いとなみ

春秋花壇

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大雪

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今日は、暦で大雪。

暦なんて言っている事態、

おやじなのだろう。

俺はとんでもない人を婚約者にしてしまったのかもしれない。

俺の名前は、花田 仁(はなだ ひとし) 29歳。

婚約者の名前は、金子 真希(かねこ まき) 23歳。

大雪は、二十四節気の第21番目。十一月節。 現在広まっている定気法では太陽黄経が255度のときで12月7日ごろ。暦ではそれが起こる日だが、天文学ではその瞬間とする。恒気法では冬至から23/24年後で12月7日ごろ。 期間としての意味もあり、この日から、次の節気の冬至前日までである。

彼女は解離性同一性障害。

俗に多重人格と呼ばれている病気みたいなんだ。

ときたま、彼女は解離性健忘、解離性遁走という症状になる。

記憶をなくし、突然消えてしまうんだ。

こんなんじゃ、安心して結婚なんてできないよな。

だって、会社に行っていたら、突然いなくなって、

記憶すらないらしい。

せっかく、もうすぐ結婚式という時だったのに。

すごく残念だ。

だけど、婚約破棄するわけにもいかないんだ。

だって、彼女妊娠している。

ひょっとして、俺の人生つんだのかな。

まあ、思い悩んでも仕方ないので、

なるようになるさ。

ケ・セラ・セラ。

北海道 層雲峡

四季折々がはっきりと感じられる北海道のリゾート地。

断崖絶壁の岩肌に囲まれた、まさに「北海道キャニオン」

俺と真希の二人は、雪が見たくて、北海道に遊びに来ている。

「ヒンナ」とは、アイヌ語で食事や食べ物に対しての感謝を示す言葉。

不安や心配は、チョット置いといて、

おいしいものを食べて、至福の時を味わおう。

木の温もりを感じられるホテル 大雪

和のお食事コーナーは水の音が響き、耳にも心地のよい空間。

五感が喜ぶ旬と彩。

アイヌの文化料理イモシトと呼ばれる芋のもち。

オハウと呼ばれる汁物。

雅な技、素朴な滋味、季節の風味を心ゆくまで堪能できる。

心のおもてなしを感じられる穏やかな雰囲気。

大自然に囲まれて人は削られ優しくなっていくのだろうか。

エビやカニが食欲をそそる。

キッズルームも完備されているから、

子供が生まれてから楽しめそう。

彼女と一緒に暮らすということは紆余曲折あるだろうけど、

カウンセリングや治療で、少しでも病状が落ち着いてくれたらうれしいな。

こんな世の中だから、問題の全くない人もいないのかもしれない。

難しいことは、こっちに置いといて、

結婚してどうしてもだめだったら、

その時考えればいいよな。

真希は、申し訳なさそうに上目遣いで俺の顔を覗き込む。

そんな彼女に、「婚約破棄する」

とは、とても言えないよな。

子供は産みたいみたいなんだ。

最悪、記憶をなくしている間に何かあって、

俺の子供じゃないとしても、

やっぱりなんとかしてやりたい。

ほら、「袖振り合うも多生(たしょう)の縁」っていうじゃないか。

どんな小さな事、ちょっとした人との交渉も偶然に起こるのではなく、

すべて深い宿縁によって起こるのであるという意味ということらしい。

婚約するってことは、お互いに傷つけあう準備ができましたってことだろう。

道内随一の3つの大浴場と2つの露天風呂を二人で堪能するんだ。

一瞬一瞬の幸せを味わうんだ。

新型感染症が少し怖いけど、死ぬときゃ死ぬのさ。

な、そうだろう。

避暑地帯で秘書痴態

北見HONDAに来た見本だ

とうきび茶こぼして陶器びちゃ

寒いなー。さすが、北海道。

札幌と函館に路面電車はありますが、

北海道には、私鉄がありません。

鉄路を走るのは全てJR。

東京から来た俺たちには、ちょっとびっくりですよね。

道民は電車ではなくて「汽車」と呼びます。

北海道の「汽車」の多くは電気ではなくディーゼル燃料で走っている。

内地の人は、鉄路をバスが走ってると驚く。

おはは、ところ変われば品変わる。

おもしろいな。

そりをひいて、買い物に行く。

おいっ、ここは日本だろうって?

道産子の百人一首が面白い。

下の句を読まれ下の句を取る

全く違う遊びになっている。

北海道のきび団子は、「日本一きびだんご」

棒状なんです。

北海道は、めっちゃ広いのだ。

「二泊三日で函館・札幌・旭川・富良野・小樽観光したい!」って、それかなりきつい」

とか、簡単に言わないで。

北海道あるある、探して驚嘆するのもおもしろい。

俺と真希のバーチャルリアリティー。

もしも、二人が自分らしく生きられないなら誰が俺たちを演じてくれるのだろう。


月日のたつのは早いもので、あれから二十一年。

真希だけじゃなくて、俺も接触事故を起こしたりいろんなことがあった。

それが生きてるってことだろう。

あの時の赤ちゃんも無事に生まれ、今では美しい娘に育った。

あの頃の、真希によく似た素敵なお嬢ちゃんだ。

名前を凛とつけた。

どんなことが起きても、凛として自分らしく生きてほしいからだ。

今日は、20歳の誕生日。

俺も年を取った。

誕生日ケーキを前に、凛は涙を流しながら、

「お父さん、お母さん、今日までありがとう」

「Happy Birthday」

「お父さんも知っていると思うけど、

私はお父さんの子供じゃない。

血のつながっていない私を今日まで一緒にいてくれてありがとう」

「え?」

「わたし、知ってるの。お母さんが多重人格で何度も家からいなくなっていってたこと」

「でも、お父さんは、私にわからないように必死で隠し通してくれた。

これからは、私が親孝行する番だからね」

なー。

何にも知らないと思っていたけど、

凛はしっかり親を見て育ったんだな。

そして、完璧じゃなくても受け入れ愛し続けてくれた。

俺はそれだけで、十分幸せだ。

冬休みになったら、また三人で北海道に行こう。

スキーをみんなで楽しめたらうれしいよな。

俺たち三人の共同体、これからも大切にしたい。

よろしくな!!





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