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きみいろの幸せ
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「きみいろの幸せ」
目覚まし時計が鳴る前に、僕は目を覚ました。薄暗い部屋の中で、隣に眠る君の姿を見ると、胸がじんわりと暖かくなる。少しだけ乱れた髪、子供みたいに穏やかな寝顔。君は朝が苦手だから、起こすのはいつだって僕の役目だ。
「おはよう」
小さな声でそう告げると、君は決まって僕の手を頬に当てる。そして、眠そうな目を少しだけ開けて、幼い顔でじゃれるように言う。
「こっちきて。」
困ったように微笑みながら、僕は君の隣に腰を下ろす。それだけで、君は安心したように再び目を閉じる。僕はその仕草がたまらなく愛しい。この朝の儀式が、僕らの日常の始まりだ。
君はソファの定位置に座るのが好きだ。お気に入りのブランケットを膝にかけ、少しぼんやりした表情でテレビをつける。「かまってほしいオーラ」を全身で放ちながら、僕の方を何度もちらちら見る。君のそんな姿に、僕は困ったように笑いながらも、つい君の隣に腰を下ろしてしまう。
「何年経っても、ずっとこんな風に一緒にいられるといいね。」
僕がそう言うと、君はいたずらっぽく笑って言う。
「それ、プロポーズ?」
君の言葉に驚きつつも、僕は冗談にして流してしまう。けれど本当は、君だけを想うこの気持ちがどれほど深いものか、君にはまだ伝えられていない。
ある日曜日、僕たちは家でのんびりと過ごしていた。外はすっかり暗くなり、君が大好きなコンビニデートに出かける時間だ。部屋着にサンダル姿の君は、まるで子供みたいに楽しそうな顔で、いつものようにカゴいっぱいにカップ麺やお菓子を詰め込む。
「こんなに食べきれる?」
僕が笑いながら尋ねると、君は満足げな笑みを浮かべて言う。
「明日から頑張るんだから、今日はいいの!」
その無邪気な笑顔を見ていると、どんな些細な時間も君と一緒なら幸せだと感じる。きっと、君が僕の世界を「きみいろ」に染めているからだ。
君はくっつくのが少し苦手だ。だから、僕は君が眠りについたあと、そっと後ろから抱きしめる。温かい君の背中に触れていると、どんな不安も小さくなる気がする。君の寝返りが多いことも、朝が弱いことも、全部ひっくるめて君らしい。直してほしいと思う部分もあるけれど、それがなくなったらなんだか物足りない気がするから、そのままの君を抱きしめ続けようと思う。
ある日、僕は君に「可愛いね」と言った。すると、君は照れ隠しに「知ってるよ」と言いながらそっぽを向いた。でも、その頬がほんのり赤く染まっているのを僕は見逃さなかった。
「可愛い。」
僕がもう一度そう言うと、君は大きなため息をつきながらも、ついに笑ってしまった。その笑顔を見るたびに思う。僕の心は、君の色に染まっているのだと。
何年経っても、僕は君のそばにいたい。君の良いところも、悪いところも、全部含めて君が大好きだ。君がいれば、僕の日常はいつも幸せに満ちている。
ある夜、僕はふと君に言った。
「大丈夫、僕らの歩幅で、一緒に歩いていこうね。」
君は驚いた顔をしたあと、小さく微笑んで言った。
「それ、プロポーズだよね?」
僕はもう逃げなかった。
「そうだよ。君が僕の幸せなんだ。」
君は一瞬驚いた表情を浮かべたあと、ふわりと笑って「よろしくね」と呟いた。その瞬間、僕の世界はさらに鮮やかな「きみいろ」に染まっていった。
解説
この物語は、主人公が恋人との何気ない日常に幸せを感じる様子を描きながら、徐々に深まる愛情を表現しています。相手の欠点も含めて「そのまま」を受け入れることで、お互いにかけがえのない存在になる過程を繊細に描写しました。特別な出来事ではなく、日常の中にこそ幸せがあるというメッセージが込められています。
目覚まし時計が鳴る前に、僕は目を覚ました。薄暗い部屋の中で、隣に眠る君の姿を見ると、胸がじんわりと暖かくなる。少しだけ乱れた髪、子供みたいに穏やかな寝顔。君は朝が苦手だから、起こすのはいつだって僕の役目だ。
「おはよう」
小さな声でそう告げると、君は決まって僕の手を頬に当てる。そして、眠そうな目を少しだけ開けて、幼い顔でじゃれるように言う。
「こっちきて。」
困ったように微笑みながら、僕は君の隣に腰を下ろす。それだけで、君は安心したように再び目を閉じる。僕はその仕草がたまらなく愛しい。この朝の儀式が、僕らの日常の始まりだ。
君はソファの定位置に座るのが好きだ。お気に入りのブランケットを膝にかけ、少しぼんやりした表情でテレビをつける。「かまってほしいオーラ」を全身で放ちながら、僕の方を何度もちらちら見る。君のそんな姿に、僕は困ったように笑いながらも、つい君の隣に腰を下ろしてしまう。
「何年経っても、ずっとこんな風に一緒にいられるといいね。」
僕がそう言うと、君はいたずらっぽく笑って言う。
「それ、プロポーズ?」
君の言葉に驚きつつも、僕は冗談にして流してしまう。けれど本当は、君だけを想うこの気持ちがどれほど深いものか、君にはまだ伝えられていない。
ある日曜日、僕たちは家でのんびりと過ごしていた。外はすっかり暗くなり、君が大好きなコンビニデートに出かける時間だ。部屋着にサンダル姿の君は、まるで子供みたいに楽しそうな顔で、いつものようにカゴいっぱいにカップ麺やお菓子を詰め込む。
「こんなに食べきれる?」
僕が笑いながら尋ねると、君は満足げな笑みを浮かべて言う。
「明日から頑張るんだから、今日はいいの!」
その無邪気な笑顔を見ていると、どんな些細な時間も君と一緒なら幸せだと感じる。きっと、君が僕の世界を「きみいろ」に染めているからだ。
君はくっつくのが少し苦手だ。だから、僕は君が眠りについたあと、そっと後ろから抱きしめる。温かい君の背中に触れていると、どんな不安も小さくなる気がする。君の寝返りが多いことも、朝が弱いことも、全部ひっくるめて君らしい。直してほしいと思う部分もあるけれど、それがなくなったらなんだか物足りない気がするから、そのままの君を抱きしめ続けようと思う。
ある日、僕は君に「可愛いね」と言った。すると、君は照れ隠しに「知ってるよ」と言いながらそっぽを向いた。でも、その頬がほんのり赤く染まっているのを僕は見逃さなかった。
「可愛い。」
僕がもう一度そう言うと、君は大きなため息をつきながらも、ついに笑ってしまった。その笑顔を見るたびに思う。僕の心は、君の色に染まっているのだと。
何年経っても、僕は君のそばにいたい。君の良いところも、悪いところも、全部含めて君が大好きだ。君がいれば、僕の日常はいつも幸せに満ちている。
ある夜、僕はふと君に言った。
「大丈夫、僕らの歩幅で、一緒に歩いていこうね。」
君は驚いた顔をしたあと、小さく微笑んで言った。
「それ、プロポーズだよね?」
僕はもう逃げなかった。
「そうだよ。君が僕の幸せなんだ。」
君は一瞬驚いた表情を浮かべたあと、ふわりと笑って「よろしくね」と呟いた。その瞬間、僕の世界はさらに鮮やかな「きみいろ」に染まっていった。
解説
この物語は、主人公が恋人との何気ない日常に幸せを感じる様子を描きながら、徐々に深まる愛情を表現しています。相手の欠点も含めて「そのまま」を受け入れることで、お互いにかけがえのない存在になる過程を繊細に描写しました。特別な出来事ではなく、日常の中にこそ幸せがあるというメッセージが込められています。
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