春秋花壇

もみまき

健太郎と父親は、朝の日差しを浴びながら、広大な田んぼに立っていました。田圃は新緑の稲の苗が一面に広がり、風にそよぐ様子が穏やかな風景を作り出しています。彼らはその中央に設置された作業場に向かって歩み、準備を始めました。

手順通りに進めていき、健太郎は桶にもみだねを洗う水を満たし、丁寧にもみだねを洗い始めました。水面に広がるもみだねの影が、朝日の光を反射し、きらきらと輝いています。彼の手は水しぶきとともに器用に動き、土や不純物を取り除きます。

土を詰めた箱に籾をまく際、父親は丁寧に箱を支え、健太郎は一粒ずつを手でまきます。籾が箱に穏やかに散らばり、そこに父親の声が木々の間を響き渡ります。彼らの声が鳥のさえずりに混ざり、自然と一体となっています。

培養土をかぶせる際、健太郎の表情には真剣さと喜びが交じり合っています。彼の手は優しく、土を苗にかける際、苗への愛情と尊敬が感じられます。父親も彼の姿を見守り、時折助言を与えながら、彼の成長を嬉しそうに眺めています。

最後に苗を並べる作業が終わり、二人は田んぼを見渡しました。一面に広がる苗は風に揺れ、その美しい光景が彼らの心を癒しています。彼らの周りには静寂が広がり、自然と調和するその姿が、穏やかな安らぎをもたらしています。


もみまきの手順は次のとおりです。
もみだねを洗う。
箱に土を入れておく。
土の上に籾をまく。
もみの上に培養土をかぶせる。
もみのまかれた箱を育苗用のケースの中につんで行く。
外に出して並べる。
2、3日の間カンレイシャ（黒い網）をかけておく。
苗の大きさが13センチを過ぎる頃田植えとなる。
もみまきから約1ヶ月後には植えることになります。
苗は、発芽の後、苗の高さが12～15cmまで成長し、本葉が3～5枚になったら田植えできます。これは、種まきからおよそ20～40日後のこととなります。
苗の栽培には、田んぼに種籾をまいてそのまま育てる「直播栽培」と、苗代田や育苗ハウスで育てた苗を移植する「移植栽培」の2つの栽培法があります。現在では、移植栽培が主流です。


田舎の小さな村に住む農家の息子、健太郎は、毎日のように田んぼで働いていました。春が訪れ、稲作の準備が始まると、彼は父親と一緒にもみまき作業に取り掛かりました。

まず、健太郎と父親は大きな桶にもみだねを洗い始めました。水を入れた桶にもみだねを入れ、手でこすり洗いながら、土や異物を取り除きます。汗ばんだ顔と汚れた手が、農作業の厳しさを物語っています。

次に、父親は土を詰めた箱を用意し、健太郎は慣れた手つきで籾をまきました。一粒一粒、大事に大事にまきつづける姿は、彼らの農業への愛情と責任感を感じさせます。

籾をまいた後、健太郎は培養土を丁寧にかぶせました。土を手で軽く押さえながら、苗がしっかりと根付くように心を込めて作業します。父親は彼の姿を見つめながら、満足そうに微笑みます。

完成したもみの箱は、育苗用のケースに丁寧に運ばれました。健太郎は力強く持ち上げ、父親は箱を慎重に後ろから支えます。二人の息ぴったりの連携が、農作業の効率を高めます。

田んぼに出された箱は、並べられた苗が太陽の光を浴びるように配置されました。健太郎は手で汗をぬぐいながら、一生懸命苗を見守ります。これからの成長が楽しみで、期待に胸を膨らませています。

そして、2、3日間はカンレイシャ（黒い網）で覆われます。父親はその間も健太郎と一緒に田んぼを見守り、大事な苗が害虫や鳥から守られるようにします。

約1ヶ月後、苗の大きさが13センチを超える頃、健太郎と父親は喜んで田植え作業に取りかかります。苗がしっかりと育ち、新しい命が田んぼに根付く瞬間に、彼らの農家としての誇りと喜びが満ち溢れます。


健太郎は田んぼに立ち、手に籾を持ちながら、期待と興奮が胸を躍らせています。彼の目は輝き、明るい未来への希望が溢れています。苗を育て、稲穂が実る姿を想像するだけで、彼の心はわくわくと高鳴ります。

一方、父親は健太郎の横で静かに立ち、彼の成長を見守っています。彼の表情は満足と誇りに満ち、健太郎の努力と成長を称賛しています。父親の目からは、愛情と信頼がにじみ出ています。

作業が進むにつれ、健太郎の心は次第に安らぎに包まれていきます。手を動かす音や田んぼの静けさが、彼の心を穏やかにしています。彼は自然と調和し、土と苗との触れ合いで心が満たされています。

一方で、父親は健太郎の成長と未来への希望に寄り添いながら、静かな感慨に耽っています。彼の心は幸せで満たされ、健太郎の努力と成長に対する深い感謝の気持ちで満ちています。

田んぼには静かな喜びと満足が漂い、健太郎と父親の絆が深まっていく様子が感じられます。彼らの心は、自然との一体感と家族の絆で満たされ、穏やかな幸福感に包まれています。