いとなみ

16歳 レタス農家のアルバイト

16歳 レタス農家のアルバイト

16歳の夏、結衣（ゆい）は家計を助けるためにレタス農家でアルバイトを始めた。田舎町に住む彼女は、毎日早朝から畑に出て汗を流しながらレタスの収穫を行っていた。この農家で働くことは決して楽ではなかったが、彼女は頑張り屋であり、何事にも真剣に取り組んでいた。

「おはよう、結衣ちゃん！」同じアルバイト仲間の颯太（そうた）が元気よく声をかけてきた。颯太は結衣と同じ高校に通うクラスメートであり、この農家でも一緒に働いている仲間だった。彼は陽気で明るく、いつも結衣を励ましてくれる存在だった。

「おはよう、颯太君。今日も頑張ろうね。」結衣は微笑みながら答えた。彼女にとって、颯太の存在は心の支えだった。颯太の明るさと優しさに、結衣は密かに心惹かれていた。

朝の作業が始まると、二人は黙々とレタスを収穫し続けた。太陽が昇るにつれ、気温もどんどん上がっていく。汗が額を流れ落ちる中、結衣はひたすら手を動かしていた。颯太も同様に、一生懸命に作業をこなしていた。

休憩時間になると、二人は木陰に座って水を飲みながら一息ついた。颯太がふと、結衣に話しかけた。「結衣ちゃん、この仕事は大変だけど、何か楽しいこととかある？」

結衣は少し考えてから答えた。「うーん、大変だけど、こうして颯太君と一緒に働けるのが一番の楽しみかな。」

颯太はその言葉に驚き、そして嬉しそうに笑った。「そうなんだ。僕も結衣ちゃんと一緒に働くのが楽しいよ。君の笑顔を見ると、どんなに大変な作業でも頑張れる気がするんだ。」

その言葉に結衣は顔を赤らめ、照れ隠しに笑った。「そんなこと言われると恥ずかしいよ、颯太君。」

「でも、本当のことだからさ。」颯太は真剣な目で結衣を見つめた。

その瞬間、結衣の心は大きく揺れた。彼の真摯な言葉に、自分の気持ちがさらに強くなっていくのを感じた。

ある日、作業が終わった後、颯太が結衣を誘った。「結衣ちゃん、今日の夕方、一緒に町の花火大会に行かない？」

結衣は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。「え、本当に？行きたい！」

夕方、二人は町の花火大会に出かけた。夜空に大輪の花火が咲き乱れ、人々の歓声が響く中、二人は並んで歩いた。颯太が勇気を出して手を握ると、結衣もそっと彼の手を握り返した。

「結衣ちゃん、実はずっと前から君のことが好きだったんだ。」颯太は花火の音に負けないように、大きな声で告白した。

結衣の心は高鳴り、彼の言葉に涙が浮かんだ。「私も、颯太君のことが好きだったよ。」

その言葉に颯太は微笑み、結衣を優しく抱きしめた。二人の心が一つになった瞬間、花火が夜空を彩り、彼らの初恋を祝福するかのように輝いていた。

その後も、結衣と颯太は毎日一緒にレタス農家で働き続けた。大変な作業も、二人で力を合わせれば乗り越えられる。彼らの恋は、畑での汗と努力と共に育まれ、強い絆を築いていった。

夏の終わりが近づくと、二人は来年もまた一緒に働くことを約束し、未来に希望を抱きながら、日々を過ごしていた。16歳の夏、結衣と颯太は初恋の甘酸っぱさと共に、大切な思い出を胸に刻んだのだった。