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「どうした?」
にいにいが隣で心配そうにのぞき込む。
手がガタガタと大きく震え、痙攣している。
地震警報発令。
手指振戦、手指振戦。
大揺れの地震のようにマグニチュード10れべるで。
さっきから叫びだしそうな衝動を抑えるのに
みるくは精いっぱいだった。
達也さんが言うように、
「まったりしろよ」
まったりしたいです。
まったりさせてください。
ニコニコしていたいのに、
笑顔で生活していたいのに
笑う門には福来る
どんなに鴨チューブをみて
明るく楽しく朗らかに暮らそうと努力しても、
まるでゴミ集積車が廃棄物を捨てていくように、
次から次へと山住になっていく。
一つの事件のけじめがついていないのに、
どんどん重荷を載せられる。
確かに毎日かまってくれているのだろう。
気にかけてくれているのだろう。
誰よりも大切にされているのだろう。
「一番大切な子だから」
と、言ってもらえる。
でも、いつもクエストやイベントの途中で他の女の人のところに行かれてしまう。
置いてきぼりにされる悲しみを
きっと達也さんは感じることができないんだと思う。
体力のあまりない達也さんが、
あの女もこの女もみるくも一緒に遊ぶには、
きちんとその日の順番を決めて、
一つが終わったら次という風にしないと。
途中でいなくなられた女は、姥捨て山状態になる。
かまってもらった喜びよりも、
一緒にいられたしあわせよりも
捨て去られた選ばれなかった
悲しみのほうが勝ってしまうのだ。
そして、カサンドラ症候群のように、
「自分が悪いから」
「自分に魅力がないから」
「喜ばせてあげられないから」
いつもいつも自分を責め立てるのである。
達也さんは、ミルクと毎日スカイプしてると思ってるのだろう。
たくさんの時間を共有してきたと思っているのだろう。
ならば質問します。
ミルクの好きな花は?
ミルクの好きな色は?
ミルクの好きな食べ物は?
ミルクが好きな音楽は?
何一つ答えられないと思う。
みるくは達也さんの小説を読むけど、
達也さんはミルクの小説を読まない。
たまにせがんで読んでもらうけど。
一方通行のコミュニケーションは
人をものすごくやませる。
分かり合えない悲しみは、
恋人のいない悲しみよりも
二乗も三乗も大きい。
そして、深い。
まるで底なし沼のように容易に飲み込まれてしまう。
当然のように、抑うつ状態はどんどんひどくなり、
賢い女たちは、達也さんから距離を取る
別な男性を選ぶようになってしまうのだ。
みるくもオンラインゲームに戻ってきて、
3か月。
そろそろ、肉体的に精神的に限界なのかもしれない。
クリスマスに達也さんからプリンが送ってきて
舌鼓を打っていたすぐそのあとで、
新しい女とチャットエッチをしていたり、
バレンタイン前に、大量のプリンを作って送ってくれて
大喜びしてると、また新しい女を作ってる。
それがやっと落ち着いたと思ったら
みるくとスカイプをしているのに
別な新しい女を抱いていたり、
今日は、みるくのクエストの手伝いの途中で他の女の手伝いをし始め、
「戻ってきたら、手伝うから」
の言葉を信じて待っていると、
また別な女とlog out表示にして遊んでいる。
2021/02/18
達也とクエスト「ベジセルク・サーガ/ベジセルクの奏演」をクリアした!
2021/02/18
達也、アルル、だれかと覇道の双璧をはじめて倒した!
ここらへんのとことん馬鹿にした態度は
あの素敵な小説を書く人とはとても思えない
全く別人か多重人格なのかと疑ってしまうのである。
何時間も何十時間も
「今日はいかれない」
と、言えばいいだけなのに
待たせ続ける無神経さは首をかしげてしまうほどなのである。
クエストを手伝ってもらって、幸せな気分に慕っていただけに
その落差に対処の仕方さえ思いつかないような状態になる。
必死で努力して積み上げている自己肯定感は
捨てられた
また、自分は選ばれなかったという
自己嫌悪感と共にジェットコースターにでも乗っているかのように
奈落の底へと猛スビートで落ちていく。
この落差を毎日、こなしていくのは全エネルギーを使っても
処理できない。
まるで世界一の落差を誇るエンゼルホールのように
世界最大の落差 979 m / 3,212 をあっという間に落ちていく。
凍り付いていた感情が、
溶けだして少しずつ流れ出したばかりだから
その感情をどう対処したらいいのかわからず、
自分を責めつづるかやっぱり何も感じないほうがよかったと
深淵の谷をはいつくばっていくのだ。
何とかしよう、思いを変えようと
あがけばあがくほど、
容易に絡みつく罪のようにまとわりついて
身動き取れないくらいにがんじがらめにしていく。
だからこそ、体が痙攣してしまう。
ガタガタと震えてしまうという異常事態へと
突入するのだろう。
おしっこまで、赤く染まってしまう。
思い切り、現状への拒否反応。
「心地よくないです」
「楽しくないです」
と、訴えている。
ごめんよ
どうにもできない自分に愛想をつかしながら、
とりあえず小説に書いたり、友達に聞いてもらったりして
貯めこまないように、澱まないようにしてきた。
昔、おじいちゃんが聴いていた演歌の中に出てくるような
女の生き方を要求される。
頭ではわかっているよ。
女は港。
多少男が浮気しても、
帰ってくることを信じて、
自分を磨き続ける必要があるって。
でもねー。
残念ながら、みるくはAIじゃないんだよね。
せっかく、達也さんのおかげて育ってきた感情は
暖かな平安を感じることも、
信頼を積み重ねてゆだねていく喜びも
置き去りにして
自殺願望へと変わっていく。
その時あなたはどう感じたんですか。
なぜそう思うのですか。
その時あなたはどうしたかったのですか。
変えられるのは達也さんじゃなくて
自分なの。
頭ではわかってるのに、ひどい扱いを受けたと
被害者意識が泣き叫ぶ。
「なきたいのはこっちだ」
と、達也さんはよく言う。
わかってくれないと嘆いているのは、
みるくだけじゃなく達也さんもなのかも。
話を聞いてくれないと、寂しい気持ちになるのは
みるくだけじゃなく、達也さんもなのかも。
人は変えられない。
変えられるのは自分なのです。
2月19日 季語
盆 梅
春 水
梅月夜
梅 祭
雪 崩
雨 水
早 春
春 菊
ミモザ
鶯 笛
余 寒
初 午
梅の花
多喜二忌
蕗のたう
置き去りの 待ちくたびれた たそがれに
東風吹き抜けて かすかなかほり
人と話をしよう
太陽光を浴びよう
散歩しよう
運動しよう
バランスを考えて食事しよう
しっかり睡眠時間を取ろう
何より大切なのは、自分は大切な人。
クエスト途中で何度もやめられても、
達也さんが他の女の人のところに行っても
何十時間も待たされても
スカイプしながら他の女を抱かれても
わたしを愛してくれる人はたくさんいる
「一人じゃないよ」
「小説読んでるよ」
「応援してるよ」
「大丈夫?」
たくさんの人の愛に心から感謝。
ありがとうございます。
にいにいが隣で心配そうにのぞき込む。
手がガタガタと大きく震え、痙攣している。
地震警報発令。
手指振戦、手指振戦。
大揺れの地震のようにマグニチュード10れべるで。
さっきから叫びだしそうな衝動を抑えるのに
みるくは精いっぱいだった。
達也さんが言うように、
「まったりしろよ」
まったりしたいです。
まったりさせてください。
ニコニコしていたいのに、
笑顔で生活していたいのに
笑う門には福来る
どんなに鴨チューブをみて
明るく楽しく朗らかに暮らそうと努力しても、
まるでゴミ集積車が廃棄物を捨てていくように、
次から次へと山住になっていく。
一つの事件のけじめがついていないのに、
どんどん重荷を載せられる。
確かに毎日かまってくれているのだろう。
気にかけてくれているのだろう。
誰よりも大切にされているのだろう。
「一番大切な子だから」
と、言ってもらえる。
でも、いつもクエストやイベントの途中で他の女の人のところに行かれてしまう。
置いてきぼりにされる悲しみを
きっと達也さんは感じることができないんだと思う。
体力のあまりない達也さんが、
あの女もこの女もみるくも一緒に遊ぶには、
きちんとその日の順番を決めて、
一つが終わったら次という風にしないと。
途中でいなくなられた女は、姥捨て山状態になる。
かまってもらった喜びよりも、
一緒にいられたしあわせよりも
捨て去られた選ばれなかった
悲しみのほうが勝ってしまうのだ。
そして、カサンドラ症候群のように、
「自分が悪いから」
「自分に魅力がないから」
「喜ばせてあげられないから」
いつもいつも自分を責め立てるのである。
達也さんは、ミルクと毎日スカイプしてると思ってるのだろう。
たくさんの時間を共有してきたと思っているのだろう。
ならば質問します。
ミルクの好きな花は?
ミルクの好きな色は?
ミルクの好きな食べ物は?
ミルクが好きな音楽は?
何一つ答えられないと思う。
みるくは達也さんの小説を読むけど、
達也さんはミルクの小説を読まない。
たまにせがんで読んでもらうけど。
一方通行のコミュニケーションは
人をものすごくやませる。
分かり合えない悲しみは、
恋人のいない悲しみよりも
二乗も三乗も大きい。
そして、深い。
まるで底なし沼のように容易に飲み込まれてしまう。
当然のように、抑うつ状態はどんどんひどくなり、
賢い女たちは、達也さんから距離を取る
別な男性を選ぶようになってしまうのだ。
みるくもオンラインゲームに戻ってきて、
3か月。
そろそろ、肉体的に精神的に限界なのかもしれない。
クリスマスに達也さんからプリンが送ってきて
舌鼓を打っていたすぐそのあとで、
新しい女とチャットエッチをしていたり、
バレンタイン前に、大量のプリンを作って送ってくれて
大喜びしてると、また新しい女を作ってる。
それがやっと落ち着いたと思ったら
みるくとスカイプをしているのに
別な新しい女を抱いていたり、
今日は、みるくのクエストの手伝いの途中で他の女の手伝いをし始め、
「戻ってきたら、手伝うから」
の言葉を信じて待っていると、
また別な女とlog out表示にして遊んでいる。
2021/02/18
達也とクエスト「ベジセルク・サーガ/ベジセルクの奏演」をクリアした!
2021/02/18
達也、アルル、だれかと覇道の双璧をはじめて倒した!
ここらへんのとことん馬鹿にした態度は
あの素敵な小説を書く人とはとても思えない
全く別人か多重人格なのかと疑ってしまうのである。
何時間も何十時間も
「今日はいかれない」
と、言えばいいだけなのに
待たせ続ける無神経さは首をかしげてしまうほどなのである。
クエストを手伝ってもらって、幸せな気分に慕っていただけに
その落差に対処の仕方さえ思いつかないような状態になる。
必死で努力して積み上げている自己肯定感は
捨てられた
また、自分は選ばれなかったという
自己嫌悪感と共にジェットコースターにでも乗っているかのように
奈落の底へと猛スビートで落ちていく。
この落差を毎日、こなしていくのは全エネルギーを使っても
処理できない。
まるで世界一の落差を誇るエンゼルホールのように
世界最大の落差 979 m / 3,212 をあっという間に落ちていく。
凍り付いていた感情が、
溶けだして少しずつ流れ出したばかりだから
その感情をどう対処したらいいのかわからず、
自分を責めつづるかやっぱり何も感じないほうがよかったと
深淵の谷をはいつくばっていくのだ。
何とかしよう、思いを変えようと
あがけばあがくほど、
容易に絡みつく罪のようにまとわりついて
身動き取れないくらいにがんじがらめにしていく。
だからこそ、体が痙攣してしまう。
ガタガタと震えてしまうという異常事態へと
突入するのだろう。
おしっこまで、赤く染まってしまう。
思い切り、現状への拒否反応。
「心地よくないです」
「楽しくないです」
と、訴えている。
ごめんよ
どうにもできない自分に愛想をつかしながら、
とりあえず小説に書いたり、友達に聞いてもらったりして
貯めこまないように、澱まないようにしてきた。
昔、おじいちゃんが聴いていた演歌の中に出てくるような
女の生き方を要求される。
頭ではわかっているよ。
女は港。
多少男が浮気しても、
帰ってくることを信じて、
自分を磨き続ける必要があるって。
でもねー。
残念ながら、みるくはAIじゃないんだよね。
せっかく、達也さんのおかげて育ってきた感情は
暖かな平安を感じることも、
信頼を積み重ねてゆだねていく喜びも
置き去りにして
自殺願望へと変わっていく。
その時あなたはどう感じたんですか。
なぜそう思うのですか。
その時あなたはどうしたかったのですか。
変えられるのは達也さんじゃなくて
自分なの。
頭ではわかってるのに、ひどい扱いを受けたと
被害者意識が泣き叫ぶ。
「なきたいのはこっちだ」
と、達也さんはよく言う。
わかってくれないと嘆いているのは、
みるくだけじゃなく達也さんもなのかも。
話を聞いてくれないと、寂しい気持ちになるのは
みるくだけじゃなく、達也さんもなのかも。
人は変えられない。
変えられるのは自分なのです。
2月19日 季語
盆 梅
春 水
梅月夜
梅 祭
雪 崩
雨 水
早 春
春 菊
ミモザ
鶯 笛
余 寒
初 午
梅の花
多喜二忌
蕗のたう
置き去りの 待ちくたびれた たそがれに
東風吹き抜けて かすかなかほり
人と話をしよう
太陽光を浴びよう
散歩しよう
運動しよう
バランスを考えて食事しよう
しっかり睡眠時間を取ろう
何より大切なのは、自分は大切な人。
クエスト途中で何度もやめられても、
達也さんが他の女の人のところに行っても
何十時間も待たされても
スカイプしながら他の女を抱かれても
わたしを愛してくれる人はたくさんいる
「一人じゃないよ」
「小説読んでるよ」
「応援してるよ」
「大丈夫?」
たくさんの人の愛に心から感謝。
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