注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

小説

自己憐憫

自己憐憫

使徒 10:34， 35

34 そこでペテロは話し始めた。「神が不公平ではないことがよく分かりました+。 35 神を畏れて正しいことを行う人はどの国の人でも神に受け入れられるのです。


彩香は17歳。注意欠陥多動性障害ADHDの悩む女の子。

最近、自己憐憫になっている。

だって、ずるいじゃない。

定型発達と発達障害と比べると変えられないもので叱られたり注意されたり、嫌な顔をされることが段違いに多い。

こうやって、不平不満を言っても何一つ変わらないというのはこの17年間で嫌というほどわかってるんだけどね。

「そうね、がんばってるのにね。同じ失敗ばかりしてどんなに気を付けていても、また同じようなそれ以上の大ポカをするのよね」

とでも頭をなでてもらえたら、気が済むのだろうか?

短所ばかりに目を向けず、自分の長所も探そうよ。

定型発達の人はそれできるだろう。

でも、自分は違う。

生まれながらにして、5億円の借金を背負ってきたようなものだ。

しかも、その借金は、生きていけば生きていくほど、負債がかさんでいく。

ごめんなさい。文句ばかり言って。

でも、心のコップの中の泥水が汚泥やヘドロのようになって

新しいきれいな流水を流し込んでも上っ面が変化していくだけで、

がしがしにへばりついていて、何一つ爽やかにならないのです。

6月の下旬の夏至を過ぎた東京は、30度近い熱気をねっとりと湿気を帯びてまとわりついてくる。

道端のアガパンサスの青が癒しを与えてくれる。

たくさんのラッパのような塊の花が私たちを応援している。

花や鳥や空に目を向け、地球を楽しむこともできれば、

自分をフォーカスしてネガティブになっていくこともできる。

自由なんだよね。

でも、今はうつむいてしまう。

小説家になりたいと頑張っているけど、最短距離の読書さえできない。

絵本なら読めるかなとわくわく期待して5冊借りてきたけど、

読めたのは、ぐりとぐらの1冊だけ。

アルファポリスの他の人の作品も、じずらを追っているだけで何も心に響かない。

「耳から入ったものは、口に出る」

「目から入ったものは、手に出る」

おじいちゃんが教えてくれた言葉だけど、語彙は多少増えて饒舌になっているのかもだけど、

相変わらず生姜くらいの作文のような文章を書き綴っている。

ないものねだりはしないと、読めないのなら、朗読のテープや動画を必死で聞いているのにね。

これは、自己正当化?

自分の努力を高く評価しすぎ?

こんな役にも立たないわたしが生きていてもいいの?

神様教えて。

あなたの公正とは何ですか?

わたしは、自立・自律できるのようになるのですが?

ユニクロの柳井正さんは、

「10回新しいことを始めれば9回は失敗する」

成功した1回に感謝して、挑戦し続けることなのかな?

うらやましがってるだけで、

定型発達の人にはその人なりの理不尽を感じる瞬間があるのかな?

とりあえず、今できること、

家族の好きななめこと豆腐のお味噌汁でも作りますか?

ワンピースの1シーン。

「失った物ばかり数えるな　無いものは無い　確認せい　お前にまだ残っておるものは何じゃ」

ないものねだりしても、米一粒も増えないもんね。

思いを変えて、違和感に感謝します。

ありがとうございます。