いとなみ

春秋花壇

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彼は舞う婚約破棄

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「君との婚約は破棄させてもらう」

婚約者　細谷祐介　28歳。

わたくし　矢島知香　22歳。

2年間の交際期間を経て、2人は婚約していた。

彼の車、レクサスの車中での出来事だった。

せっかく、先週一緒に買ったお揃いのお洋服でのデートだったのに。

全ての扉が一瞬にして閉ざされてしまったような錯覚に陥る。

皆既日食のように……。

世界で最も黒い物質ベンタブラックでさえこれほどの黒さはないだろう。

今なんて言ったの?

わたくしは、自分の耳を疑いました。

とんでもないことが聞こえてきたような。

何かの間違いですよね。

だって、昨日まで

「どんなことがあっても、幸せな家庭を築こう」

と、言ってくださっていたのに……。

貴方の心変わりが悲しい。

東京は、ここ一週間位11月中旬だというのに半袖でも暑い。

異常気象のように、気温の上昇のさなかでも、

しっかり広葉樹は紅葉し、その葉を落としている。

何処が道路かわからないほどの枯れ葉の山の中を

車は走り、後をおいかけるように落ち葉が轍を追う。

「フライングゲットは、いんちきだよ」

ハマコーの庭に枯葉、撒こう

この哀しい出来事の中でさえ、笑顔でいようとする自分がみじめ。

「婚約破棄の理由をお聞かせ願えますか」

「すまん。持続化給付金を受けるほどに収入が減ってしまって」

彼は、悲しそうにうつむいた。

持続化給付金
新型感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者
に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧としていただくため、事業
全般に広く使える給付金を支給します。

給付対象者
新型感染症の影響により、
ひと月の売上が前年同月比で50％以上減少している事業者
※資本金10億円以上の大企業を除く、中堅企業・中小企業、小規模事業者、
フリーランスを含む個人事業者を対象とします。また、医療法人、農業法
人、NPO法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。

給付対象者
給付額
法人は200万円、個人事業者は100万円
（ただし、昨年1年間の売上からの減少分が上限です。）

「今はゆとりがないんだ」

本当に悔しそうに、眉間にしわを寄せ、困惑顔。

「いい時ばかりじゃなくて、病めるときも困窮の時も

共に支えあおうって約束したじゃないですか」

「ゆとりがないんだ。必死なんだよ」

重低音のウーハーの効いた音楽がおなかに響く。

熱いリズムとメロディーが凍えそうな血液を逆なでしてる。

体の中で高低深浅淡濃、様々な感情が入り乱れる。

あなたが　す・きなのに。

窮鼠猫を噛む

責めたつもりはないのに……。

彼は、少し声を荒立てる。

「結婚して子供を産む事が普通の価値観」って、

そりゃ働くほど給与が上がり家も買えて

家族を養えてっていう時代だから機能した価値観で、

働いても給与は上がらず家を買い

家族を養うどころか己の生存すら

危ういって現代には機能しない価値観ですよ。

結婚出産、当たり前ではなく贅沢品になっちゃったの。

なるほどねー。

連日、東京都は500人越えの感染者数。

GO TOキャンペーンも変更せざるを得ない勢い。

「破棄ではなくて、結婚延期ではだめですか」

いつになく、すがるような思いで彼に伝えた。

車の中は距離が保てない。

泣き出してしまいそうな気持を抑えて、

慌てて外に出た。

今日は風が強い。

風に大きくたなびいていた皇帝ダリヤが今にも折れそうだ。

移動することができない植物でさえ戦っている。

懸命に命の限り、最善を尽くそうとしている。

大きな勇気をもらえた気がした。

追いかけるように車の外に出てきた彼に震える肩を抱きしめられる。

「君は……」

見つめあい、許しあい、唇を重ねる。

そっと……。

深海は光合成に必要な太陽光が届かないため、

表層とは環境や生態系が大きく異なる。

高水圧・低水温・暗黒・低酸素状態などの

過酷な環境条件に適応するため、生物は独自の進化を遂げる。

波が荒ければ潜ればいい。

台風のさなかでさえ、海底なら波にのまれないで済むかもしれない。

押し流されて難破しないでしのげるかもしれない。

環境に順応するのです。

変化するのです。

成長するのです。

どんな環境も受け入れて、

変えていける自分に挑戦するのです。

貴方の妻としてふさわしい円熟した人間に近づくのです。

こんな世の中でも、楽しむことはできるのです。

紅葉が、日当たりのいい所とそうじゃないところと違うのかを

ゆっくりまったり観察してみたり。

速度を上げるばかりが、人生ではない。

There is more to life than increasing its speed.

貴方は少しの時間押し黙る。

深いため息を一つ。

そして、ゆっくりと深呼吸をすると、

まっすぐわたくしのほうを見て、にっこり笑った。

「ありがとう。君と出会えてよかったよ」

「わたしもあなたに出会えてよかった」

ラジオ体操の会場のお年寄りたちは、

体操中もマスクを着用としている。

ハイタッチも手の甲でしている。人肌恋しいらしく、

一つのベンチに3人とか4人で座っている。

ソーシャルディスタンスが叫ばれる中、

3蜜避けないで濃厚接触ぎりぎりを楽しんでいる。

一人暮らしだから寂しいのだ。

「5つの小（いつつのこ）」を確認しあっている。

「小人数」
「小一時間程度」
「小声」
「小皿（に料理を分ける）」
「小まめにマスク、換気、消毒」

一人では倒れこんでしまうようなことも、

二人で支えあって生きていけるのです。

二人は一人に勝る。

ねっ。

東京板橋区の花はニリンソウ。

ニリンソウの花言葉は「友情」「協力」「ずっと離れない」。

来年のニリンソウの咲くころには、この状態に少しは慣れているはず。

明るく、朗らかで、楽しい、ラッキーな日常にフォーカス。

彼は舞う婚約破棄

誤字です。

枯れ葉舞う婚約破棄の破棄w

薬宝玉石を使用した肌に優しい中温岩盤浴

740円（岩盤浴着、岩盤用大判タオル付き）

お手軽価格で一日中楽しめる。

３０品目健康ご飯焼き魚

エネルギー補給。

免疫力あげて、死亡者数2000人を超えてしまった

新型感染症に備えよう。

心機一転、今が一番幸せを味わおう。

いくつもの温泉がある秋を心ゆくまでご堪能あれ。

あなたとわたくしの九十九折り。

見事に添い遂げてみせましょう。

たいていの男は、結婚相手とは思わない女といちゃつき、

男といちゃつかない女と結婚する。

だから、最後の一線は

お・あ・ず・け

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