いとなみ

セレーネーとエンデュミオーン

朧月夜、桜の舞

朧月夜、桜舞い散る
静寂の森に、愛の調べ

月の女神セレーネー
銀色の髪、星空のドレス

眠れる青年エンデュミオーン
清らかな瞳、夜空を映す

愛のキス、永遠の眠り
夢の中、二人だけの世界

桜の花びら、舞い落ちる
月の光に照らされ、輝く

愛の言葉、風に囁く
永遠の愛、星空に誓う

朧月夜、桜の舞
セレーネーの涙、光に溶ける

エンデュミオーンの夢、永遠に
愛の物語、夜空に語り継ぐ


月の女神と永遠の眠り

銀色の月が降り注ぐ夜、羊飼いの青年エンデュミオーンは、月の光に照らされた草地に横たわっていました。彼の美貌は神々をも魅了するほどで、その清らかな瞳は夜空の星々を映していました。

満開の桜がはらりはらりと散っています。

春愁の気まぐれな雲が美しい月とかくれんぼしています。

朧月と夜桜。

この世のものとは思えないほど幻想的で美しい風景でした。

エンデュミオーンの漆黒の髪がときおり吹くそよ風と戯れます。

美しく深い黒い瞳は、さくらの花吹雪を見つめています。

BGMは、かすかに聞こえるシューマン＝リスト：春の夜 S.568。

鍵盤の上を奏でる旋律とリズムがあたりを包みます。

叩く、はじける、転がる、なでる、寄せては返す波のように共鳴していくのです。

下萌えの菜の花や水仙が甘い桜の香りと交わってフローラルな芳香が鼻をくすぐります。

芽吹き始めたミントの新芽が恥ずかしそうに揺らいでいます。

地球のすべての生命が春を謳歌しています。

目、鼻、耳は感動で満たされ心震えます。

口は神をたたえる歌で満たされるのです。


その夜、月の女神セレーネーは雲間から地上を見下ろし、エンデュミオーンの姿に心を奪われました。銀色の髪をなびかせ、星空のドレスを纏った彼女は、地上に降り立ち、眠れる青年の傍らにそっと座りました。

なんと美しく張りのある肌の若者なのでしょう?

セレーネーはエンデュミオーンの美しい顔に見とれ、彼の頬をそっと撫でてみます。きめの細かい絹豆腐のような滑らかな肌。凛々しい眉。一部のすきもないほどに整った骨格。紅でもさしたような赤い唇。彼の唇にそっとキスをしました。その瞬間、エンデュミオーンは目を覚まし、女神の輝く姿を目の当たりにしました。

「ぎゃー」

と言ってしまったら、恋物語にはなりません。

エンデュミオーンは、驚きをぐっと押し殺します。

「あなたは…誰ですか？」エンデュミオーンは驚きと畏敬の念を抱いて尋ねました。

「私は月の女神セレーネー。あなたの美しさに心を奪われ、地上に降りてきたのです。」セレーネーは愛の言葉を囁きました。

エンデュミオーンは女神の言葉に驚きながらも、彼女の優しさに心を惹かれていました。二人は夜通し語り合い、互いに愛を誓いました。

しかし、女神と人間の恋は許されません。夜明けが近づき、セレーネーは地上を去らなければならなくなりました。

(ああ、このまま時が止まればいいのに……)

二人の熱い思いとは裏腹に、太陽は己の時だと急き立てます。

「私は永遠にあなたを愛します。しかし、私たちが結ばれることはできないのです。」セレーネーは涙ながらに告げました。

エンデュミオーンは愛する女神を失いたくありませんでした。彼はセレーネーに永遠に一緒にいられる方法を懇願しました。

セレーネーは苦悩の末、エンデュミオーンに永遠の眠りを与えることを決意しました。

「あなたを永遠に愛するため、私はあなたを永遠の眠りに閉じ込めます。あなたは永遠に私の光の中で眠り続け、私だけがあなたの愛を受け取ることができるのです。」

セレーネーはエンデュミオーンにキスをし、彼の額に月の光を注ぎました。エンデュミオーンは静かに眠りにつき、彼の息は月の光に溶け込みました。

それ以来、セレーネーは毎晩エンデュミオーンの眠床を訪れ、彼の美しい顔を見つめ、愛の言葉を囁き続けます。

エンデュミオーンは永遠に眠り続け、彼の夢の中ではセレーネーと共に永遠の愛を過ごしています。

月の光は、二人の永遠の愛の証として、夜空に輝き続けています。