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ペンタブラックの王女 ルシア

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ペンタブラックの王女 ルシア
1.
橋の下の捨て子と笑われて
川遊びの偶然が紡いだ運命
雪のように白い肌の彼女は
冷たい手に抱かれることなく
ミルクの匂いだけを知る赤子だった

2.
王宮の灯りは決して彼女を照らさず
暗闇に染まる部屋で
ぬくもりを知らず育った日々
愛され方を知らぬまま
人の心を映せぬ鏡のように
ルシアは成長していった

3.
優しい声を知らず
触れる手の温かさも知らない
モーゼのように導かれることもなく
彼女はただ泣き続けた
捨て猫のように、小さく、弱々しく

4.
嫉妬に燃える側近の陰口が
彼女の耳を刺す針となり
「何よ、捨て子のくせに」
その言葉は冷たい鏡の前で
心に突き刺さる鋭い針だった

5.
愛着障害と名付けられたその痛み
感情のない少女は
心の中に深い闇を抱えて
どんな光も吸い込むペンタブラック
それは彼女の心の色

6.
フランシス王子の優しさも
ジュリエット王妃の慈愛も
ルシアの心には届かない
誰かの愛を反射することもなく
彼女はただ冷たく、孤独に、立ち尽くしていた

7.
庭のバラが咲き誇る季節
彼女は一人立ち尽くしていた
孤独の中で、何も感じられず
ただそこにいるだけの存在

8.
「愛は見えないけれど、確かにあるものです」
庭師の老人の言葉が
ルシアの心にささやく小さな光となり
彼女は驚き、初めて心が動いた

9.
少しずつ、少しずつ
ルシアは心を開き始めた
彼女のペンタブラックの闇に
微かな光が差し込み
冷え切った心に温もりが戻る

10.
フランシス王子の忍耐と優しさが
彼女の心を包み込むように
少しずつルシアは学んでいった
愛の形、愛されること、愛することを

11.
今、彼女の心は輝きを取り戻し
周囲に反射する光となった
ペンタブラックの過去は消え去り
ルシアの未来には希望が満ちていた

12.
愛の力は、どんな闇も照らし出す
光を反射する心へと変わった
ルシアは、歩み始めた
新たな世界の中で
その手には温かな光が宿っていた

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