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寂しさの徒然に、わたしは久しぶりに一人でホテルのバーに行った。
達也さんが怒ってSkypeを切った。
だから、この関係に終止符を打つためにわたしは誰かの物になりたかった。
初めては、達也さんとと決めていたんだけど
もうそんなものはどうでもよくなった。
彼が他の人と過ごす時間をリアルであれ、バーチャルであれ、
私以上に取るのなら、鏡の法則でわたしも達也さんと過ごす時間よりも
多くとってやる。
お馬鹿な女の安楽な考えだった。
重厚感のある都内の一流ホテルのラウンジバーには、イケメンのバーテンさんがいる。
彼は、このホテルの勤めて結構長い。
わたしの保険の既契約者で、達也さんと知り合う前は、
朝方に彼の同僚たちと食事に行ったり、ボーリングに行ったり、
彼のアパートでみんなで麻雀したり、海に行ったり結構プライベートな時間を楽しむ事も多かった。
「お、めずしいね」
彼はにこやかに美しいおじぎをしてくれる。
カウンターに勝手に座る。
「いらっしゃいませ」
「うふふ、おひさ」
「お飲み物は何になさいますか」
「いつもの」
バンタインの30年物。
シングルグラスに一杯だけ飲ませてもらえる。
琥珀色に揺らめく液体を香りを楽しみながら唇で味わう。
焼けるような感覚に、
「ああ」
と、ため息を漏らす。
唇を舐めてみた。
「からい」
「ロックや水割りじゃなくていつもストレートだね」
「だって、もったいないもの」
そのまま黙ってうつむいた。
ぽとりぽとりと涙が零れる。
涙と酷のあるウイスキーを一気に飲み干すと
五臓六腑にしみわたる。
「あれてますねー」
「ねっ」
ああ、これ以上ここにいるのは無理。
誰も知らない店にすればよかった。
ちょっと背の高いカウンターチェアに座っている元気もない。
わたしはさっさと会計を済ませて外に出た。
タクシーの運転手さんが、ミラー越しにちらちら見つめ
「こんなきれいな人初めて見た」
と、おせじを言ってくれる。
だけど私の心はちっとも喜ばない。
明日なら、誰でもいいのかも知れない。
優しくしてくれるなら我慢できるのかも知れない。
でも、今日は今日は彼じゃなきゃダメなの。
Skypeを切った後、そのままパソコンを達也さんが落としてしまったから
わたしはこの不安を
この憤りを
誰にもぶつけることができずに悶々としている
火山砕屑物の流れで出口を失った活火山のように……。
「誰でもいいからだいてよ」
そう言えたらどんなに楽だろう。
この得体のしれない嫉妬の塊をわたしは亡きものにしたかった……。
達也さんが怒ってSkypeを切った。
だから、この関係に終止符を打つためにわたしは誰かの物になりたかった。
初めては、達也さんとと決めていたんだけど
もうそんなものはどうでもよくなった。
彼が他の人と過ごす時間をリアルであれ、バーチャルであれ、
私以上に取るのなら、鏡の法則でわたしも達也さんと過ごす時間よりも
多くとってやる。
お馬鹿な女の安楽な考えだった。
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彼は、このホテルの勤めて結構長い。
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彼のアパートでみんなで麻雀したり、海に行ったり結構プライベートな時間を楽しむ事も多かった。
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焼けるような感覚に、
「ああ」
と、ため息を漏らす。
唇を舐めてみた。
「からい」
「ロックや水割りじゃなくていつもストレートだね」
「だって、もったいないもの」
そのまま黙ってうつむいた。
ぽとりぽとりと涙が零れる。
涙と酷のあるウイスキーを一気に飲み干すと
五臓六腑にしみわたる。
「あれてますねー」
「ねっ」
ああ、これ以上ここにいるのは無理。
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明日なら、誰でもいいのかも知れない。
優しくしてくれるなら我慢できるのかも知れない。
でも、今日は今日は彼じゃなきゃダメなの。
Skypeを切った後、そのままパソコンを達也さんが落としてしまったから
わたしはこの不安を
この憤りを
誰にもぶつけることができずに悶々としている
火山砕屑物の流れで出口を失った活火山のように……。
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そう言えたらどんなに楽だろう。
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