憧れから始まった恋

春秋花壇

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葬儀後の闇

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葬儀後の闇

池田舞は深く黒いドレスを身に纏い、葬儀の最中も心の中で別のことを考えていた。夫が亡くなったことで、その心情は本物の悲しみよりも、むしろ面倒事がひとつ片付いたという安堵感に近かった。しかし、その心情が誰にも知られぬように、舞はしっかりと涙を流す演技をしていた。

「本当に素晴らしい人だったわ」と、舞は周囲に向かって言った。微笑んだまま、完璧に演じた。しかし、その言葉の裏には全く異なる意味が込められていた。舞が本当に考えていたのは、葬儀を終えた後に待つ新しい展開だった。

その夜、葬儀に出席していた夫の同僚、山口陽が舞の視界に入ってきた。陽は舞の夫の知人であり、少し年上だったが、舞にはその無駄のない洗練された雰囲気が非常に魅力的に映った。陽の目が舞に止まる瞬間、舞の心は一瞬で変わった。夫の死という厄介な束縛から解放され、今度は自分の未来を形作ることができる。

その夜、舞は家に戻り、息子の部屋に足を踏み入れた。息子はまだ若く、舞が思い描く未来に邪魔な存在だった。夫の死後、舞は確信した。今、息子が家にいる限り、陽との関係を築くことはできない。息子が次に葬儀の席に現れる時、それが陽と再び会うチャンスになる。だから、今夜、息子は――。

舞は息子に近づき、冷静に視線を合わせた。彼女の心には一瞬の躊躇いもなく、決断が下されていた。

「あなた、すぐにいい男を見つけるべきね」と、舞は息子に言った。

息子は舞の言葉を何も知らぬまま、ただ笑って応じた。しかし、舞の目は冷徹であり、彼女の心にはすでに息子の未来を断つ計画ができ上がっていた。

その夜、家の中に響くことのない静けさの中、舞は行動を起こした。最初はゆっくりとした足音で息子の寝室に近づき、次第にその手を滑らせると、息子の呼吸の音を確かめながら、息子の手を冷たく握った。

「お母さん、どうして――？」

息子の言葉が絞り出された瞬間、舞は息子を深く抱きしめながら、その喉を閉ざした。息子の目が見開かれるのを見届けながら、舞は何も感じなかった。

動機
陽が舞の心に現れたのは、まさに偶然だった。葬儀に出席した時、彼は冷静に周囲を見渡していたが、舞を見た瞬間、その瞳が何かを感じ取ったような気がした。しかし、それは決して愛ではなかった。

舞の目には、ただの「チャンス」として映っていた。陽の目が舞に引き寄せられたのは、それだけだった。

息子を殺す理由。それは舞にとっては計算に過ぎなかった。息子が次の葬儀の席に現れれば、陽と会うことができる。しかし、それが現実にならなければ、息子は邪魔でしかない。舞が目指すのは、陽との関係を進めることだけだった。そのために、舞は冷徹に決断を下した。

陽との再会
息子を殺した後、舞は何事もなかったかのように次の日を迎えた。葬儀が終わり、そして陽との再会の日が近づく。舞は冷静に息子の葬儀の準備を進めながら、その日を待ちわびていた。

「あなたがまた来てくれることを楽しみにしているわ」と、舞は心の中で陽に話しかける。

彼女の心には、もう迷いはなかった。息子を失うことが、新たなチャンスを生むための道だと信じていた。陽との未来を手に入れるために、全てを犠牲にした。そのために、舞はどんな手段も選ばなかった。

そして、次の葬儀の日、舞は陽と目が合うのを待っていた。再び会えるその瞬間が、舞の人生を形作る鍵になることを確信していた。

終わり

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