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朝焼けに染まる、見知らぬ部屋

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朝焼けに染まる、見知らぬ部屋

朝日が差し込む部屋で、涼子(りょうこ)は目を覚ました。いつもと違う、柔らかい感触のベッドに、少し戸惑いを感じる。窓の外を眺めてみると、見覚えのない街並みが広がっている。

「ここはどこだ?…まさか…」

恐る恐るベッドから起き上がり、鏡に向き合う。鏡に映ったのは、見知らぬ少女の姿だった。涼子ではない、明らかに若い、知らない顔。長い髪をツインテールに結んでおり、制服姿をしている。

「夢?…いや、夢じゃない…」

涼子はパニックに陥りそうになる。昨晩までの記憶を辿ろうとするが、途切れ途切れで、何も思い出せない。

「どうすれば…誰かに助けを求めなきゃ…」

涼子は部屋を飛び出すと、廊下に出た。木造の古い家屋、薄暗い照明、見慣れない置物。全てが不気味に感じられる。

「誰かいないの?!」

涼子は声を張り上げ、助けを求めた。しかし、誰も答えてくれない。

階段を降りて、リビングに向かう。そこには、朝食の用意がされていた。テーブルには、トースト、目玉焼き、サラダ、そして牛乳が置かれている。

「誰かが用意してくれたの?…でも、誰?」

涼子は恐る恐る朝食に手を伸ばす。一口食べると、懐かしい味が口いっぱいに広がる。

「これは…私の母が作っていた味…」

涼子は涙を堪えることができなかった。母は数年前に亡くなっており、もう二度とこの味を味わえないと思っていた。しかし、目の前にある朝食は、確かに母の愛情が込められたものである。

その瞬間、涼子は理解した。自分が女子高生になったこと、見知らぬ場所に迷い込んだこと、全てが夢ではないことを。

「私は…涼子じゃない…誰なの…?…一体、何が起こったの…?…」

涼子は混乱しながらも、朝食を食べる。そして、決意する。

「まずは、自分が誰なのか、そして、ここにどうなったのかを探さなきゃ…」

涼子は、見知らぬ街へと一歩踏み出す。朝日が昇る中、涼子の新たな人生が始まる。

1000文字小説の終わり

あとがき

この小説は、突然女子高生になってしまった主人公の物語です。主人公は、自分が誰なのか、そして、なぜこのような状況に陥ったのかを探る旅に出ます。

この旅を通して、主人公は様々な人と出会い、様々な経験をすることになります。そして、自分自身について、そして人生について、様々なことを学んでいくのです。

この小説は、読者に、自分自身の人生について改めて考えさせてくれる作品です。
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