いとなみ

アプロディーテとアドニスの恋物語

美と愛の女神と美少年の悲恋

キプロス島の海岸に降り立った美の女神アプロディーテは、その目に信じられない光景を映しました。それは、森の中で眠る少年、アドニス。黄金色の髪、透き通るような肌、紅い唇。まるで神々が作り出した芸術作品のような美しさに、アプロディーテの心は一瞬で奪われてしまいました。

陽だまりに
アドニスが
咲き誇り
春の訪れを
告げてくれる

アドニスはキプロスの王の息子であり、その美貌は評判を呼んでいました。しかし、王はアドニスを危険な狩りから遠ざけようと、森の奥深くにある館で育てていました。

アプロディーテはアドニスのそばにそっと座り、その美しい顔に見とれました。そして、優しく唇にキスを落としたのです。その瞬間、アドニスは目を覚まし、目の前に立つ女神に驚きと同時に心を奪われました。

二人はすぐに恋に落ち、毎日森の中で密会を重ねました。アプロディーテはアドニスに狩りの手ほどきをし、アドニスはアプロディーテに愛の言葉を囁きました。

しかし、彼らの幸せは長く続きませんでした。愛と美の女神であるアプロディーテには、嫉妬深い夫、戦の神アレスがいました。アレスは、妻が美しい少年に心を奪われたことに怒り狂い、アドニスを殺害しようと企てました。

ある日、アドニスはいつものように狩りに出かけました。しかし、そこに現れたのは猪。アドニスは勇敢に猪に立ち向かいましたが、猪の牙にかかって命を落としてしまいます。

愛する人を失ったアプロディーテは悲嘆にくれました。アドニスの血が地面に滴り落ちるたびに、そこには美しい赤い花が咲き誇りました。それは、アプロディーテの涙が花びらになったと言われています。

アプロディーテは、アドニスの魂が冥界に行ってしまうことを嘆き、冥界の神ハデスに懇願しました。ハデスは、アドニスの魂が一年のうち半分は地上に戻り、アプロディーテと共に過ごせるように許しました。

こうして、アプロディーテとアドニスの悲恋は、美しい花と永遠の愛の物語として語り継がれています。

物語の結末
アドニスの死後、アプロディーテは彼を永遠に忘れないために、彼を象徴する花であるアネモネを大切にしました。また、アドニスが冥界から地上に戻ってくる時期には、人々は彼の復活を祝う祭りを行いました。

この物語は、愛の美しさと儚さを同時に教えてくれます。愛は人を幸せにする力を持っている一方で、失った時の悲しみは計り知れません。しかし、愛する人の記憶は永遠に生き続け、私たちの心に希望を与えてくれるのです。

アドニス、アプロディーテ、アネモネの花園

アドニス

黄金の髪、太陽の光を浴びて輝き
透き通る肌、純白の雪を思わせる
紅い唇、バラの花びらのように鮮やか

アプロディーテ

愛と美の女神、永遠の少女
彼の美しさに心を奪われ
愛の炎を燃え上がらせる

アネモネの花園

二人の愛の証、血のように赤い花
風に揺れ、語り継ぐ悲恋
春風に舞い、永遠の愛を歌う

愛と美の女神

彼の命は儚く、散りゆく花
悲しみに暮れ、涙を流す
花びらに染み込む、愛の想い

永遠の愛

春が訪れ、再び花が咲く
彼の魂は、花と共に蘇る
愛は永遠に、咲き誇る


英語や学名のアドニスは、ギリシア神話の美と愛の女神アプロディーテの恋人の名前です。