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ショウガ・にんにく
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「鶏のから揚げ作るよ、未来ちゃん、おいで」
「はーい」
「忍君、教えてあげて」
「ん?」
「唐揚げの作り方」
「わかった」
青年は、お嬢ちゃんと話しながら、冷凍庫から、
鶏の胸肉を出して、レンジで解凍している。
ママは、子供に言ってはいけないことを
ネットで検索して、読んでいる。
毒親だと思っていたが、やはり毒親ではなかった。
ここに書かれているような、
「だめな子」という叱られ方をしたことは一度もなかった。
100点取ってきても、
当たり前で喜んではもらえなかったのだが……。
人格
だらしがない。情けない。怠け者。根性がない。バカ。のろま。気持ち悪い。弱虫。泣き虫。何度言ったらできるの。あなたは口ばっかり。お前はいつもそうだ。そんな子に育てた覚えはない。どうしようもないやつだ。お前には無理だ。お前にできるわけがない。お前はいつもそうだ。見込みがない。お前は信用できない。お前はダメだな。だからお前はダメなんだ。悪魔のような子。
能力
お前は頭が悪い。お前には無理だ。お前にできるはずがない。運動神経ゼロだね。算数が苦手だね。字が下手。音痴。服のセンス悪いね。足し算もできないの? お箸もまともに持てないの? こんな字も読めないの? パソコンも使えないの? 片付けもできないの? 妹にできて、なんであなたにできないの? 弟を見習いなさい。1年生になって、そんなこともできないの? もう1度幼稚園に戻りなさい。
存在
お前なんか本当は産みたくなかった。産まなきゃよかった。おろせばよかった。どこかに捨てようかと思ったけど、捨てるところがなかった。本当は男の子が欲しかったのに……。3人目は女の子がよかったんだけど……。お前は橋の下から拾ってきたんだ。
人格・能力・存在、どれも絶対に否定的に言ってはいけないということらしい。
そういえば、今日の新聞で、父親が反抗期の少年の顔面を殴ったら、
SNSで少年が友達に連絡をして、父親が逮捕されたという事件が起きた。
今の世の中は、しつけも難しい。
だから、少子化になってしまうのだろう。
お金と時間をかけて育てても、老後の面倒も見てもらえない。
それならば、そのお金で、少し楽しんで、
老後資金にためておいたほうが良いということなのだうろ。
·.̩₊̣.̩✧*̣̩˚̣̣⁺̣‧.₊̣̇.‧⁺̣˚̣̣*̣̩⋆·̩̩.̩̥·̩̩⋆*̣̩˚̣̣⁺̣‧.₊̣̇.‧⁺̣˚̣̣*̣̩✧·.̩₊̣.̩‧
僕はもふもふのジュリアーノ。マルチーズなの。
かつてママに飼われていた。
今はお空のお星様。
ママを守るためにそばにいる。
「ママー、にいにがやったよ」
「はじまった」
「だって、こいつ、ほんとなまいきなんだもん」
「にいにが、いやなことばかりさせるんだもん」
「いやなことって?」
「にんにくをすってっておろし金を渡したら」
「うん」
「自分が臭くてやりたくないから、やらせるんでしょって」
「あははは」
「未来ちゃんは、にんにくが臭いからいやだったのかな」
「うん、においとれないし」
「そうね、でも、入れるととっても美味しいのよ」
「それはこのまえ、ママが実験してくれたからわかるけど」
「おいしいものが食べたかったら、手間暇かけて、愛情かけて」
「わかった、にいに、ごめんなさい」
「おう、そうやって素直なら、ほんとにかわいいのにな」
「もう」
「あははは」
蜂蜜に漬け込んだ、胸肉にショウガとにんにくをいれて、
また冷蔵庫で少し寝かせている。
「蜂蜜は、一歳未満の子にはだめよ」
「はーい」
「いつか、未来ちゃんにも赤ちゃんができるのかな」
「ママ、孫ができるのが楽しみ」
「わたしより、にいにの赤ちゃんのほうが先でしょ」
「そうね、でも、にいにはたぶん結婚しない」
「え、どうして」
「それは、ママの男癖の悪さを見て育ったから」
「ええええええ」
「ごめんよー」
ママは、ぺこりと頭を下げる。
境界性パーソナリティー障害や解離性同一性障害などの
さまざまな病気の性とはいえ、
子供が親を見て、結婚したくないと思ってしまう。
こんな環境に育ててしまったことを
心から申し訳ないと思っている。
あわててにいにが、
「いま、ちゃんとしてるんだからいいじゃん」
「ありがとう」
「さあ、唐揚げ揚げるぞ」
「はーい」
二人は楽しそうに、調理を始めた。
唐揚げの飲み物は、やっぱりコーラかな。
「ママ、唐揚げ粉足らないよ」
「あら、ならば、片栗粉で作りましょうか」
「ええええ」
子供たちは、唐揚げ粉でしか作ったことがない。
ママもここのところ、ずっと唐揚げ粉を使っていた。
「これで大丈夫だと思うけど」
塩コショウをして、唐揚げ粉とオレガノも少し混ぜた。
にんにく、しょうがもたっぷり入っている。
「ママ、唐揚げ粉よりおいしい」
「よかった」
読んでくださって有難うございます。
「はーい」
「忍君、教えてあげて」
「ん?」
「唐揚げの作り方」
「わかった」
青年は、お嬢ちゃんと話しながら、冷凍庫から、
鶏の胸肉を出して、レンジで解凍している。
ママは、子供に言ってはいけないことを
ネットで検索して、読んでいる。
毒親だと思っていたが、やはり毒親ではなかった。
ここに書かれているような、
「だめな子」という叱られ方をしたことは一度もなかった。
100点取ってきても、
当たり前で喜んではもらえなかったのだが……。
人格
だらしがない。情けない。怠け者。根性がない。バカ。のろま。気持ち悪い。弱虫。泣き虫。何度言ったらできるの。あなたは口ばっかり。お前はいつもそうだ。そんな子に育てた覚えはない。どうしようもないやつだ。お前には無理だ。お前にできるわけがない。お前はいつもそうだ。見込みがない。お前は信用できない。お前はダメだな。だからお前はダメなんだ。悪魔のような子。
能力
お前は頭が悪い。お前には無理だ。お前にできるはずがない。運動神経ゼロだね。算数が苦手だね。字が下手。音痴。服のセンス悪いね。足し算もできないの? お箸もまともに持てないの? こんな字も読めないの? パソコンも使えないの? 片付けもできないの? 妹にできて、なんであなたにできないの? 弟を見習いなさい。1年生になって、そんなこともできないの? もう1度幼稚園に戻りなさい。
存在
お前なんか本当は産みたくなかった。産まなきゃよかった。おろせばよかった。どこかに捨てようかと思ったけど、捨てるところがなかった。本当は男の子が欲しかったのに……。3人目は女の子がよかったんだけど……。お前は橋の下から拾ってきたんだ。
人格・能力・存在、どれも絶対に否定的に言ってはいけないということらしい。
そういえば、今日の新聞で、父親が反抗期の少年の顔面を殴ったら、
SNSで少年が友達に連絡をして、父親が逮捕されたという事件が起きた。
今の世の中は、しつけも難しい。
だから、少子化になってしまうのだろう。
お金と時間をかけて育てても、老後の面倒も見てもらえない。
それならば、そのお金で、少し楽しんで、
老後資金にためておいたほうが良いということなのだうろ。
·.̩₊̣.̩✧*̣̩˚̣̣⁺̣‧.₊̣̇.‧⁺̣˚̣̣*̣̩⋆·̩̩.̩̥·̩̩⋆*̣̩˚̣̣⁺̣‧.₊̣̇.‧⁺̣˚̣̣*̣̩✧·.̩₊̣.̩‧
僕はもふもふのジュリアーノ。マルチーズなの。
かつてママに飼われていた。
今はお空のお星様。
ママを守るためにそばにいる。
「ママー、にいにがやったよ」
「はじまった」
「だって、こいつ、ほんとなまいきなんだもん」
「にいにが、いやなことばかりさせるんだもん」
「いやなことって?」
「にんにくをすってっておろし金を渡したら」
「うん」
「自分が臭くてやりたくないから、やらせるんでしょって」
「あははは」
「未来ちゃんは、にんにくが臭いからいやだったのかな」
「うん、においとれないし」
「そうね、でも、入れるととっても美味しいのよ」
「それはこのまえ、ママが実験してくれたからわかるけど」
「おいしいものが食べたかったら、手間暇かけて、愛情かけて」
「わかった、にいに、ごめんなさい」
「おう、そうやって素直なら、ほんとにかわいいのにな」
「もう」
「あははは」
蜂蜜に漬け込んだ、胸肉にショウガとにんにくをいれて、
また冷蔵庫で少し寝かせている。
「蜂蜜は、一歳未満の子にはだめよ」
「はーい」
「いつか、未来ちゃんにも赤ちゃんができるのかな」
「ママ、孫ができるのが楽しみ」
「わたしより、にいにの赤ちゃんのほうが先でしょ」
「そうね、でも、にいにはたぶん結婚しない」
「え、どうして」
「それは、ママの男癖の悪さを見て育ったから」
「ええええええ」
「ごめんよー」
ママは、ぺこりと頭を下げる。
境界性パーソナリティー障害や解離性同一性障害などの
さまざまな病気の性とはいえ、
子供が親を見て、結婚したくないと思ってしまう。
こんな環境に育ててしまったことを
心から申し訳ないと思っている。
あわててにいにが、
「いま、ちゃんとしてるんだからいいじゃん」
「ありがとう」
「さあ、唐揚げ揚げるぞ」
「はーい」
二人は楽しそうに、調理を始めた。
唐揚げの飲み物は、やっぱりコーラかな。
「ママ、唐揚げ粉足らないよ」
「あら、ならば、片栗粉で作りましょうか」
「ええええ」
子供たちは、唐揚げ粉でしか作ったことがない。
ママもここのところ、ずっと唐揚げ粉を使っていた。
「これで大丈夫だと思うけど」
塩コショウをして、唐揚げ粉とオレガノも少し混ぜた。
にんにく、しょうがもたっぷり入っている。
「ママ、唐揚げ粉よりおいしい」
「よかった」
読んでくださって有難うございます。
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