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春秋花壇

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婚約破棄 シンギュラリティ

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「悪役令嬢 毒子、君との婚約を破棄する」

イエッサー。敬礼。

「理由も聞かないのか」

どうせ、転生のまやかし聖女とやらにご就寝なんでしょう。

違った。ご終身。これも違う。

ご終審。うーん。ご周信。ちがうなー。

ご執心。これだー。

ご存知 悪役令嬢 毒子は、

阿波正藍 阿波しじら織で浴衣を作り、

小粋に着こなして初秋を楽しんでいた。

シボがしっかりしているので、

こんなに暑くても湿度99.9パーセントでも

べたつかずさらっときこなせる。

9月9日は、重陽の節句、菊の節句。

9月9日は、五節句のひとつ「重陽の節句」(重陽の節供)。

菊を用いて不老長寿を願うことから別名「菊の節句」ともよばれています。

で、せっかく、毒子が季節を楽しんでいるのに、

この無粋な光源氏に似た闇源氏皇太子は人の都合も考えず、

いきなりの婚約破棄。

この日のために、菊のポットマムを栽培してきたのに。

六日の菖蒲、十日の菊

菖蒲は五月五日の端午の節句に用いるもので、五月六日では間に合わない。

また、菊は九月九日の重陽の節句に用いるもので、九月十日では間に合わないことから。

「十日の菊、六日の菖蒲」、単に「六日の菖蒲」「十日の菊」とも。

「菖蒲」は「しょうぶ」とも読む。

菊の素敵な香り、

白、黄色、ピンク、赤。

青、そんなものあるかー。

艶やかな花々が上品な香りを携えて、

今が旬と咲き誇っています。

ああ、はんなりとした彩が辺りを包みます。

Ronnefeldt(ロンネフェルト)でもいれて、

秋の素敵なティータイム。

ドイツの最高級ホテルやドバイの7つ星ホテル

「バージ・アル・アラブ」で採用されるほど優れた品質。

本日のティーカップは、

マイセン ティーカップ。

白磁の頂点ですよね。

新旧、和洋折衷です。

そばでにこやかに笑っているのは、

六条御息所に良く似た七条御息所。

この女、摩訶不思議な術を使いこなすそうな。

世界の大ベストセラー。

恋愛小説では右に出るものがないといわれる

源氏物語の中でも生霊、死霊で何人もの光源氏の女たちを殺してきた。

確かに、闇源氏も素敵な人で嫌いじゃないけど、

別にどうしても正室になりたいわけでもないし、

むしろそんなことはどうでもよかった。

それよりも、悪役令嬢 毒子の今の最大関心事は、

今が2045年9月9日ということだった。

何十年も前から、2045年シンギュラリテイが取りざたされている。

技術的特異点のこと。AIなどの技術が、

自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になるとされている。

今回は、自らではないが、悪役令嬢 毒子が、

事実を熟考し、量子遺伝学を学び、自然の人工複製も駆使して

クローンが作れるようになり、

かつてないほどのすばらしい人工知能AI、ヒューマノイドを

勝手に量産し始めている。

かつては、どんなに量子コンピューターを駆使しても

選ぶことはできても、感情を理解したり、

考えることができなかったのに対し、

やっと正か誤か0か1かではなく、

白もあれば黒もある。そして、グレーも赤も白も青もと。

心なるものを少しだけ理解できるようになっている。

うふふふ。

楽しいね。

赤ちゃんが一杯。

闇源氏様は、まだご存じないのかしら。

2020年の新型感染症からさまざまな次から次へと

全世界を駆け巡り、網羅し、人間を駆逐していったことを。

悪役令嬢 毒子のクローンが1000体。

悪役令嬢 毒子のヒューマノイドが1000体。

作動し始める。

ヒューマノイドのチューニングオーケー。

闇源氏の前に2000体のクローンとヒューマノイド整列。

見ても触ってもどれが本物だかわからない。

闇源氏様は、一人ひとりにご丁寧に、

婚約破棄を言い渡している。

「悪役令嬢 毒子、君との婚約を破棄する」

はいはい、一生、やってろ。

国外追放ですか?

承知いたしました。

ただし、この国には闇源氏様と聖女の七条御息所しか

動ける人間はもういませんことよ。

シャーデンフロイデ。

ざまぁです。

君じゃなきゃだめだといってくれる人を

さあ 探しにいこう



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