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独居老人のつぶやき 7 ざつ

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「やることなすこと雑なんだよな、まったく」

俺は怒っている。

リンゴの皮をむいて、4つぎりに切って食べようとしたらねぎ臭かったからだ。

リンゴだと思って口に入れたらねぎ臭かった。

みかんだと思って口に入れたら、魚臭かった。

コーヒーだと思って口に入れたらだし醤油だった。

数えたらまだまだ出てきそう。

「はぁー?」

要するにだ。

丁寧に使ったら片づける。

をしないからこんなことになるのだ。

衝動的でいい加減で、反省してもすぐに同じ過ちを犯す。

そんな自分が今日は許せない。

いつも以上に足が痛くて、苦痛の中のたうち回っている。

少しだけ、痛みが和らいだから「医者いらず」といわれるリンゴでも食べようかと思ったのに……。

こんな時、読者諸君ならどうするのかな?

下手な考え、休むに似たりで梅酒でも飲んで寝ちゃおうか。

ほんとは散歩に行ければいいんだけど、ほんとに足が痛くて今日は外に出る元気もない。

時折、自分の発達特性に死にたくなる。

今は、定年退職したからまだいいけど。

ある程度の役職についているのに、じっと座っていることが困難だったり。

遅刻や忘れ物がどんなに良い準備をしていても治らなかったりすると、

「返事はいいんだけどな~」

と、上司から言われて、まるでわたしがちゃんと聞いてないような

馬耳東風と受け取られるのがすごく悲しい。

何とか契約だけ取っていればどうにかなる会社員時代と今は生活のリズムも

やらなきゃいけなことも生きる意味も人間関係も何もかも違う。

今は、地味で自分をほめることもできないような、「に・ち・じょ・う」

自己肯定感はだださがり。

承認欲求も満たされない。

うじうじ愚痴をこぼすしかない自分に『安楽死を』


現在、10カ国以上の国・地域で自殺ほう助が認められている。

積極的安楽死が合法化されているのは

オランダ、ルクセンブルク、ベルギー、カナダ、コロンビア、スペインなどだ。

昨日、ALS嘱託殺人罪の医師の記事が新聞に載っていた。

これほどの痛みが続くなら、

「天命を全うするのが、真のクリスチャンなんだろうけど、ごめんなさい。お願いします」

と、言いたくなってしまう。

布団の上で痛みのために転げまわる。

叫びそうになって慌てて、口に布団を加える。

洗濯を干すのも、食事を作るのもくたくたになる。

「痛みだけならな~」

まだ自分を許せるんだけど。

ペテロのことを思い出し、何とか自分を許そうと努める。

何度も何度も失敗をして、それでもイエスから許されて

会衆を任された人。

彼のことをもっと学び、祈りのもとに黙想をして

新しい人格を身に着けていくしかないよね。

答えは解っているのに、自分と折り合いをつけられない。

わたしたちの主要な代理者イエス、

力と希望を与えてください。

定年退職になってから、1年かけて玄関の靴を揃えて上がれるようになった。

包丁もまな板もきっといつかできるはず。

「ざつなんだよ」

と、悪態つきながらでも……。
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