「俺は小説家になる」と申しております

もしも息子がサイコパスだったら？

もしも息子がサイコパスだったら？
10歳の息子、陽太がサイコパスかもしれない。そんな疑念が頭をよぎったのは、彼がまだ3歳の頃だった。

保育園に通っていた陽太の保母さんから、「陽太君はお友達をぶって泣かせます。どうしてぶったの？と聞くと、好きだからと答えるのです。何のことやらわかりません」という連絡が入った。

当時、仕事で忙しかった私は、「何言ってんだか、男の子だもん」と、気にも留めなかった。

だって、陽太はとっても優しい子で、私が泣いていると「ちゃーちゃん、僕が幸せにするからね」って、ティッシュで涙をぬぐってくれていた。

5歳の頃に、陽太は近所の猫を殺した。首輪も何もついていない野良猫だったとはいえ、まだ幼い子供にとって残酷すぎる行為だった。

私は陽太を問い詰めた。「どうしてそんなことをしたの？」

陽太は目を伏せて、こう答えた。「だって、猫が邪魔だったから。」

その答えに、私は背筋が凍るような恐怖を感じた。普通の子なら、「猫が可愛そうだったから」とか、「殺しちゃいけないって知ってたから」と答えるはずだ。しかし、陽太には罪悪感や後悔の念が全く見られなかった。

その後も、陽太は動物を傷つけることが何度かあった。また、嘘をついたり、盗んだりすることも頻繁に起こるようになった。

アリの巣に熱湯を入れたり、友達と取っ組み合いのけんかをしたり。

私は、陽太を病院に連れて行った。医師の診断結果は、サイコパスの可能性が高いとのことだった。

サイコパスとは、共感能力や罪悪感がない人格障害の一種だ。サイコパスは、周囲の人を巧みに操り、自分の目的のためなら手段を選ばない。

陽太がサイコパスだとしたら、将来どうなるのか？人を傷つけたり、犯罪を起こしたりするのではないか？

私は、恐怖と不安で押しつぶされそうになった。しかし、そんな時でも、私は母親である。陽太を愛し、守らなければいけない。

私は、陽太と向き合うことを決意した。

まず、私は陽太にサイコパスについて説明した。陽太は自分がサイコパスかもしれないことを理解し、最初は戸惑っていた。しかし、次第に自分の特性を受け入れ始めた。

そして、私は陽太にルールを教えた。人を傷つけてはいけないこと、嘘をついたり盗んだりしてはいけないこと。陽太は最初は抵抗したが、徐々にルールを守るようになっていった。

また、私は陽太の共感能力を育てるために、様々な活動に取り組んだ。老人ホームに一緒にボランティア活動に参加したり、絵本を読んだり、映画を見たり。カブスカウトやボーイスカウトにも入隊した。

陽太は少しずつ、他人の気持ちに理解を示せるようになっていった。

もちろん、道のりは平坦ではない。陽太がルールを破ったり、人を傷つけたりすることもある。そんな時は、私は厳しく叱り、正しい道へと導く。

私は、陽太がいつか社会に適応し、自分らしく生きていけるように、これからも努力し続ける。

数年後
陽太は、高校卒業後、大学に進学した。大学では、心理学を専攻している。

陽太は、自分の特性を研究し、サイコパスについて理解を深めている。そして、将来的には、サイコパスの治療に携わりたいと考えている。

陽太は、今でも時々、ルールを破ったり、人を傷つけたりすることがある。しかし、以前よりは頻度が減り、反省する姿も見られるようになった。

私は、陽太が成長していく姿を見るのが、とても嬉しい。

そして、いつの間にか、私は陽太がサイコパスであることを受け入れるようになっていた。陽太は、サイコパスであっても、かけがえのない息子だ。

陽太の将来
陽太の将来は、まだわからない。しかし、私は心配していない。陽太には、高い知性と分析力がある。そして、自分の特性を克服しようと努力している。

陽太は、きっと自分の人生を切り開いていけるだろう。

最後に
もしも、あなたの息子がサイコパスだったら？

それは、想像を絶するような恐怖と絶望かもしれません。しかし、どうか諦めないでください。

サイコパスは、治療や教育によって改善することができます。

親御さんたちは、お子さんと向き合い、正しい道へと導いてあげてください。

そして、社会全体でサイコパスへの理解を深め、彼らが生きやすい環境を作っていくことが大切です。