いとなみ

聖夜に響く言葉

聖夜に響く言葉

街は煌びやかなイルミネーションで彩られ、遠くから鐘の音が静かに響いてきた。肌を刺すような寒さの中、ふと足を止めると、冷たい空気が肺を満たした。しかし、その清涼感は束の間、胸の奥が締め付けられるような痛みに変わった。

「なんで恋なんかしてんだろう？」

自分に問いかけてみても、答えは見つからない。今日は聖夜。街は愛を語り、恋人たちは手をつなぎ、祝福に満ち溢れている。でも僕は、胸の中に渦巻くこの感情に、どう向き合えばいいのか分からなかった。

街角を曲がると、煌びやかな街灯と、カラフルな光を放つクリスマスツリーが目に飛び込んできた。彼女の笑顔を思い浮かべると、目を背けたくなる衝動に駆られた。あの笑顔がどれほど大切だったとしても、今の僕には守る術がない。

「会いたいな……」

思わず、吐息のように言葉が漏れた。会いたいという想いが募り、会えない時間が胸を締め付ける。当たり前の感情のはずなのに、なぜこれほど苦しいのだろう。彼女の心の内を知りたいと、切実に願った。

「君がどう思っているのか、教えてほしい……」

言葉にするのは、やはりためらわれる。分かっている、サンタクロースに願ったところで叶うはずもない。ただ、彼女がそばにいてくれることを、切に願っていた。

トナカイの角をつけたカップルが、楽しげに通り過ぎていく。心の中で「よくやるな」と呟くが、それは強がりだった。本当は、心底羨ましかった。

「君が喜ぶプレゼントって何だろう。僕だけがあげられるものって、何だろう……」

何を贈れば、君は喜んでくれるのだろう。そんなことを考えながら、一人、夜の街を彷徨う。答えは見つからないままで、ただ時間だけが過ぎていく。

「大好きだ……」

もし彼女がその言葉に応えてくれなかったらどうしよう、という不安が頭をよぎった。返事が思っていたのと違っても、それで彼女を嫌いになるわけがない。そんなことは分かっていた。だからこそ、素直に願った。

「星に願いをかけるなんて柄ではないけれど、それでも、君でなければ意味がないのだと、強く思った。」

見上げると、凍てつく夜空に星々が瞬いていた。願いをかけるなんて柄ではないと思っていたけれど、今は心からそう思った。彼女と一緒にいなければ、意味がないのだと。

あの時、君に出会ったことで、僕の中の何かが変わった。それまでは気づかなかった自分が、次々と浮かび上がってくるようだった。毎日、君のことを想っていた。この気持ちを知ってほしかった。

行き交う人々の中に、君の姿を探してしまう。こんな夜も、他の誰かと笑い合っているのだろうか、と胸が締め付けられた。横にいてほしい、ただそれだけ。どこにも行ってほしくない、ただ、僕のことだけを想っていてほしい。

だけど、この想いを言葉にするのは、やはりためらわれる。だから、この想いを言葉にするのはやめよう。ただ、最後に、伝えたい。

「君が好きだ。」

囁くように、もう一度。

「君が好きだ……。」

届くはずのない言葉は、静かな夜空に溶けていった。