いとなみ

春秋花壇

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婚約破棄 貧困の連鎖

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「ごめん、今回の話はなかったことにして欲しい」

「えええええ」

「婚約を破棄する」

なんという一方的な申し出。

しかも、LINEで……。

理由は、なんと貧困の連鎖だというのです。

あの幾重にも重なる灰色の雲のように

わたくしの心は悲しみと失意で一杯になっていくのでございます。

それでも、雲の上には太陽が

さんさんと輝いているはずと思いを変えようとするのですが……。

結納の前に、興信所を使ったのでしょう。

祖父は、元憲兵で戦後戦犯で公職追放で小さな村で収入を得ることができませんでした。

挙句に農地改革で、大きな農家でしたのに、

小作人にほとんど田畑をとられてしまったのでございます。

祖母は、外務省のタイピストでしたのに、小姑9人を養うために

爪をすり減らして少ない田畑を耕したのでございます。

「貧乏人は麦飯を食え」

もっとも、今では麦のほうが米よりも高かったりするらしいのですが……。

母は、父と一緒になったときそこそこの貯蓄がありましたのに、

父が友達の保証人になって、買った家も差し押さえられてしまいました。

「どうも、君とうまく生活する自信がなくなった」

と、おっしゃるのでございます。

確かに、結婚は家と家がするものなのかもしれません。

嫁という字は、女偏に家と書きますもの。

式場もまだ予約していないので、キャンセル料は生じないらしい。

なんとも残念な話でございます。

ここでは貧困の連鎖について説明します。

 貧困が世代を超えて、親から子へと受け継がれてしまうことです。

 特に生活保護世帯で育った子どもが、

大人になって再び生活保護を受ける状態を言います。 

その発生率は、平成18年度の調査によると約25%とされています。

生活保護で育ったわけじゃないのに……。

大塚 綾香 23歳。

お相手は、広瀬 隆志さん 29歳。

彼は、資産家で世間の評価では『玉の輿』だと思われておりました。

ああ、やっぱり、宝くじが当たると幸せにはなれないのかもしれません。

古代ローマでは祭りの時に,ネロ皇帝やアウグスツス皇帝は,

当せん者に賞として奴隷や地所を与えました。

賞として初めて現金が与えられた宝くじとして

記録に残っているものの一つは,

1530年にイタリアのフィレンツェで売り出された宝くじだったようです。

1989年にペンシルバニア州で1億1,500万㌦

(約155億2,500万円)という額になった時もあるようです。

そう、わたくしは、年末ジャンボで1等と前後賞の10億円が当たったんです。

ネットで調べたら、宝くじが当たると

何故か不幸になるという記事を読み、

当たったことは誰にも知らせていない。

なのに、やっぱり、不幸になっていく。

運を使い切ってしまったのでしょうか。

もう少しで、

「宝くじが当たって、10億円あるのよ」

という言葉が、のど元まででかかってしまいました。

そんなことを言って、婚約破棄を免れたとしても

たぶん、広瀬 隆志さんと結婚する意味はないでしょう。

一緒に苦労できる人が結婚相手だと思っているのですから……。


宝くじが当たっても不幸にならない方法

誰にも「宝くじ」を当たったと言わない事

仕事を辞めたり、生活水準を上げない事

「お金の知識」を身につける事


堅く守ってきましたのに。

宝くじに当たっても、まったく使っていないから

むしろ増えております。

山内一豊 妻。見性院は、戦国時代から江戸時代にかけての女性で、土佐藩初代藩主山内一豊の正室である。本名は「千代」とも「まつ」ともいわれるが、定かではない。夫に馬を買わせるために大金を差し出した話や、笠の緒文などの様々な逸話で知られ、良妻賢母の見本とされる。正式な法号は見性院殿且潙宗紹劉大姉。

のように、夫に何かあったときのために使えたらと思っておりました。

さて、彼のために生きられないなら、仕事に生きてみましょう。

ネガティブな心を振り捨てるように仕事に邁進するのでございます。

現在、わたくしはケアーマネージャーを目指して

介護のお仕事をしています。

仕事は結構ハードですけど、

おじいちゃまやおばあちゃまが喜んで下さるから、

とっもやりがいのあるお仕事なんです。

ウンチを取り替えたりしたときは、

そのにおいで吐き気が何日も止まらなかったけど、

一年以上続けてきて、ようやく少し慣れました。

お金の運用のお勉強ですが、

ハイリスクハイリターンではなく、

ロウリスクロウリターンでもいいかなって。

元本保証、元本確定の安全思考。

利息で年の一回か二回、リッチな食事ができればいいかなくらいにしか

考えておりません。

CFPの方とじっくり相談しながら

運用できたらと思っております。

定期預金、個人向け国債、社債、貯蓄型保険、海外積立投資、

今は低金利時代ですから、そんなにあせっても

仕方がないですよね。

時間をかけて、熟成していくのを待ちましょうか。

30年物のバレンタインのように

待つこと、続けること、芳醇な香りをかもし出せる

円熟した大塚 綾香になれたらと思います。


あれから、4年。

介護福祉士実務者研修の実務経験3年もクリアー。

順調に喜びを持って仕事を続けていくことができています。

新型感染症で、いろんな会社がつぶれていきました。

その中に、広瀬 隆志さんのご実家が経営する会社も含まれていたことは

とても残念です。

もしも、わたくしと結婚していたなら、

宝くじで当たった10億円。

前後賞当選に禅後、消灯せん

少しはお役にたっていたかもしれませんわね。

お金の価値がわからないわたくしにとっては、

猫に小判、馬の耳に念仏、豚に真珠

犬に論語 、兎に祭文なのでございますが。

今日は9月1日。

防災記念日でございます。

小さな雨がそぼ降り、

わたくしの心を包むように涼しげな風が流れております。

雅やかな紫をたたえてシコンノボタンの花が静かに

微笑みかけております。

わたくしはこのお花が大好きなのでございます。

縁は異なもの味なもの。

『自然』『平静』『謙虚な輝き』『ひたむきな愛情』『落ち着き』『あなたと踊ろう』 紫紺野牡丹の花色である紫色は、人の気持ちをリラックスさせる効果があります。 そのことのから、「平静」という花言葉が付けられました。 「謙虚な輝き」という花言葉は、英名のGlory bush(輝きの木)に由来します。

芙蓉、宮城野萩、丸葉萩、山萩、桔梗、

曙草、すすき、水引。我木香、つりがね人参、

嫁菜、秋の麒麟草、蔓人参、梅鉢草、山ぼくち、

大毛たで、秋明菊、秋丁字、紫苑、大文字草、

田舎菊、藤袴、浜菊、達磨菊。

9月は茶花も増えて地球とたくさん仲好しできます。

うなじの後れ毛に白い細い指を絡める。

微かにドルチェ&ガッバーナが薫る。

きりぎすは羽で鳴くかよ

蝉や腹で鳴く

わたしゃあなたの胸で泣くヨ

ソウダソウダマッタクダンヨ

今年も夏の忘れ物、つくつくぼうしが

過ぎ行く夏を惜しむように鳴いております。

鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

わたくしは、今でも広瀬 隆志さんの胸で泣きたいと思ってるのですが、

女々しゅうございますね。


追記

宝くじが当たると不幸になる。

たぶん、あたりなのでしょう。

一生懸命生きてきた祖父母を病気とアディクションの

デパートのような母を憐れだと思ってしまうようになったのですから。

それでも、お金では買えない心のおもてなしを

教わったように思えるのは、わたくしの思い過ごしなのでしょうか。

読んでくださって、ありがとうございます。
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