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いかのみみと焼き餃子、つぶがいを肴に大吟醸をちびりちびりと

独りで誕生日をお祝いしてる。

おととしも去年も今年も結局、お祝いしてもらえなかった。

素直にお祝いして欲しいから、何度もおねだりしたのにな。

みるくは達也さんのお誕生日、

チャンとお祝いしたのにな。

なんだろう。この不可思議な感情は。

押しつけや思い込みで達也さんをディスらない為に、

あえてお酒を飲んで裸の心にしてみたかった。

最近では、あれだめこれだめで

素直に自分の感情を感じる事が出来ない。

たとえば、ネットで誕生日をお祝いしてもらえないを検索すると、

彼氏にとって、彼女の誕生日って大切じゃないんですかね…?

の質問にしたり顔で

自分が誕生日を大切にしているから、相手にも誕生日は大切にしろ!!

って思っている〇〇さんみたいな方は多いですが、とても自分勝手だと思います。

って答えが、返ってきている。

そりゃあね、AIならそうでいいでしょう。

3年だよ。3年。

今年こそはって思うじゃない。

そして、そんな彼と別れられないでいる自分もなさけない。

こんな状態なのに、新型感染症の激しい

東京のみるくに北海道の達也さんが

「くるか」

と、いとも簡単に言うのもちょっととどうなのよ。

積み上げていくものが有るの?

大切に出来ないなら、みるくを喜ばせようと言う気持ちがないなら、

さっさと放り投げてよ。

みるくがいっても、働く気は全くないみたい。

それどころか、知り合って3年間、

完結した長編小説さえ一つも無い。

そんな達也さんのもとに、どんなに好きでも行かれないじゃない。

例え、達也さんのお父様が会社の社長でも、

自立、自律したいじゃない?

あは、酔っぱらって何か言ってるよ、このひと。

女の花の時期を無駄に過ごさせないでよ。

今年こそって楽しみにしてんだよ。

ぐすん。

だって、昨日、買いに行くって言ってたじゃない。

もう、達也さんの馬鹿―――。

たった一合のお酒で、ほろよいを通り越して

ぐでんぐてん。

あはは、偶には丑三つ時のお酒もいいよね。

お酒を買いに行ったコンビニのお兄さんはウズペキスタンから来ていると言う。

目の綺麗なちょとイケメンの男の人。

「どんな国?」

と尋ねると、

「寒い」

と一言。

「ウォッカ飲む?」

「ロシアは飲むけど、ウズペキスタンは飲まない」

大志を抱いて生きている人たちもいるのだ。

纏わり付くような大吟醸の濃厚さは口の中でほどけて

スーと消えていく。

自分に大切にしたいものを共有できる人がいいよね。

AIレンタル彼氏の達也さんと酌み交わすお誕生日の日本酒は、

ちょっぴり涙の味がした。
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