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11月22日，金曜日

11月22日，金曜日

神を少しも畏れないのか。（ルカ 23:40）

イエスが亡くなる前，共に杭に掛けられていた犯罪者はユダヤ人だったようです。ユダヤ人は，ひとりの神を信じていました。一方，周りの国々の人たちは複数の神を信じていました。（出 20:2，3。コリ一 8:5，6）ですから，その人がユダヤ人でなかったなら，今日の聖句は「神々を少しも畏れないのか」となっていたはずです。また，イエスが遣わされたのは，「イスラエル国民の迷い出た羊」を助けるためでした。（マタ 15:24）さらに，エホバはイスラエル人に死者の復活があることを伝えていました。この人の語った言葉からすると，この人はイエスが復活して神の王国の王になることを信じていたようです。神が自分のことを復活させてくれるとも考えていたのでしょう。この人がユダヤ人だったとすれば，アダムとエバを知っていたはずです。それで，イエスがルカ 23章43節でパラダイスのことを語った時，地球上の美しい場所をイメージしたでしょう。（創 2:15）塔研22.12 8-9ページ2-3節

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「悔い改めの祈り」

11月22日、金曜日の午後。空はどんよりと曇り、冷たい風が街を吹き抜けていた。

エリヤは刑場の杭に磔にされ、腕を痛みに震わせていた。隣には自分と同じく罪を犯し、この場に引き立てられた男が呻き声をあげている。そのさらに向こう側には、穏やかな目をした一人の男――イエスが静かに息を整えていた。

「おい、あんたが自分で言う通りメシアだっていうなら、こんな所から降りてみせたらどうだ！」

隣の男が声を張り上げ、イエスに挑発する。

エリヤはその言葉を聞き、胸の奥が疼いた。自分もまた罪人だ。盗みと暴力を繰り返し、多くの人々を傷つけてきた。それでも、隣の男が口にした挑発の言葉には耐えられなかった。

「お前は神を少しも畏れないのか？」

かすれた声でそう言い返す。隣の男が嘲笑するようにエリヤを睨むが、彼は視線を逸らさずに続けた。

「俺たちは自分のしたことの報いを受けている。だが、この方は何も悪いことをしていない。」

エリヤは頭を上げ、イエスを見つめた。その目には痛みが浮かんでいたが、不思議と安らぎも感じられた。

「イエス様、あなたが王国に入られる時、私を思い出してください。」

エリヤの声は震えていた。自分のような罪深い人間が、その言葉を口にする資格があるとは到底思えなかった。それでも、心の奥底から願わずにはいられなかった。

イエスはゆっくりとエリヤに視線を向け、微笑んだ。その微笑みは、冷たい風の中でも暖かな光のように感じられた。

「あなたに言います。今日、あなたは私と一緒に楽園にいます。」

その言葉を聞いた瞬間、エリヤの胸に広がったのは説明しがたい平安だった。

エリヤの人生は罪にまみれていた。子供の頃、父親が戦争で亡くなり、母親と二人で細々と暮らしていたが、飢えに耐えかねて盗みを働くようになった。それがやがて習慣となり、いつしか他人の痛みに無感覚になっていた。

「神なんているものか。」

そう自分に言い聞かせては罪を正当化してきた。だが、今この瞬間、イエスの言葉を聞いた時、エリヤの中で何かが崩れ落ちた。

イエスは神を信じていた。罪なき彼が自らの苦しみを受け入れ、エリヤのような者にすら救いを与えようとしている。

「楽園……。」

エリヤは目を閉じ、その言葉をかみしめた。自分には見たこともないが、きっとそれはアダムとエバがかつて住んでいた楽園のような場所なのだろう。神の愛が満ちた、美しい地球の姿。

どれほどの時間が過ぎたのか分からないが、気づけば痛みが薄れ、意識が遠のいていくのを感じた。

その日の夕暮れ、空は茜色に染まり、刑場の丘を静かに包んだ。エリヤの心には、罪を悔い改めた者に与えられる希望と平安が確かに刻まれていた。

そして彼は、最後の息を吐きながらその平安の中で死んでいった。いつか訪れる楽園の約束を胸に抱きながら。