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33 なんでわたしばかり
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生きていれば面白くもないことはたくさんある。
最近、かあさんは身罷ったおばあちゃんから言われたことを毎日のように思い出す。
所沢の借りた一軒家の広いリビングには、北欧の立派なテーブルがあった。
それは、この家に引っ越してきた時にかあさんが買ったものだった。
「おまえみたいに、本音だけで生きようとしたら生きずらくて仕方ないでしょう」
「?」
「人間生きていれば、100あるうちの98は面白くもないことで、
残りの1つか2つを楽しみに生きていくんだよ」
かあさんは、この時、絶句した。
「98もいやなことで楽しみが1つか2つしかないなら生きているのはいやだ」
と、心から思ったのだ。
本当に心底、無理だとさえ思った。
꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧
あ、そうだ、何がいいたいかを先に書こう。
昨日の夜中、家族から電話をもらった。
「引用された文章に感想が載っていなかったりするけど大丈夫?」
そのときには、かあさんは通院で疲れていたし、夜中だったしで
素直に忠告の意味を考えることさえしなかった。
24時間たった今、その忠告はものすごく大切なことだった。
それが理由で、小説家になろうを退会させられたのだ。
悪気があろうがなかろうが、人の著作物に対して、
敬意が欠けていた。
本当にごめんなさい。
そして、アルファポリスの現代文学のランキングを気にするあまり、
まだ読んでもいない聖書や、文豪たちの著作権切れの作品を
更新しまくっていて、
「病院から帰ってから読もう」
とか気軽に考えていたのだ。
そういう癖って、注意欠陥障害のかあさんが許してしまったら
また、同じことになりかねない。
ものすごく怖いことだよね。
そして、それに対してもかあさんの心の中ではものすごい葛藤があって、
他のランキングに入っている人たちは、一日に一つくらいしか更新しなくても
上位にいるのに、
「どうしてわたしだけ……」
毎日、小説や感想文を20作品以上更新している。
かあさんの夢は、『小説でご飯が食べて行けるようになりたい』
芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品
みたいな素敵な小説が書けたらいいな。
年金では、生活できないみたい。
家賃65000円。
簡素化するとしても、敷金、礼金、引越し代もかかる。
5W1H、序破急、起承転結。
誰が主人公かわからない
物語の目的ゴールがわからない
何でそれを目指してるのかがわからない
ご都合主義になっている
簡単に何かが手に入りすぎる
起きていることが目的に向かっていない
起きたことが目的に薄っぺらくないか
主人公の言動がもっともらしくない
面白くない小説の書き方なのだそうだが、全くわかってない。
とりあえず今は、アルファポリスで毎日34スコアを目指している。
月にすれば1000円になる。
注意欠陥障害のかあさんが20作品も小説や聖書を読み、
感想文を入れるのにもがき苦しんでいた。
それにしても、保険会社といいアルファポリスといい
数字を追いかけるの好きだよね。
そして、目標に到達しなかったりランキングが落ちてくると
ものすごい形相でうめき始める。
いつもの仏様のようなにこにこしたとろけるような笑顔は消え、
おでこに青筋立てて般若のような顔になる。
観阿弥も世阿弥もおそらく逃げ去るであろう。
情景的には、夜桜乱舞の千鳥が淵というところであろうか。
とまる身も消えしも同じ露の世に心置くらんほどぞはかなき
六条御息所の生霊のようにめらめらと燃え上がる欲望の炎。
執念じゃ。怨念じゃ。あらおそろしや。
おまえ、いったい何様なんだよ。
普段は自分で、小学校も幻覚、幻聴で家出ばかりして、
ろくすっぽ勉強もしていないとか謙虚そうなことを抜かしながら、
ものすごい大きさの傲慢で今にもしぼみそうな自己肯定感を支えてる。
実に哀れだねー。
そんな心で書いたものを10年後に読み直したとき、
恥ずかしくないの?
太宰治先生の言う「心のおもてなし」はどうしたの?
読んでくださる方々に、心づくしをするんじゃなかったの?
それをランキングばかり気にして、そりゃあさ、自己肯定感のない
愛着障害のかまってチャンだから人の評価ばかり気になるのは
わからなくもないが、そろそろ少しずつでいいから卒業しようよ。
ねー。
「オイッス!」
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
重度の統合失調症で、毎週、病院に通っている。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母もまた重度の精神障害者である。
二人は、子供の頃から幻覚、幻聴に悩まされていた。
( ´•̥ו̥` )
だいたいさー、その『わたしばかり』はどこからくるんだよ。
ひょっとして、事故天秤になってるの?
違った。自己憐憫だった。相変わらず寒いなー。
そういうの、おやじが言うんでしょう。
婆が言う言葉じゃないでしょう。
失礼しました。大好きなお母様。
٩꒰ ˘ ³˘꒱۶~♡
小説に飽きたのか、寂しくなったのか、はたまたLOVEが足らないのか
かあさんは、俺の腹の上に耳をつけて横になっている。
そして、時折、信じられないことをする。
俺はそのたびに、かあさんの頭をぽかっとたたく。
「まあ、このこは、親の頭をたたいて……」
かあさんはびっくりしたような顔で言う。
そりゃあさ、確かに、親の頭を殴る息子も息子だけど、
その息子の息子に障っていたずらして、小悪魔みたいな顔で笑うのやめてくれよ。
そして、悲しいことに時折、そのどうしようもないいたずらに俺の息子は反応する。
こんなことをクリスチャンになりたいという人が書いていいのか?
ま、いいか。神様は全部お見通しなんだろうから。
ってことで、あはは、暴露してやった。
妹も、かあさんのボディタッチにうんざりして逃げていった。
きっと、愛着障害から来てるのかな。
そのやたら、ハグしたりベタベタしたがる癖。
「ラブが足らない」
と、のたまう。
だいたい、43の男をハグして、頭なでなでして、
それって昔ネグレクトしたことを取り返そうとしてる?
理由なんて、きっと今の精神医学ではわからないんだろうね。
実験用の愛着障害のサルがぬいぐるみを離せないのと似たようなものなのかな。
ハーローの猿実験だっけ?
”鉄の乙女”はワイヤーで作られており、胸の部分から哺乳瓶が突き出ていた。
もう一方の人形は柔らかい布で包まれているが、乳は出ない。
代理母実験。
当然、乳の出るワイヤーを選ぶと思われたのだが、
サルはほとんどの時間を乳の出ない柔らかい布とすごした。
わけわかんないことが一杯。
俺は乳の出ない柔らかい布でもぬいぐるみでもないんですが……。
かあさんは、きっとガーデニングでも面白くないことが一杯あるんだろうな。
あんなに楽しみにしていた、カサブランカも今年は4輪小さなお花が咲いただけだし、
春にあんなにたくさんあったお花はほとんど終わってるし、
都合の悪いことに今年はアジサイをたくさん増やしてしまったから
場所だけとって花ではなくて緑のお庭になりそうになっている。
それでも、ネコノヒゲやハイビスカス、サルビア、インパチェンス、
ニチニチソウは、花粉症の俺を悩ませてくれるんだけど。
それにしても、よく雨が降るよな。
しかも、恐ろしいほどの大雨。
かあさんはきっと、雨の風情を楽しむゆとりもないのだろう。
あまり外に出ることもなく、一日中、家の中で、出版物とにらめっこ。
注意欠陥障害で悩むなら、少しゆっくりと味わったらいいのに。
気がせくんだろうね。
まあ、注意過多の俺にはかあさんの悩みは一生理解できないのかもしれない。
「子供って本当に、叱られたりした嫌なことばかり覚えているのよね」
かあさんは俺の頭を何万回なでただろう。
何万回、どうしようもない俺を許し、是認してくれただろう。
そのお陰で、精神障害者年金をもらうような状態になっても
俺は自分を好きでいられるんだろう。
俺は俺が好きです。
俺は俺が大好きです。
俺はかあさんが好きです。
俺はかあさんが大好きです。
あ、心配しないで。
マザコンじゃないと思う。
たぶん……。
最近、かあさんは身罷ったおばあちゃんから言われたことを毎日のように思い出す。
所沢の借りた一軒家の広いリビングには、北欧の立派なテーブルがあった。
それは、この家に引っ越してきた時にかあさんが買ったものだった。
「おまえみたいに、本音だけで生きようとしたら生きずらくて仕方ないでしょう」
「?」
「人間生きていれば、100あるうちの98は面白くもないことで、
残りの1つか2つを楽しみに生きていくんだよ」
かあさんは、この時、絶句した。
「98もいやなことで楽しみが1つか2つしかないなら生きているのはいやだ」
と、心から思ったのだ。
本当に心底、無理だとさえ思った。
꒰* ॢꈍ◡ꈍ ॢ꒱.*˚‧
あ、そうだ、何がいいたいかを先に書こう。
昨日の夜中、家族から電話をもらった。
「引用された文章に感想が載っていなかったりするけど大丈夫?」
そのときには、かあさんは通院で疲れていたし、夜中だったしで
素直に忠告の意味を考えることさえしなかった。
24時間たった今、その忠告はものすごく大切なことだった。
それが理由で、小説家になろうを退会させられたのだ。
悪気があろうがなかろうが、人の著作物に対して、
敬意が欠けていた。
本当にごめんなさい。
そして、アルファポリスの現代文学のランキングを気にするあまり、
まだ読んでもいない聖書や、文豪たちの著作権切れの作品を
更新しまくっていて、
「病院から帰ってから読もう」
とか気軽に考えていたのだ。
そういう癖って、注意欠陥障害のかあさんが許してしまったら
また、同じことになりかねない。
ものすごく怖いことだよね。
そして、それに対してもかあさんの心の中ではものすごい葛藤があって、
他のランキングに入っている人たちは、一日に一つくらいしか更新しなくても
上位にいるのに、
「どうしてわたしだけ……」
毎日、小説や感想文を20作品以上更新している。
かあさんの夢は、『小説でご飯が食べて行けるようになりたい』
芥川賞は高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」の2つの作品
みたいな素敵な小説が書けたらいいな。
年金では、生活できないみたい。
家賃65000円。
簡素化するとしても、敷金、礼金、引越し代もかかる。
5W1H、序破急、起承転結。
誰が主人公かわからない
物語の目的ゴールがわからない
何でそれを目指してるのかがわからない
ご都合主義になっている
簡単に何かが手に入りすぎる
起きていることが目的に向かっていない
起きたことが目的に薄っぺらくないか
主人公の言動がもっともらしくない
面白くない小説の書き方なのだそうだが、全くわかってない。
とりあえず今は、アルファポリスで毎日34スコアを目指している。
月にすれば1000円になる。
注意欠陥障害のかあさんが20作品も小説や聖書を読み、
感想文を入れるのにもがき苦しんでいた。
それにしても、保険会社といいアルファポリスといい
数字を追いかけるの好きだよね。
そして、目標に到達しなかったりランキングが落ちてくると
ものすごい形相でうめき始める。
いつもの仏様のようなにこにこしたとろけるような笑顔は消え、
おでこに青筋立てて般若のような顔になる。
観阿弥も世阿弥もおそらく逃げ去るであろう。
情景的には、夜桜乱舞の千鳥が淵というところであろうか。
とまる身も消えしも同じ露の世に心置くらんほどぞはかなき
六条御息所の生霊のようにめらめらと燃え上がる欲望の炎。
執念じゃ。怨念じゃ。あらおそろしや。
おまえ、いったい何様なんだよ。
普段は自分で、小学校も幻覚、幻聴で家出ばかりして、
ろくすっぽ勉強もしていないとか謙虚そうなことを抜かしながら、
ものすごい大きさの傲慢で今にもしぼみそうな自己肯定感を支えてる。
実に哀れだねー。
そんな心で書いたものを10年後に読み直したとき、
恥ずかしくないの?
太宰治先生の言う「心のおもてなし」はどうしたの?
読んでくださる方々に、心づくしをするんじゃなかったの?
それをランキングばかり気にして、そりゃあさ、自己肯定感のない
愛着障害のかまってチャンだから人の評価ばかり気になるのは
わからなくもないが、そろそろ少しずつでいいから卒業しようよ。
ねー。
「オイッス!」
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
重度の統合失調症で、毎週、病院に通っている。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母もまた重度の精神障害者である。
二人は、子供の頃から幻覚、幻聴に悩まされていた。
( ´•̥ו̥` )
だいたいさー、その『わたしばかり』はどこからくるんだよ。
ひょっとして、事故天秤になってるの?
違った。自己憐憫だった。相変わらず寒いなー。
そういうの、おやじが言うんでしょう。
婆が言う言葉じゃないでしょう。
失礼しました。大好きなお母様。
٩꒰ ˘ ³˘꒱۶~♡
小説に飽きたのか、寂しくなったのか、はたまたLOVEが足らないのか
かあさんは、俺の腹の上に耳をつけて横になっている。
そして、時折、信じられないことをする。
俺はそのたびに、かあさんの頭をぽかっとたたく。
「まあ、このこは、親の頭をたたいて……」
かあさんはびっくりしたような顔で言う。
そりゃあさ、確かに、親の頭を殴る息子も息子だけど、
その息子の息子に障っていたずらして、小悪魔みたいな顔で笑うのやめてくれよ。
そして、悲しいことに時折、そのどうしようもないいたずらに俺の息子は反応する。
こんなことをクリスチャンになりたいという人が書いていいのか?
ま、いいか。神様は全部お見通しなんだろうから。
ってことで、あはは、暴露してやった。
妹も、かあさんのボディタッチにうんざりして逃げていった。
きっと、愛着障害から来てるのかな。
そのやたら、ハグしたりベタベタしたがる癖。
「ラブが足らない」
と、のたまう。
だいたい、43の男をハグして、頭なでなでして、
それって昔ネグレクトしたことを取り返そうとしてる?
理由なんて、きっと今の精神医学ではわからないんだろうね。
実験用の愛着障害のサルがぬいぐるみを離せないのと似たようなものなのかな。
ハーローの猿実験だっけ?
”鉄の乙女”はワイヤーで作られており、胸の部分から哺乳瓶が突き出ていた。
もう一方の人形は柔らかい布で包まれているが、乳は出ない。
代理母実験。
当然、乳の出るワイヤーを選ぶと思われたのだが、
サルはほとんどの時間を乳の出ない柔らかい布とすごした。
わけわかんないことが一杯。
俺は乳の出ない柔らかい布でもぬいぐるみでもないんですが……。
かあさんは、きっとガーデニングでも面白くないことが一杯あるんだろうな。
あんなに楽しみにしていた、カサブランカも今年は4輪小さなお花が咲いただけだし、
春にあんなにたくさんあったお花はほとんど終わってるし、
都合の悪いことに今年はアジサイをたくさん増やしてしまったから
場所だけとって花ではなくて緑のお庭になりそうになっている。
それでも、ネコノヒゲやハイビスカス、サルビア、インパチェンス、
ニチニチソウは、花粉症の俺を悩ませてくれるんだけど。
それにしても、よく雨が降るよな。
しかも、恐ろしいほどの大雨。
かあさんはきっと、雨の風情を楽しむゆとりもないのだろう。
あまり外に出ることもなく、一日中、家の中で、出版物とにらめっこ。
注意欠陥障害で悩むなら、少しゆっくりと味わったらいいのに。
気がせくんだろうね。
まあ、注意過多の俺にはかあさんの悩みは一生理解できないのかもしれない。
「子供って本当に、叱られたりした嫌なことばかり覚えているのよね」
かあさんは俺の頭を何万回なでただろう。
何万回、どうしようもない俺を許し、是認してくれただろう。
そのお陰で、精神障害者年金をもらうような状態になっても
俺は自分を好きでいられるんだろう。
俺は俺が好きです。
俺は俺が大好きです。
俺はかあさんが好きです。
俺はかあさんが大好きです。
あ、心配しないで。
マザコンじゃないと思う。
たぶん……。
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