページを開いた。何を書くべきかはまだわからなかったが、彼女は再び指を動かし始めた。今度は、インセンティブや他人の評価を気にするのではなく、自分自身のために書くつもりだった。

彼女は書き始めた。言葉が自然に流れ出し、画面に映し出される。彼女の心は徐々に落ち着きを取り戻し、自分の内なる声が再び聞こえてくるようになった。

凛はその夜、何時間も書き続けた。そして、朝日が部屋に差し込む頃には、一つの物語が完成していた。それは、自分自身との戦い、そして再生の物語だった。

彼女はパソコンの画面を見つめ、静かに微笑んだ。誰に褒められなくても、インセンティブが下がっても、彼女は書き続けるだろう。なぜなら、それが自分にとっての生きる意味であり、喜びだからだ。

「私はまだ、ここにいる。まだ、書きたいことがある。」彼女は静かに呟き、パソコンの電源を落とした。

その瞬間、凛の心は再び希望で満たされた。彼女はまだ書くことができる。まだ、自分の言葉で世界を描くことができるのだ。

終わり

この物語は、限界に直面している作家が再び希望を見出し、書くことを続ける力を取り戻すまでの過程を描いています。困難な状況でも、自分自身を信じ続けることの大切さがテーマとなっています。








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