いとなみ

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
595 / 1,511

桜色のキャンバス

しおりを挟む
桜色のキャンバス

春の日差しが降り注ぐ小学校の校庭。入学したばかりの私は、まだ友達も少なく、一人でブランコに乗っていた。そんな時、一人の女の子が私の前に現れた。

「一緒に遊ばない?」

彼女は、桜の花びらのように優しく微笑んでいた。

「うん。」

私は、照れながらもブランコから降り、彼女の隣に座った。

「私の名前は、佐藤さくら。あなたはどういうの?」

「田中太郎。」

私たちは、自己紹介をしながら、桜色の空を見上げた。

その日から、私たちは一緒に遊ぶようになった。

さくらは、いつも明るく元気で、私の周りを笑顔で包んでくれた。

一緒にブランコに乗ったり、鬼ごっこをしたり、時には秘密基地を作って話したり。

私たちは、何をするにしても楽しかった。

ある時、みんなで滑り台で遊んでいたら太郎くんが立ったまま滑ってきた。

わたしは思わず、

「あぶないよ、座らないと…」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、突然太郎くんは

「いたい、いたい、いたいよーー」

と、泣き始めた。

立ったまま、下まで滑り降りてきていた。

私はそばにすぐに駆け寄り、

「どこが痛い?誰か先生よんできてー」

と、叫んだ。

太郎くんは、先生におぶって保健室まで行った。

脚にひびが入ってしまったようで、次の日から松葉杖をついてきた。

車で送り迎えをしてもらっていらしい。

「大丈夫?」

と声をかけると、

「いりこ一杯食ってるから、じきに治る」

と、笑った。

みんなは、

「またまたー。強がっちゃってー」

と、はやし立て

「よしよし、つよいこだ」

と、自分で慰めていた。


ある日、桜の花が満開になった日、私たちは校庭の桜の木の下で遊んでいた。

「ねえ、太郎くん。」

さくらは、真剣な顔で私を見つめた。

「私、太郎くんのこと、好きなんだ。」

私は、心臓がドキドキと音を立てているのを感じた。

「私も、さくらのこと、好き。」

私たちは、桜の花びらが舞う中、初めて手をつないだ。

初めての恋は、桜色のキャンバスに描かれた、甘酸っぱい思い出だった。

数年後

中学3年生になった私は、進路について悩み始めていた。

将来、何をしたいのか、どこに行きたいのか。

そんな時、さくらが私の背中を押してくれた。

「太郎くん、夢に向かって頑張ってね。」

彼女の言葉に、私は勇気をもらった。

そして今

私は、夢だった小説家になるために、日々努力している。

いつか、さくらに私の小説を読んでほしい。

そして、あの桜色のキャンバスに描かれた初恋の思い出を、小説にしたい。

1000文字小説:

主人公:田中太郎
ヒロイン:佐藤さくら
テーマ:初恋
舞台:小学校
キーワード:桜、ブランコ、秘密基地、手をつなぐ
この小説は、初恋の甘酸っぱさや、大切な人への思いを表現しました。

読者の皆様が、かつての初恋を思い出したり、心が温かくなったりするような作品になれば幸いです。

ご質問やご要望があれば、お気軽にお申し付けください。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

季節の織り糸

春秋花壇
現代文学
季節の織り糸 季節の織り糸 さわさわ、風が草原を撫で ぽつぽつ、雨が地を染める ひらひら、木の葉が舞い落ちて ざわざわ、森が秋を囁く ぱちぱち、焚火が燃える音 とくとく、湯が温かさを誘う さらさら、川が冬の息吹を運び きらきら、星が夜空に瞬く ふわふわ、春の息吹が包み込み ぴちぴち、草の芽が顔を出す ぽかぽか、陽が心を溶かし ゆらゆら、花が夢を揺らす はらはら、夏の夜の蝉の声 ちりちり、砂浜が光を浴び さらさら、波が優しく寄せて とんとん、足音が新たな一歩を刻む 季節の織り糸は、ささやかに、 そして確かに、わたしを包み込む

注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

春秋花壇
現代文学
注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

感情

春秋花壇
現代文学
感情

陽だまりの家

春秋花壇
現代文学
幸せな母子家庭、女ばかりの日常

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...