2 / 238
2
しおりを挟む
「オイッス!」
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母さん、最近、お花をたくさん買ってきているみたいだけど、
大丈夫?
昨日来たときもたくさんあったけど、
今日はまた増えている。
母さん、寂しいからお花やさんに行っちゃうのかな。
母さんの寂しさは、どうやったら癒せるんだろう。
このままだと、母さんの生活費がなくなるんじゃないかと
俺は心配している。
キーボードも買いたい。
テレビも買いたいっていっていたけど、
ひょっとして、お金もうなかったりして。
母さんは時たま、記憶をなくして、
わけのわからないことにお金をみんな使ってしまって、
空財布にして、そのへんに分投げる癖は、
何十年立っても変わらないみたいで、
それが母さんの病気の症状なのかな。
今日も俺は、母さんが寂しがるから
母さんのアパートの掃除に来たんだけど、
昨日、あんなに掃除してきれいにして帰ったのに
今日はまた、布団の上に皿と箸がのっかってる。
これじゃあ、いたちごっこで、
俺が毎日来なくちゃいけなくなっちゃう。
なんとかしてくれよ。
なんとかなんないのかよ。
年老いた親は、だんだん子供に帰っていくのかな。
「お浣腸沁みる?」と、おかん調子見る。
デルフィニウムのお花が気に入ったのかな。
たくさん増えたね。
背が高くて、青や水色でとってもきれいな品のいいお花だね。
まるで、ロリータファッションのレースのふりふりワンピースを着ている
かわいいお嬢ちゃんみたいではんなりとしていてあでやかでそれでいて、
上品な本当に素敵なお花だね。
小さないくつものお花が塔のように織り成して、
春の日の縁側でおしゃべりしてるみたいだね。
蝶々もほら、いっぱい遊びに来てにぎやかだね。
そういえば、小松菜の種をまいて、
芽が出てきたら、虫に見事に食べられちゃったってべそかいていたね。
「虫も食べないようなものを育てたくはないけど」
少しくらい残してくれたっていいのにね。
そしたら、共存できるのにね。
ポタジェガーデンは、消毒するのもお花と野菜が一緒に植えてあるから、
難しいんだろうな。
無農薬で野菜は育てたいものね。
かあさんのガーデニング好きは俺が小学1年生の頃からだよね。
俺が学校から帰ると、いつもお庭のバラの手入れをしていたよね。
俺は、だいすきなかあさんを
バラのお花にとられちゃったみたいで、
バラにやきもちを焼いていたっけ。
あはは、なつかしいな。
あれから、もう、36年もたったんだね。
デルフィニウムのお花、昨日俺が買えるときは、
2本だったのに、俺が帰ってから買いに行ったのかな。
それとも、今朝、俺が来る前に買いの行ったのかな。
今の母さんの楽しみは、お花だけみたいだから、
それでもいいかな~って思うんだけど。
新型の感染症が治まって、
また大家さんが一月に一回戻ってくるようになると、
増えすぎたお花を勝手に処分されちゃって、
かあさんがまた、重症うつ病みたいにならないか
俺はとっても心配。
だって、この前の時は、見てるだけでも辛いほど、
しょげて、
「早く死にたい」
とか言い出すし、幻聴まで聞こえていたんでしょう。
ほら、見てごらん。かあさん。
道行く人が、わざわざ、遊歩道からこちらを通って、
立ち止まってめいめいに、感嘆の声を上げてくれているよ。
今日の東京はどんよりぐもりで26℃。
また、水遣りだけでも大変な季節になるね。
もうすこし、外にまったりとお花を眺められたら、
いろんな人が声をかけてくれて、
寂しがりやの母さんも少しは楽しいんじゃないかなって
思うんだ。
今日は一緒に、天せいろを食べれて嬉しかったよ。
感染症が流行り始めてからは、
どこにも外食行かなくなって、
がまんしてたもんな。
さくさくの天ぷら、ぷりぷりのエビの旨み、噛み応え、
しし唐のさわやかさ、蕎麦湯の香、本当においしかったね。
舞茸の天ぷらもおいしいんだね。
かあさんの仏様みたいな笑顔、
大好きだからいつも静かに笑っていてくれると嬉しいな。
かあさん、いつもありがとう。
だいすきだよ。
デルフィニュウムの花言葉は、
「清明」「高貴」「あなたは幸福をふりまく」「誰もがあなたを慰める」。
デルフィニウム属とはキンポウゲ科の属の一つ。学名のDelphiniumは、ギリシア語でイルカを意味するDelphisから。これは、つぼみの形がイルカに似ていることに由来する。 和名はオオヒエンソウ属であるが、あまり和名は使われない。 ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、熱帯アフリカの山地に250種程度が分布する。
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母さん、最近、お花をたくさん買ってきているみたいだけど、
大丈夫?
昨日来たときもたくさんあったけど、
今日はまた増えている。
母さん、寂しいからお花やさんに行っちゃうのかな。
母さんの寂しさは、どうやったら癒せるんだろう。
このままだと、母さんの生活費がなくなるんじゃないかと
俺は心配している。
キーボードも買いたい。
テレビも買いたいっていっていたけど、
ひょっとして、お金もうなかったりして。
母さんは時たま、記憶をなくして、
わけのわからないことにお金をみんな使ってしまって、
空財布にして、そのへんに分投げる癖は、
何十年立っても変わらないみたいで、
それが母さんの病気の症状なのかな。
今日も俺は、母さんが寂しがるから
母さんのアパートの掃除に来たんだけど、
昨日、あんなに掃除してきれいにして帰ったのに
今日はまた、布団の上に皿と箸がのっかってる。
これじゃあ、いたちごっこで、
俺が毎日来なくちゃいけなくなっちゃう。
なんとかしてくれよ。
なんとかなんないのかよ。
年老いた親は、だんだん子供に帰っていくのかな。
「お浣腸沁みる?」と、おかん調子見る。
デルフィニウムのお花が気に入ったのかな。
たくさん増えたね。
背が高くて、青や水色でとってもきれいな品のいいお花だね。
まるで、ロリータファッションのレースのふりふりワンピースを着ている
かわいいお嬢ちゃんみたいではんなりとしていてあでやかでそれでいて、
上品な本当に素敵なお花だね。
小さないくつものお花が塔のように織り成して、
春の日の縁側でおしゃべりしてるみたいだね。
蝶々もほら、いっぱい遊びに来てにぎやかだね。
そういえば、小松菜の種をまいて、
芽が出てきたら、虫に見事に食べられちゃったってべそかいていたね。
「虫も食べないようなものを育てたくはないけど」
少しくらい残してくれたっていいのにね。
そしたら、共存できるのにね。
ポタジェガーデンは、消毒するのもお花と野菜が一緒に植えてあるから、
難しいんだろうな。
無農薬で野菜は育てたいものね。
かあさんのガーデニング好きは俺が小学1年生の頃からだよね。
俺が学校から帰ると、いつもお庭のバラの手入れをしていたよね。
俺は、だいすきなかあさんを
バラのお花にとられちゃったみたいで、
バラにやきもちを焼いていたっけ。
あはは、なつかしいな。
あれから、もう、36年もたったんだね。
デルフィニウムのお花、昨日俺が買えるときは、
2本だったのに、俺が帰ってから買いに行ったのかな。
それとも、今朝、俺が来る前に買いの行ったのかな。
今の母さんの楽しみは、お花だけみたいだから、
それでもいいかな~って思うんだけど。
新型の感染症が治まって、
また大家さんが一月に一回戻ってくるようになると、
増えすぎたお花を勝手に処分されちゃって、
かあさんがまた、重症うつ病みたいにならないか
俺はとっても心配。
だって、この前の時は、見てるだけでも辛いほど、
しょげて、
「早く死にたい」
とか言い出すし、幻聴まで聞こえていたんでしょう。
ほら、見てごらん。かあさん。
道行く人が、わざわざ、遊歩道からこちらを通って、
立ち止まってめいめいに、感嘆の声を上げてくれているよ。
今日の東京はどんよりぐもりで26℃。
また、水遣りだけでも大変な季節になるね。
もうすこし、外にまったりとお花を眺められたら、
いろんな人が声をかけてくれて、
寂しがりやの母さんも少しは楽しいんじゃないかなって
思うんだ。
今日は一緒に、天せいろを食べれて嬉しかったよ。
感染症が流行り始めてからは、
どこにも外食行かなくなって、
がまんしてたもんな。
さくさくの天ぷら、ぷりぷりのエビの旨み、噛み応え、
しし唐のさわやかさ、蕎麦湯の香、本当においしかったね。
舞茸の天ぷらもおいしいんだね。
かあさんの仏様みたいな笑顔、
大好きだからいつも静かに笑っていてくれると嬉しいな。
かあさん、いつもありがとう。
だいすきだよ。
デルフィニュウムの花言葉は、
「清明」「高貴」「あなたは幸福をふりまく」「誰もがあなたを慰める」。
デルフィニウム属とはキンポウゲ科の属の一つ。学名のDelphiniumは、ギリシア語でイルカを意味するDelphisから。これは、つぼみの形がイルカに似ていることに由来する。 和名はオオヒエンソウ属であるが、あまり和名は使われない。 ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、熱帯アフリカの山地に250種程度が分布する。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる