「俺は小説家になる」と申しております

ユニバース25 限りなく広がる大地

薄暗い照明が反射する金属製の壁。そこには、かつて「ユニバース25」と呼ばれていた25平方メートルの区画があった。しかし、今ここは存在しない。

ある日、突如として壁が消え、広大な大地が現れた。眼前に広がるのは、見渡す限りの草原と、遠くに見える雄大な山々。かつての閉鎖空間とは全く異なる、自由と可能性に満ちた世界だった。

困惑と不安を抱えながらも、生き残ったマウスたちは、新たな世界へと歩き出した。

リーダー格のクロは、真っ先に草原を駆け出した。彼の後を追いかけるように、他のマウスたちもそれぞれの道を歩み始める。

草原には、様々な動物たちが住んでいた。ウサギ、リス、鳥…かつてユニバース25では見ることができなかった生き物たちだ。

最初は警戒していたマウスたちも、次第に好奇心を抑えきれなくなり、他の動物たちと交流を始めた。

ウサギから草の食べ方を学び、リスから木登りの技術を教わった。鳥のさえずりを聞きながら、夜空の星を眺めた。

ユニバース25では味わえなかった、自然の美しさを肌で感じた。

しかし、楽園は永遠に続くわけではない。

ある日、巨大な影が草原を覆い尽くした。それは、空から舞い降りたタカだった。

タカは容赦なくマウスたちを襲い始めた。逃げ惑うマウスたち。これまで経験したことのない恐怖に、多くの命が失われた。

クロは、仲間を守るために立ち上がった。彼はタカに突進し、必死に戦った。

激しい戦いの末、クロはタカを撃退することに成功した。しかし、彼は致命傷を負っていた。

仲間たちは、クロの勇敢さを称えた。そして、彼の遺志を受け継ぎ、新たな生活を築くことを決意した。

彼らは協力して、木の実や果実を集め、安全な住処を造った。

そして、子供たちに、ユニバース25での過酷な経験と、この広大な大地での希望に満ちた生活について語り継いだ。

ユニバース25は、もう存在しない。しかし、そこで培われた強さと知恵、そして希望は、彼らの心の中に生き続けている。

限りなく広がる大地で、マウスたちは新たな物語を紡ぎ始めていく。