いとなみ

憧れの帰り道

憧れの帰り道

学校帰りの道を歩きながら、私は少しだけ足取りが軽かった。高校デビューを果たしてからというもの、少しずつだけど、毎日がキラキラして見える。長い髪をサラリと肩にかけ、どこかラノベの主人公のような清楚な雰囲気をまとった自分。まるで別の誰かになったみたいで、新しい自分に少しずつ慣れてきているところだ。

今日も友達と一緒に学校を出た。少し賑やかで、他愛もないおしゃべりが飛び交う。今の目標は、みんなと楽しく話せるようになること。まだ少し緊張するけど、人の話をじっくり聞いて、相手の良いところを見つけられる人になりたい。それに、自然に自分の気持ちを伝えられるようになりたいと、そう思っている。

友達と別れて、一人で歩いていると、ふと脳裏に浮かぶのはドッグランで出会ったあの人のことだ。大人っぽくて、落ち着いた雰囲気の28歳の男性。彼は犬を連れてよくドッグランに来ていて、私も散歩がてら寄り道するのが楽しみになっている。

最初はただの挨拶程度だったけれど、最近は少しずつ会話も増えてきた。彼の穏やかな笑顔が、どこか癒されるというか、落ち着くというか…。私の心の中に、ふわりとした暖かい気持ちが芽生えていることに気づいてしまった。

ある日、いつものようにドッグランに寄ってみると、彼が犬と楽しそうに遊んでいるのが見えた。私に気づくと、彼は優しく手を振ってくれる。私は少し恥ずかしさを覚えながらも、足を運び、近くに座った。

「今日は学校どうだった？」彼が穏やかに尋ねてくれる。

「楽しかったです。友達とたくさん話せました！」と、私は嬉しそうに答える。いつも彼が気にかけてくれるから、少しずつ自分を出せるようになっているのがわかる。

「それは良かったね。話せば話すほど、相手の良さも見えてくるものだよ」と彼は柔らかい笑顔で答えてくれる。

その言葉に、私は勇気をもらった気がした。もっと自分から話せるようになりたい、もっと彼に知ってもらいたい、そんな気持ちが強くなっていく。

別れ際、彼が「また会おうね」と優しく言ってくれたのが、私の胸の中にいつまでも響いていた。

家に帰りながら、心はふんわりと温かい。少し大人っぽい憧れの気持ちとともに、私はまた明日も頑張ろうと思った。


なりたい人になれるんだって。

うふふ、わくわくどきどきするね。

轍を木の葉が徒競走してる。

私と同じように、色を変え形を変えて成長を楽しもう。


「憧れの帰り道」

家に帰る途中、彼との会話がいつまでも頭の中に響いていた。私は16歳。まだまだ子供なのに、彼と話していると少しだけ大人になれたような気分になる。彼は28歳、まるで別世界に生きている人のように感じるけれど、同じ時間を共有しているこの瞬間は、私だけが知っている特別なものだと感じる。

ドッグランで出会う度に、少しずつだけど私たちの会話は深まっていった。彼が経験してきた大人の世界や、彼が見つけてきたものについて、私が想像もできないような話を聞かせてくれる。例えば、仕事の話、失敗したこと、それをどうやって乗り越えてきたのか。彼が話す度に、私はもっともっと彼のことを知りたくなる。そして、私も大人になったら、彼のように誰かに語れる何かを持てるのかな…そんなことをふと思う。

でも、その気持ちは時々、自分でも説明がつかない不安に変わる。彼と私では年齢も経験も違いすぎるのに、この気持ちは一体何なのだろう。淡い恋心があるのは確かだ。けれど、それだけではないような気がしていた。

ある日、少し肌寒くなってきた頃、彼が「次の休みに、一緒に犬の散歩をしないか？」と誘ってくれた。少し驚いたけれど、内心とても嬉しかった。ふたりで一緒に歩く時間が、どんな風になるのか想像するだけで心が躍る。それは、私にとって少し大人びたデートのように感じられた。

その日を心待ちにしながら、ふと頭をよぎるのは、将来のこと。高校生活が終われば、私は彼とどういう関係になれるんだろう。もしかすると、今の淡い気持ちは一時的なものかもしれないし、もしかしたら、時間が経てばさらに強くなるのかもしれない。でも、今はただ、この気持ちを大切にしたい。

彼との時間が少しずつ増えていくことで、私の世界が少しずつ変わっていくようだった。そして、彼もまた、そんな私を温かく見守ってくれているように感じる。この小さな関係がどのように進んでいくのかは分からないけれど、未来への期待と不安が入り混じった感情が、私の中で静かに膨らんでいく。

大人との関係性:

彼との関係は、大人の男性と少女の純粋な憧れのまま終わるのか、それとも彼が私の気持ちを受け入れ、少しずつ関係が変わっていくのか。それは私にも分からないけれど、この気持ちは私が成長する中で、きっと大切なものになる。今後、どんな未来が待っているのか、ゆっくりと見つけていきたい。