さくらこものがたり

誤情報

　公園の木々がすっかり葉を落とし、小春日和の穏やかな日差しがきらきらと舞い降りてくる日曜日、

さくらこは日向ぼっこをしていた。

雲一つない冬の青空。

憧れのたけちゃんのお父さんが、かさかさと落ち葉を踏みしめながら、

子供用の自転車を押している。

「おはようございます」

と、挨拶してくださった。

ごま白頭だけど、笑顔が素敵です。

赤と紺と白のトリコロールカラーのジャンパーがよく似合ってた。

子煩悩な男の人って見てても和みますよね。

たけちゃんもともたちゃんもパパと仲良しだから、

ええ男になるんでしょうね。楽しみですね。

うふ。逢っちゃった。

少し、胸をときめかしながらどんどん笑顔になっていく。

さくらこは、初恋中だとまだ気づかない。

東京 新型感染症 過去最多の621人感染確認 計4万6745人に

2020年12月12日 22時03分

【国内感染】新型感染症28人死亡 最多3041人感染（12日午後9時半）

2020年12月12日 21時31分

軽症でホテル療養中死亡 死因は新型感染症による急性気管支肺炎

2020年12月12日 21時57分

様々な情報が、飛び交う。

美しいもの、心躍るものだけを見ることができたら

とっても幸せなのにね。

情報の過剰供給は，指ぬきで消火栓から水を汲もうとするようなもの。

インフォデミック（正しい情報と誤った情報の両方が氾濫している状態）がオンラインゲームを支配している。

メディアが君臨する環境下では，何が“誤情報”で，何が“非情報”で，何が宣伝かを明確にすることはできない。単なる情報のみに注意を集中したことが，意義ある新知識の探求につながらず，どこまでも無意味な無数の断片的生データを過剰に取り込む結果になる。

さくらこは、むかーしやっていたオンラインゲームをまた始めたのだが、

昔の友達のずっと続けている人たちが、

マイタウンなるものを持っていて、

その自分の町に何件も家を建てているのが

うらやましくて仕方がなかった。

マイタウンの値段は２億。

リアルで、お花を植える土地がないから

ゲームに逃げ込んだのに、

ここでもまた土地問題ですか。

結局、こつこつ毎日努力している者が勝ちってことなんでしょうね。

どうやら、この問題から逃げることは不可能というか

この問題としっかり向き合って、

自分が本当に欲しいもの、

努力してでも手に入れたいものは何なのか

努力すれば手に入れられるものなのか

絵に描いた餅なのかをしっかり見極める必要があるようだ。

リアルでもバーチャルでも、

土地を購入するにはお金が必要である。

当然、金策をするわけだが、

なにをいつ、どう金策すればいいのか、

時間も体力も無限にあるわけじゃないから、

自分で選んで取り組んでいくわけだけど、

オンラインゲームの中では、

狩りをしてドロップしたアイテムを売るのが楽しかった。

オンラインゲームの中に、まさか誤情報が存在するなんて、

思ってもみなかった。

しかも、そのサイトは毎日今でも使っている

信用のおけるところだった。

そこでは、毒蛾の粉は４位にランキングされていた。

ド〇クエ10盗み金策|初心者向けおすすめランキング【2020年最新版】

という検索では、１位に載せられていた。

楽しみにして、狩りに行きたくさんとって、競売に出した。

ところが、ところがであーる。

何日たっても、全く売れない。

仕方なく、値段を下げたのだが、

破格の最安値にしても売れない。

しかも、買う人が買いやすいように

１０個単位の小分けにしたから、

競売に出せる８品目のうち６つも枠を取っている。

まるで、お百姓さんがせっかく作った農作物が売れないので

市場から引き上げ、畑の肥やしにする感覚。

あんな感じに襲われけている。

まして、畑の肥やしなら、まだ堆肥になるからいずれ作物に還元される。

でも、ゲーム内のアイテムは捨てるか投げ売りするか、

ぐすん。

楽しみにしていただけに、ショックなのである。

「ああああ」

社会科の先生が言っていたように、

一つの新聞、一つの雑誌を見て判断したわけじゃないのにな。

どんなに自己正当化しても売れないものは売れないのである。

需要と供給の関係で、需要のないものをどんなに安くしても

必要ないのだ。ごみなのだ。

ゴミ製造機なのか?

社会科の先生が、一緒に草むしりをしながら話してくださった教訓。

「目の不自由な人が、１０人で象を見に行った。

一人の人は、象の足に触って

象とは大きな柱みたいなものだと思い込んだ。

一人の人は象の鼻を触って、

象とは大きなホースみたいなものだと思い込んだ。

一人の人は、象の耳に触って

象とは大きなうちわみたいなものだと思い込んだ。

一人の人は、象の体に触って、

象とは大きなしわくちゃの壁みたいなものだと思い込んだ。

１０人誰一人として、象の本当の姿を知ることができなかった。」

「思い込みが怖いということですか?」

「そうだね、それもあるけど、一つの情報で決めつけるのは怖いと話だね」

「新聞を何社もとっている家は少ないですものね」

「そうだね。だけど悲しいことに人間は思い込みで生きている」

とっても有益な一生使えそうな訓戒でした。

それにしても、オンラインゲーム怖いです。

ここまではまるとは思いませんでした。

運営さん、ありがとう。

ゲームを通して学べることもあるんですね。

フェイク、虚偽報道に気を付けよう。

さくらこ中学１年生。１３歳。

スポンジみたいにどんどん知恵を吸収したい。

「我が子よ，あなたがわたしのことばを受け入れ，わたしのおきてを自分に蓄え，そして，耳を向けて知恵に注意を払い，心を識別力に傾けるなら，さらに，理解を求めて呼ばわり，識別力を求めて声を上げるなら，銀を求めるようにそれを求めつづけ，隠された宝を求めるようにそれを尋ね求めつづけるなら，そのとき，あなたはエホバへの恐れを理解し，まさに神についての知識をも見いだすことであろう。エホバご自身が知恵を与えてくださるからである。そのみ口からは知識と識別力が出る。知恵があなたの心に入り，知識があなたの魂に快いものとなるとき，思考力があなたを守り，識別力があなたを保護するであろう」― 箴言 2:1-6，10，11。

一個人では太刀打ちできない世の中になりつつある。

情報を見極め、協調していく力を身に着けるのが

さくらこたちの世代の必須事項なのだろうか。

立場や利害が異なっても強調することで強くなれる。

よーく読んでよーく聞いて、

自分で選んでいく。

素晴らしい世界が待っている。