いとなみ

スカイプをしながらゲームの中で他の女とイチャイチャしたらブチ切れられた 13

「ホワイトデーが楽しみ」

夜中、オンラインゲームにログインしている達也さんにささやいてみた。

「最近、送りすぎているから」

わたし、「?」

ってなってる。

バレンタインちゃんと送ったよ。

お返しが欲しくて送ったわけじゃないけど。

しょぼーん。

人の言葉ってすごく影響があるのね。

ここ２．３日、毎日一緒に遊べて幸せだった。

今のたった一言で、ネガティブ路線が舞い戻ってくる。

「お返しするほど、愛してない」

「一緒に遊んでやってるんだから、それで満足しろ」

誰もそんなこと言っていないのに、

勝手に妄想の中に急発信。

余計なことをいうとげのある思考回路は

相手だけじゃなく、自分をも切り刻む。

しかも、達也さんがいる場所は

エルフの初期村。

また新しい人を探しに行ってるの?

またチャットエッチできる新しい女を探しに行くの?

そんなことを考えていると、達也さんはいきなりlog outになった。

さー、こうなると大変。

ヤンデレ全開である。

log out表示にして、女と一緒にいる。

六条御息所の生霊死霊と同じように嫉妬の渦に包まれていく。

速攻、同じサーバーの初期村に行く。

ただ、眠くて落ちただけなのかもしれないのにね。

涙が出てくる。

叫びたくなる。

「おやすみ」

も言えないのかよ。

どんだけ、バカにすれば気が済むの。

なんでこんなに沸騰するのか本人にもわからない。

猪突猛進、いのししなのだろうか。

頭から湯気が出ているかも。

瞬間湯沸し器だよね。

そして、こともあろうにストーカーのようなことをするのだ。

この時点で、彼のサポートが借りられるか確かめればよかった。

長い時間、妄想の中を迷走しなくて済んだのに。

思いもつかなかった。

誰か新しい人を見つけたのか。

それとも、前からいる人と落ち合って

家に連れ込んだのか。

それとも、この辺でイチャイチャしているのか。

詮索が始まる。

病気だよー。

くるってるよー。

「一緒に遊びませんか」

１９歳の青年が声をかけてくる。

わたし、そんなに隙だらけなのかな。

「振られたての女くらいだましやすいものはないんだってね」

ママがよく聞いていた歌詞が頭の中を走馬灯のように横切る。

たぶん、みるくのこの思考回路は、何代にもわたって培われてきた

貴重なものなのだろう。

ご先祖様に感謝だね。

本当にありがたすぎて涙が出るよ。

いいもん、わたしは私の人生を築き上げるもの。

幸せで明るくニコニコできるような素敵な人生。

マイナス思考になんて負けないもの。

だって、変化するに決まってる。

成長するってわかってる。

今日一日だけ、私はこの一日だけを生きようとします。私の人生のすべての問題をいっぺんに片付けようとはしません。一生続けなければいけないと思うと恐ろしくなることでも、12時間だけならやっていけます。

今日一日だけは、幸福でいよう。リンカーンは「たいていの人々は、自分で決心した程度だけ幸福になれる」と言ったが、まったく至言である。幸福は内部から生じる。外部のことがらではない。