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「45年も帰っていない実家に行ってみよう。」2

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「45年も帰っていない実家に行ってみよう。」2

その日から、私は毎週末、実家に通うようになった。手に馴染んだ工具を持ち、錆びた扉を直し、埃を払う。廃材を処分し、少しずつ家が息を吹き返していく様子を見ながら、心が穏やかになっていくのを感じた。

近所の人々も私のことを覚えていて、手を貸してくれた。昔、よく遊んだ友人たちも訪ねてきて、庭の手入れを手伝ってくれた。いつの間にか、家は再び人々の集まる場所になっていた。庭でバーベキューをしたり、縁側でお茶を飲んだりするうちに、昔のような笑い声が絶えない場所になっていった。

ある日、母の古い日記を見つけた。埃を払い、ページをめくると、そこには家族との日々が綴られていた。私が生まれた時の喜び、父との思い出、そして私が家を出た後のことも書かれていた。

「今日は息子の帰りを待っていたけど、来なかった。いつか、また会える日を夢見て…」

母の日記を読み進めるうちに、胸が締め付けられるような気持ちになった。もっと早く帰ってきていれば…そんな後悔が胸をよぎる。しかし、同時に母の温かい思いが伝わり、涙が溢れた。

秋が深まり、庭の木々が赤や黄色に染まる頃、私は思い切って大掃除を決行した。友人たちや近所の人々の協力を得て、家全体を綺麗にした。壁を塗り替え、床を磨き、家具を修復し、まるで新築のように蘇った家を見て、みんなで拍手を送った。

「これからはこの家を、またみんなの集まる場所にしよう。」

私の言葉に、友人たちも笑顔で頷いた。家族の思い出を大切にしながら、新しい思い出を積み重ねていこうと心に決めた。

クリスマスが近づくと、友人たちと一緒に大きなツリーを飾った。家の中がキラキラと輝き、暖かい光に包まれた。誰も住んでいなかった寂しい家が、再び温かい笑い声で満ち溢れる場所になったのだ。

クリスマスイブの夜、家の中にはたくさんの人々が集まり、楽しいひと時を過ごしていた。子供たちは走り回り、大人たちは昔話に花を咲かせる。そんな中、私はひとり、家の中を見渡しながら、亡き両親のことを思っていた。

「お父さん、お母さん、見てくれていますか?この家は、またみんなの笑顔で溢れていますよ。」

ふと、リビングルームの片隅に立っている両親の写真に目をやると、そこには微笑む二人の姿があった。心の中で「ありがとう」と呟き、温かい気持ちに包まれた。

年が明け、新しい生活が始まった。毎週末、実家に通いながら、家族や友人たちと共に過ごす時間が増えた。かつての思い出を大切にしながら、新しい未来を築いていく。そんな日々の中で、私は再び家族の愛と絆の強さを実感していた。

そして、いつの日か、自分の子供たちや孫たちにも、この家を守り続けていく大切さを伝えたいと思った。家族の歴史が詰まったこの場所が、これからも永遠に続いていくようにと願いながら。









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