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12月9日，月曜日

12月9日，月曜日

新しい人格を身に着けましょう。（コロ 3:10）

罪を犯してしまったことを後悔するだけでは十分ではありません。行動を起こす必要があります。許すかどうかを判断する際にエホバが考慮に入れる大切な要素は，生き方を変えているかどうかということです。ですから，良くない生き方をやめてエホバに喜ばれる生き方をする必要があります。（イザ 55:7）つまり，考え方を変え，エホバの考え方に沿った生き方をする必要があるということです。（ロマ 12:2。エフェ 4:23）これまでの良くない考え方や行動に戻らない，と決意しなければなりません。（コロ 3:7-9）もちろん，エホバから許していただき，罪から自由になるには，キリストの犠牲に信仰を抱く必要があります。私たちが生き方を変えるために真剣に努力する時，エホバはこの犠牲に基づいて私たちを許してくださるのです。（ヨハ一 1:7）塔研22.06 6ページ16-17節

聖書を毎日調べる 2024


「新しい衣を纏うとき」

澄んだ冬の空が広がる12月9日の朝、教会の鐘が静かな街に響き渡っていた。ユリは街外れの小さな家の窓からその音を聞きながら、静かに祈りを捧げていた。彼女の心の中には、ある重い後悔がこびりついていた。

それは数週間前のことだった。ユリは衝動に負け、会社の金庫から小さな額ではあったが金銭を手にしてしまった。生活に困窮していたわけではない。ただ、その場の自分を抑えられなかっただけだ。しかし、それは彼女の人生観を揺るがす一線を越える行為だった。

罪悪感はその夜からユリの胸を蝕み続けた。誰にも告げられない秘密は、日増しに彼女を追い詰めていく。夜も眠れず、仕事にも集中できない日々が続いた。

ある日、職場の同僚で信仰を持つノゾミがふとユリに声をかけた。

「最近、元気がないみたいだけど、大丈夫？」

ユリは反射的に笑顔を作ったが、ノゾミの真剣な眼差しに押されて、ついに涙があふれた。彼女はすべてをノゾミに打ち明けた。

「私はひどい人間よ。あのとき、ただの一瞬の気の迷いで、取り返しのつかないことをしてしまった。」

ノゾミは黙って聞いていたが、やがて静かに言った。

「エホバは後悔するだけでなく、変わることを望んでいるのよ。ユリが本当にその行為を悔いていて、新しい人格を身に着けようとするなら、エホバは許してくれる。」

その言葉に、ユリの心は少しだけ救われた気がした。

次の日、ユリは意を決して上司にすべてを告白し、金額を返済した。上司は驚きつつも、「正直に話してくれてありがとう」と告げ、重い処分は下されなかった。しかし、それ以上にユリを動かしたのは、自分が変わる必要性を実感したことだった。

ユリは毎日の祈りを欠かさず、聖書を読み始めた。「コロサイ3章10節」の言葉、新しい人格を身に着けるという教えが特に彼女の心に響いた。これまで自分を縛っていた古い価値観を捨て、エホバの喜ぶ生き方をする決意を固めた。

「この行動がただの自己満足ではないように、本当に私の生き方を変えなければならない。」

彼女は、自分が少しでも役に立つ人間になれるよう、地元のボランティア活動に参加し始めた。子供たちへの読み聞かせや食事の配布、そこには罪悪感から逃れようとする行動以上の喜びがあった。

12月24日、街中にクリスマスのイルミネーションが輝く中、ユリはボランティア仲間たちと教会の外で温かい飲み物を配っていた。手を差し出す子供たちの笑顔に触れ、彼女は自然と微笑んだ。

その夜、祈りを捧げるユリの中には、以前のような重苦しさはなかった。

「エホバ、私の罪を許してください。そして、これからも私が新しい人格を纏い続ける力をお与えください。」

静かな部屋の中で、彼女は初めて心から穏やかな眠りについた。

彼女が選んだ新しい道は、まだ始まったばかりだったが、それは確かにエホバの望む「新しい人格」を身に着ける第一歩だった。