いとなみ

出ていけ！もう二度とこの家に戻ってくるな！野垂れ死んでも知らんぞ！

「出ていけ！もう二度とこの家に戻ってくるな！野垂れ死んでも知らんぞ！」

父の声が、背中に突き刺さるように響いた。振り返ると、父は怒りに震えた顔で私を睨みつけていた。母はすでに亡くなっており、私には他に頼れる人がいない。

私は何も言い返すことができず、ただ黙って家を出た。手にしたのは、小さなリュック一つだけ。冬の寒空に、薄着のまま立ち尽くす。行き先は決まっていない。

「野垂れ死ぬか…」

父の言葉を思い出し、思わず涙が溢れた。それでも、私は顔を上げ、夜空を見上げた。星が、ひどく輝いて見えた。

「…でも、まだ死ねない。」

私はそう呟き、歩き始めた。行き先はわからない。でも、このまま立ち止まってはいられない。

歩きながら、私は今までの人生を振り返っていた。決して幸せとは言えない日々だった。父はいつも酒浸りで、私に暴力を振るうこともあった。母はそんな父を支えるために、必死に働いていた。

そんな環境で育った私は、友達も少なく、学校でもいじめられていた。唯一の心の拠り所だった母が亡くなってからは、生きる意味さえ見失っていた。

しかし、家を追い出された今、私は奇妙なほど心が軽かった。もう、父に支配されることはない。自由になったのだ。

歩き続けるうちに、いつの間にか街灯も消えていた。あたりは真っ暗で、足元もよく見えない。それでも、私は歩き続けた。

夜が明ける頃、私は小さな公園にたどり着いた。ベンチに座り、空を見上げる。朝焼けが、美しい。

「…生きててよかった。」

私はそう呟き、涙を流した。

その日以来、私は野宿生活を始めた。最初は不安で怖かったが、徐々に慣れていった。公園や駅のベンチで寝泊まりし、ゴミ箱から食べ物を漁る。時には、親切な人に声をかけられ、食事やお金を恵んでもらうこともあった。

野宿生活は決して楽ではない。寒さに凍え、飢えに苦しむこともあった。それでも、私は幸せだった。

なぜなら、私は自由だったからだ。誰にも縛られず、自分の好きなように生きることができる。

野宿生活を通して、私は様々な人と出会った。同じように野宿生活を送っている人、ホームレス支援をしている人、そして普通の生活を送っている人。

それぞれの人の人生を聞き、私は多くのことを学んだ。人生には、様々な生き方がある。幸せの形も、人それぞれだ。

私は、野宿生活を通して、自分にとっての幸せを見つけ

ました。それは、自由であること。そして、人とのつながりを感じること。

野垂れ死ねと言われ家を追い出された。でも、私は幸せです。

これからも、自分の道を歩んでいきます。