いとなみ

みずぬるむ

水温む(みずぬるむ)

水温む　川のせせらぎ　小鳥歌う
陽光降り注ぐ　春の訪れ

水面揺らめく　きらめく光
水面映る　青空

水面に浮かぶ　桜の花びら
水面に映る　二人の影

手を繋ぎ歩く　水辺の道
温もり感じる　春の陽気

水温む　心も温む
水温む　恋の始まり


水温む
春の日差しが降り注ぐ中、遥は桜並木を散歩していた。まだ蕾が固い枝も多いが、ところどころピンク色の花が咲き始め、春の訪れを告げていた。

遥の足取りは軽かった。数日前に彼氏と別れたばかりだったが、不思議と心が晴れていた。冬の寒さがようやく終わり、暖かくなっていく季節のせいだろうか。

遥は公園のベンチに腰掛け、目を閉じた。太陽の温もりを感じながら、深呼吸をした。すると、どこからか懐かしい香りが漂ってきた。

それは、子供の頃によく嗅いだ沈丁花の香りだった。遥は目を覚まし、香りの元を探した。

毎年、沈丁花が咲き始めると小鳥たちのさえずりが一段と高くなる。

太陽は優しい光輪を放ち、そよ風が頬をなでる。

木々の間から、一人の青年がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。青年は遥に気づくと、笑顔で手を振った。

青年は、遥の高校時代の同級生、健太だった。健太は大学進学のために東京に出ていたが、久しぶりに地元に帰ってきたという。

二人は久しぶりに会話を楽しんだ。健太は大学生活について、遥は仕事について話した。

話は自然と、恋愛の話になった。健太は最近彼女と別れたばかりだという。遥も同じだった。

二人は、それぞれの恋愛の失敗談を笑いながら話した。話を聞いていくうちに、遥は健太への気持ちが少しずつ変化していくのを感じた。

健太は、以前よりも大人びて、魅力的になっていた。彼の優しい笑顔に、遥は心が惹かれていくのだった。

日が暮れ始め、二人は公園を後にした。帰り道、健太は遥に手を繋いだ。遥は抵抗せず、健太の手を握り返した。


「ん?」

さりげなく手をつないでいる自分にほんの少しの違和感を覚えたけど

「ま、いいか～」

自分がどうしたいかじゃなくて、

「安っぽい女に見られないかな?」

を気にしてる自分に笑ってしまう。


二人は手を繋ぎながら、桜並木をゆっくりと歩いた。水温む春の夜、二人の間には新しい恋の芽が芽生え始めていた。

後日

健太と遥は、再びデートを重ねるようになった。二人は共通の趣味が多く、一緒にいると話が尽きなかった。

健太は、遥をいつも笑顔にしてくれた。遥は、健太と一緒にいると心が温かくなった。

ある日、健太は遥に告白した。「好きです。付き合ってください。」

遥は、健太の気持ちを素直に受け入れた。「私も好きです。」

二人は正式に恋人同士となった。

春から夏へ

春が過ぎ、夏が訪れた。二人は、海や山に出かけ、楽しい時間を過ごした。

ある日、二人は花火大会に行った。夜空に色とりどりの花火が咲き誇る中、二人は抱き合ってキスをした。

未来へ

二人は、これからもずっと一緒に歩んでいくことを誓った。

水温む春の日に始まった二人の恋は、夏の日差しに育まれ、秋風に色づき、冬の雪の中でさらに深まっていくことだろう。