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222 なくて七癖

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2.3日前、達也さんと住宅展示場をゲームの中で見にいったのだけど

みるくはどうも狭いところが苦手みたい。

圧迫感を感じるというか落ち着きがなくなるというか

どんなに素敵なよくできたインテリアや配置でも

落ち着きがなくなり、恐怖さえ覚えてしまう。

realでも同じようになくて七癖。

にいにがお泊まりに来ると、にいにいはほとんど窓を閉じて

ふすまを閉めてしまう。

「誰かに見られてるみたいでいやだ」

とさえ言う。

仕方なく普段は我慢しているのだが、耐えられなくなると

にいにいが寝ているのを見計らって窓を開け、ふすまを開きっぱなしにする。

さーーーと秋の風が立つようなすがすがしい気持ちになる。


達也さんと見に行った住宅展示場も家具、庭具制限があり

いくつも小さなお部屋に区切って様々なアイテムを重ねて

なりきりを演出している。

一か所にまとめてごちゃごちゃしているのが嫌なみるくは分散して

思うようにリノベできずに欲求不満になる。

なんでわざわざ広々としたマイタウンを仕切って

あんな狭い路地裏のような作り方にするのかよくわからなかった。

まあ、商品陳列としては的を得ているのだろうが…。


みるくの電車とバスのパニック障害も

もとを正せば、この閉所恐怖症からきているのかもしれない。

そして、混雑時のラッシュアワーは想像を絶するほど過酷だ。

下手に窓に手を突こうものなら、10分以上ずーとその姿勢でいなければならなくなる。

会社に着くころには、パソコンを触る手もしびれているという感じだ。

ほんとうに、日本人は辛抱強いよね。

給料も上がらず、買った住宅のローンさえ完済するのにものすごい自制と運が伴う。

あんなに頑張ってためたお金も返済できず、ママは一軒家を手放すしかなかったのだから…。


達也さんのお父様は、大腸ポリープで大量に下血し、

緊急入院をされたのだが、検査の結果、良性だったらしく

輸血をして治療中らしい。

一緒に住んでいれば、たとえ親子でもそのしぐさが気になったりするのだろう。

達也さんはお父様の食事風景が好きではないらしい。

べちとゃくちゃ言わせて食べたり、食器に左を添えないで

だらりとおろして食べるとかetc。

そういう達也さん自身も、食べ物に偏食が多く、アトピーで病弱である。

一緒に住んでいたら、顔も見たくないような雰囲気になることもあるだろう。

そんな時はほら、公園でも散歩して季節の移り変わりを感じられたらうれしい。

達也さんと知り合ってから3年半という長い時を共に過ごすことができた。

まだあったことも触れたこともないけれど、大切な人。

マイラヴァ―である。

聖書を8回も通読して、人間がいかに不完全であるかを頭では理解できている。

あとは、心にすとんと落ちていったら嬉しいんだけどな。

なくて七癖。

みるくはにいにいとの生活、達也さんはこれから年を取っていく親との生活。

お互いに一抹の不安を感じながらも、今日一日

感謝して過ごせたら最高ですよね。


みるくの変な癖

蚊を刺されるとかゆい場所に爪でバツ印を付ける。


お風呂から上がると、にいにいがいてもしばらく、はだかんぼうで寝てる。


今ご飯を食べているのに

「お腹がすいたー」といって、

「食べているでしょう」

と、けげんな顔をされる。


とんがりコーンを指にはめて食べる。


金属のこすれる音がいや。


紙のストローが嫌い。


寝ているときに、布団を足の間に挟む。
安心するんだよねー。


かさぶたを丁寧にはがすのが好き。


かゆいと血が出るまでかきむしってしまう。


私用で電話するとき、つい女の人の絵をかいてしまう。


お風呂でおならをして、ポコポコ上がってくる泡のにおいをかいで

「くさい」と顔をしかめる。


まだまだありそう。変な癖。
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