いとなみ

春秋花壇

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詠唱速度に全振り

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詠唱速度に全振り

ダンジョンの奥へ進むたび、カイラはモンスターを倒し、そのたびにレベルが上がっていった。彼女は目の前で敵を倒す先輩たちの姿に触発され、自分のスキルを磨くことに集中した。最初に注目したのは詠唱速度。カイラは、少しでも早く魔法を放つことで先輩たちの役に立ちたかったのだ。

「私、詠唱速度に全振りしました!」
彼女は得意げに言い、次の戦闘では自分の魔法が以前よりも早く発動することに気づいた。火の玉や氷の矢が瞬く間に敵に向かって飛び、レオン先輩をサポートする。その様子にレオンは満足そうに頷き、彼女に向かって親指を立てた。

「すごいぞ、カイラ!お前のおかげで戦いやすい!」
その言葉を受けて、カイラの頬は自然と赤くなった。自分の力が役立っていると実感し、さらなる成長への意欲が湧いてくる。

次の広間に進むと、さらに強力なモンスターが待ち受けていた。レオンは仲間たちに指示を出し、カイラも自分の役割を果たすべく詠唱を始めた。しかし、そのモンスターは単なる攻撃だけでなく、カイラたちのステータスを下げる呪いのような技を使ってきた。

「弱体化してるな、厄介だぞ!」
レオンの声が響く。モンスターの技は、カイラたちの攻撃力や防御力を下げ、動きも鈍くさせていた。彼女はすぐに戦況を見極め、レオンに尋ねた。

「レオン先輩!『バフってる』ってどういう意味ですか?」
「バフってのは、味方の能力を上げる技のことだよ!今はお前の力が必要だ。味方全員にバフをかけてくれ!」
レオンの説明にカイラは頷き、自分の魔法の中で、味方を強化する技を思い出した。

カイラは詠唱速度をさらに活かし、仲間全員にバフを付与する。彼女の魔法によって、味方の攻撃力や防御力が大幅に上昇し、動きも滑らかになる。まさに「バフ効果」である。彼女の魔法は一時的に味方を強化するものであり、これによって戦闘がぐっと楽になった。

「すごい!これで弱体化も問題ない!」
「その通り!カイラ、お前のバフのおかげで戦況が有利になった!」
レオンの声が明るさを取り戻し、仲間たちも次々とモンスターに攻撃を加える。敵の呪いはバフによって打ち消され、攻撃が次々と命中する。カイラの魔法がもたらすプラス効果が仲間の動きを支え、戦闘は見違えるほどスムーズになった。

モンスターは次第に追い詰められ、最後にはレオンの一撃で倒された。カイラは、自分の力が仲間の助けになったことを改めて実感し、胸が高鳴った。ダンジョンの静けさが戻り、レオンがカイラのもとへ歩み寄る。

「本当にお前の力が大きかった。バフのおかげで勝てたんだ」
レオンが優しく笑い、カイラに手を差し出す。その手を握り返しながら、カイラは小さく頷いた。彼女の胸には、今までにない達成感と、レオンへの憧れがさらに強くなっていることを感じた。

「ありがとう、レオン先輩。もっと強くなります!」
カイラの言葉にレオンは微笑みを浮かべた。初めてのダンジョンで得た経験は、彼女にとっての大切な一歩となり、また彼女の恋心を一層輝かせることになるだろう。

これからも続く冒険の中で、カイラはレオンの隣で戦いながら、自分自身をさらに磨いていく。憧れの先輩に追いつくために、そして自分の想いを届けるために、彼女は今日も魔法を紡ぎ続けるのだった。







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