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諸葛孔明と紫の花

諸葛孔明と紫の花

春風吹き渡る蜀の地。南蛮征伐を前に、諸葛孔明は兵士たちの士気を高めるため、陣営の周りに花を植えることを命じた。孔明自ら選んだ花は、薄紫色の可憐な花、オオアラセイトウ、別名ショカツサイ、むらさきはななと呼ばれる花だった。

大根の花を紫に染めたようなこの花は、桜や菜の花と彩がよい。

「この花はつつしみ深く、控えめな姿をしている。しかしながら、その生命力は強く、どんな土地でもたくましく育つ。まさに我ら兵士の姿そのものだ。」

孔明の言葉に、兵士たちは静かに頷いた。オオアラセイトウの花言葉は「つつしみ」「遠慮」「謙虚」。派手な色や香りを持たないこの花は、孔明の理想とする兵士像を体現していた。

オオアラセイトウには、もう一つの伝説があった。それは、孔明が南蛮征伐の際に、兵士たちの食糧不足に悩まされていた時、この花を食用として栽培し、飢えをしのいだというもの。

孔明は、オオアラセイトウが持つ強さと謙虚さ、そして生命力に深く心を打たれ、陣営の花として選んだのだ。

兵士たちは、孔明の言葉を胸に、オオアラセイトウの花を大切に育てた。厳しい戦の日々の中、紫色の花たちは兵士たちの心を癒し、勇気を与え続けた。

そしてついに、南蛮征伐は勝利に終わった。孔明は、勝利の宴で兵士たちにこう語りかけた。

「今回の勝利は、皆の努力の賜物です。そして、このオオアラセイトウの花にも感謝しなければなりません。この花は、私たちに強さと謙虚さ、そして生命力の大切さを教えてくれました。」

兵士たちは、孔明の言葉に深く感動し、オオアラセイトウの花を手に、喜びを分かち合った。

戦後、オオアラセイトウは蜀の地で広く栽培されるようになり、人々は「諸葛孔明の花」と呼んで親しんだ。

薄紫色の花は、今日も静かに風に揺れ、孔明の偉業と兵士たちの勇敢さを語り継いでいる。