感謝の気持ち

感謝の光

感謝の光

何もしないまま一週間が過ぎ去った日曜日の午後、祥子はソファに横たわりながら、天井をぼんやりと見つめていた。仕事もプライベートも手につかず、ただ時間だけが無情に過ぎていく。テレビの音が遠くに聞こえるが、内容はまったく頭に入ってこない。

「こんな日々を続けていていいのだろうか？」と、祥子は自問自答した。

一週間前、祥子は大きなプロジェクトの締め切りに追われ、ようやく終わったばかりだった。その緊張感から解放された瞬間、彼女の体と心は一気に力を失い、何もする気が起きなくなってしまった。気がつけば、毎日同じように過ごし、何も達成しないまま時間だけが流れていた。

「このままじゃいけない」と思い立った祥子は、少しでも前向きになれるようにと、感謝の気持ちを探すことに決めた。手始めに、日記を開いて、その日一日に感謝できることを書き出すことにした。

最初の数行はなかなか思い浮かばなかったが、しばらく考えているうちに、小さな出来事が頭に浮かんできた。

「今日は晴れていて、暖かい陽射しを浴びることができたことに感謝しよう。」

「友人から久しぶりに電話が来て、楽しい話をしたことに感謝しよう。」

「お気に入りの本を再読して、再び感動したことに感謝しよう。」

こうして書き出していくうちに、祥子の心は少しずつ軽くなっていった。感謝の気持ちを意識することで、彼女は自分の日常に隠れていた小さな幸せを見つけ出すことができたのだ。

翌日も、祥子は感謝を探すことを続けた。朝起きると、まずはその日一日に感謝できることを見つけることから始めた。例えば、温かいコーヒーを飲むこと、通勤中に見かけた美しい景色、同僚の親切な言葉など、どんな些細なことでも感謝の対象にした。

一週間が過ぎる頃には、祥子の心には確かな変化が現れていた。以前のように無為に時間を過ごすことが少なくなり、毎日を大切に過ごすようになったのだ。彼女は再び仕事に集中し、友人や家族との時間を楽しむことができるようになった。

ある日のこと、祥子は同僚の香織に「最近、なんだか元気が出てきたね。何か良いことでもあったの？」と聞かれた。祥子は笑顔で答えた。

「特別なことは何もないけど、感謝の気持ちを見つけることを始めたの。毎日、小さなことでも感謝することで、心が軽くなるのよ。」

香織は興味深そうに、「それって素敵な考え方ね。私も試してみようかな」と言った。

祥子は頷きながら、「ぜひ試してみて。どんな小さなことでも、感謝することで幸せを感じられるんだから」と答えた。

それ以来、祥子は毎日感謝の気持ちを探し続けることを習慣にした。感謝の気持ちが増えるたびに、彼女の心は豊かになり、前向きなエネルギーが湧いてくるのを感じた。彼女は今、自分の人生を積極的に生きることができるようになり、どんな困難にも立ち向かう力を持つようになった。

日曜日の午後、再びソファに座っていた祥子は、以前とは違う穏やかな表情をしていた。彼女は天井を見上げながら、小さな幸せに感謝することで大きな変化が起こることを実感した。

「何もしないまま過ぎ去る一週間も、感謝の気持ちを見つければ意味がある」と、祥子は思った。

これからも、彼女は感謝の気持ちを探し続け、日々を大切に生きていくことを決意した。何気ない日常の中にある小さな幸せに感謝することで、彼女の人生は豊かで意味のあるものになると信じて。