いとなみ

春秋花壇

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スカイプをしながらゲームの中で他の女とイチャイチャしたらブチ切れられた 152

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達也さんの家の傍に貸家を借りた。

なんか、こんな風景、昔にもあったような……。

既視感、デジャブなのだろうか。

でも、これは現実。

ガーデニングも出来るように庭の少し広い所を借りたわ。

有機野菜が作れたら達也さんの体にいいかなって思ったの。

わたしは、車の免許も無いので買い物は達也さんが手伝ってくれてる。

うんうん、前はここで躓いたのよね。

自転車を買って、簡単な買い物は独りで買い物に行ったりしてる。

達也さんは、やっぱりみるくの家に泊まる事は出来なかった。

人の家に泊まった事が一度もないのだと言っていた。

でも、とっても優しかったの。

お泊り出来ないから、「夜中寂しいだろう」からってSkypeしてくれたり

「朝、一緒にいられなくってごめんな」って電話くれたり気遣ってくれるのが

すごくうれしかった。ありがとう。

達也さんは、偏食なんだけど、みるくの作った物を一生懸命食べてくれた。

そして、みるくの作る薬膳のおかげてい少しずつ元気になっていったの。

前は直ぐに風邪をひいてしまったり、

下痢をしたりしていたけど好きじゃないけど、

バランスのとれた食事ができるようになったの。

一緒に散歩したり、軽い運動も取り入れて

健康になっていく達也さんを見ているのが心から嬉しかった。

わたしたちは愛を確かめ合い、間もなく妊娠したので籍を入れたの。

生まれてきて本当に良かった。

生きていてよかった。

達也さんと出会えてよかった。

蜜月。本当に幸せだった。

わたしはこの人に一生ついていこうと思ったの。

わたしは、最初、保険の仕事をしていたのだけど、介護の仕事に変更したの。

その方が、時間も一定で無理しなくて済みそうだったから。

まもなく、女の子が生まれたわ。

陽葵(ひまり)と名付けたの。

達也さんと一緒に決めたの。

達也さんは前よりは、小説を書く時間を増やしたんだけど、

やっぱり何年たっても長編の完結は一つも無かった。

そして、お母さまがオンラインゲームをしているから

前にもまして、ゲームのログイン時間は増えて行ったの。

ここらへんも前に見たような気がする。

どうして同じところをぐるぐる回ってるんだろう。

どうして、幾つかの小説を完結させたり、

データ入力・文字起こし、Webライター・編集者、

校正などのリモートワークをしないんだろう。

少しずつ、不安に押しつぶされそうになる。

不安になりやすい人ほど、より先のことを考える傾向にあるわ。 

先のことは、まだ何も決まってないわけで、

不安に思おうと思ったらいくらでも不安になれるわ。 

でも振り返ってご覧なさい?

 なるようになって今まで生きてきたわけでしょ。 

これからもなるようになるから大丈夫よ。 

ストレスは期待をするから生まれるのよね。

期待をすると、「期待通りにならなかったらどうしよう」って思うから。

これを防ぐためにはね、色んな可能性を考えて、

どんな場合でも対応できるようにするのが1番よ。

つまり「選択肢を増やす」の。

そう、これは達也さんの問題ではなく、

私の受け取り方、対処の仕方の問題。

達也さんを変える事は出来ない。

でも、わたしの考え方、行動を変える事は出来る。

達也さんが生活費を稼ぐことは、一度も無かった。

とっても残念。

わたしは少しずつ、北海道に来た事を後悔し始めたの。

陽葵(ひまり)が2歳くらいの時、熱を出したの。

息もどんどん荒くなって、顎呼吸をするようになった。

喘鳴も聞こえる。

わたしは、少しでも呼吸が楽なように加湿したり、

額、脇の下を冷やしたりしていた。

頭寒足熱。しっかり、靴下をはかせてね。

それでも、熱はどんどん上がっていく。

「パパに病院に連れて行ってもらいましょうね」

「パパ、早く来ないかな……」

段々言葉もしどろもどろになっていく。

意識が混濁し始めているのかしら。

達也さんに電話したんだけど、繋がらない。

LINEもメールしてもSkypeしても繋がらない。

挙句の果てには、達也さんはパソコンの電源を落としたの。

さっきまで、文字だけでも打てていたのに……。

わたしは仕方なく救急車を呼んだわ。

陽葵(ひまり)は、肺炎を起こして入院になったの。

72時間待っても、達也さんと連絡はとれなかった。

「おかけになった電話は電波の届かない場所にいるか

電源が入っていないためかかりません」

何時もなら電報を打つんだけど、

わたしはこの生活に疲れ果てていた。

家に着替えを取りに帰ったら、達也さんはお母様とゲームをしていたの。

ログアウト表記にして、確かめると二人とも同じサーバーの同じ場所にいたわ。

短絡的かしら。

わたしはもういいと思ってしまった。

離婚すれば母子加算もつくわ。

達也さんが小説で賞を獲るのを信じて

北の果ての知らない土地に来たのだけど、

知り合って5年たっても達也さんが長編をかき終える事はなかった。


その日以来、わたしはスマホも電話番号を変え、

連絡をしていません。

陽葵(ひまり)の退院を待って東京に帰ったの。

荷物は全部、清掃会社の人に処分してもらいました。

デジャブ。やっぱりここから先に進めないわたしたち、

わたしの考え方、対処の方法をどう変えたらよかったのかしら。

気がつくと、ベットの上で汗びっしょりになっていた。

ああ、夢で良かった。

これは予知夢?

大暑から立秋へ。

時は流れ季節は移ろう。

ミンミンゼミからアブラゼミ、つくつくぼうし、ひぐらしへと変わっていく。

今夜も月が美しい。

時折、叢雲に見え隠れしながら静かに微笑んでいる。

今宵は満月。

月の雫が一滴。

涙となって落ちて来る。

7月24日

満月には、各月ごとにムーンネームがあり、

7月の満月は「バックムーン」と呼ばれます。

 アメリカの先住民が名付けた名称で、

7月になると雄鹿(Buck)の角が生え変わることから、

そう呼ばれるようになったそうです。

 I LOVE YOU💛

今夜は月が綺麗ですね

達也さんとの恋は失敗?

いいえ、このままではうまくいかないという確認をしただけよ。
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