陽だまりの家

梅雨の晴れ間

梅雨の晴れ間

サクラは25歳の若い母親だ。彼女には三人の娘がいる。5歳の長女ハル、3歳の次女ヒナ、そして1歳の三女ミク。サクラは母子家庭としての生活を送っているが、それでも幸せな日々を送っている。

今日は梅雨の晴れ間だ。朝からの雨がやんで、空には薄い雲が漂っている。サクラは娘たちを連れて近くの公園へ出かけることにした。公園は雨上がりの清々しい空気に包まれていて、植物の緑が一層鮮やかに見える。

「ママ、見て！お花がいっぱい咲いてるよ！」とハルが叫びながら走り出した。その後をヒナとミクも楽しそうに追いかける。サクラは微笑みながら、少し遅れて歩いていく。娘たちの無邪気な笑顔を見るたびに、彼女は自分がこの子たちの母親であることに感謝の気持ちが湧いてくる。

公園のベンチに座り、サクラは持ってきたお弁当を広げた。簡単なおにぎりとおかずだが、娘たちは大喜びでそれを食べ始めた。ハルは「ママのおにぎりが一番おいしい！」と言って、目を輝かせながら食べている。ヒナもミクも、それに続いて元気におにぎりをほおばっていた。

「お外で食べると、もっとおいしいね」とサクラは微笑んで言った。娘たちも「うん！」と元気よく答える。

お弁当を食べ終わると、娘たちはまた走り出した。サクラはベンチに座ったまま、彼女たちの様子を見守る。ハルは大きなシャボン玉を作り、ヒナとミクはそれを追いかけて楽しんでいる。サクラの心には、娘たちの笑顔が刻まれていく。

「ママ、一緒に遊ぼう！」とハルが手を振って呼びかけた。サクラは立ち上がり、娘たちの輪に加わった。彼女はシャボン玉を吹いたり、鬼ごっこをしたりして、一緒に遊んだ。時折、雲間から陽の光が差し込み、公園全体がキラキラと輝いて見えた。

時間が経つのも忘れて遊んでいるうちに、サクラはふと時計を見て驚いた。「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか。」と声をかけると、娘たちは少し名残惜しそうにしながらも、「うん、また来ようね！」と明るく答えた。

家に帰る途中、サクラは思った。母子家庭としての生活は決して楽ではないが、それでも彼女は娘たちとの時間を大切にし、一緒に過ごすことで多くの喜びを見つけていた。彼女にとって、この小さな幸せが何よりも大切だった。

家に帰ると、サクラは娘たちをお風呂に入れ、夕飯の準備を始めた。娘たちは疲れ切って早く眠りについた。サクラは一人でリビングに座り、今日の出来事を思い返した。雨上がりの公園での楽しいひととき、娘たちの笑顔、そして一緒に過ごした時間。彼女の心は満たされていた。

サクラは明日のことを考えた。明日もきっと素晴らしい日になるだろう。娘たちと一緒に過ごす日々が、彼女にとっての宝物だ。どんな困難が待っていようとも、サクラはこの幸せを守り続けると決意した。

SNSを見ていたら、小さな子供の家のお母さんたちが、子供たちのぴょんぴょん跳ねることにさえ、下の住民に気を遣って目くじら立ててしまうことが書かれていた。
マイホームの二世帯住宅でさえ、歩くのにも気を遣い、すり足になってしまうという。
サクラは、一階にしか住んだことがないからそこら辺の心づかいはからっきし皆無。

「みんな、生活大変そう」
「ここは団地だけど、1階だからねー」

サクラは、夫が身罷ったあと、重症のうつ病になり、精神障碍者年金と生活保護で暮らしている。
卑屈になることなく、感謝のある生活を続けていきたい。
いつか家族で社会にお返しできたら嬉しいな～♪

窓の外を見ると、再び雨が降り始めていた。でもサクラの心には、晴れやかな気持ちが広がっていた。彼女は静かに微笑み、明日への希望を胸に抱いて眠りについた。