いとなみ

春秋花壇

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婚約破棄 文月

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 梅雨明けの太陽は、これでもかというほどぎらぎらと照り付けてくる。

焼けつく白い砂は、歩くことも困難なほど、熱かった。

寄せては返す白い波は、うたかたの夢のように泡となって消え、

爽やかな潮騒と共に香りをいざなう。

ああ、御宿は夏真っ盛り。

サーファーたちが集い、まだまばらな海水浴を楽しんでいた。


四日間の催し、寄っかかんのも良~し
入退院を繰り返すニュー隊員、送り返す
よくできた内容ですが、欲で汚いようです。
密会上達すると3日以上勃つ
ウクライナ人だっていうくらい馴染んだって
シルバー人口構成を知るバージン高校生
三田友梨佳も目で見たゆりかもめ
My毛布に、麻衣もウフ❤
マジかわいいけど、間近はいい
「イワシ・タイ・ナマズ」って言わしたいな、まず。


7月文月はじめ、海開きは始まったばかり。

青山 めぐみ18歳は、夏休み前のウイークデイを授業をさぼって、

海を見に来ていた。

10年前の7月、わたくしは突然、婚約を破棄された。

理由は、簡単に言うと、ブスだから。

8歳くらいのわたくしは、アデノイドで口から息をし、

アデノイド顔貌とまではいかないが、

確かに美しく聡明そうにはとても見えなかった。

それを、あの人は、いとも簡単に切り捨てた。

当時、小学2年生だったわたくしは、

まるで人生が終わったかのような錯覚にとらわれた。

子供というのは、時にとても残酷で、それは自分に対しても同じこと。

自分を愛することができず、

親のお小言と共に自分をめった刺しにしたのだ。

婚約者の名前は、平岡 洋平。当時21歳であった。

12歳上の彼は、メガネがよく似合う、ちょっと冷たい感じの人だった。

わたくしは、小さな時から、彼のお嫁さんになるものだと思い込んできた。

彼のお嫁さんになるために生まれ、彼の好みの女になるために生きていく。

子供ながら、真剣にそう取り組んでいた。

だから、婚約破棄された時点でわたくしの人生は終わったのだ。

愁いに沈みながら、「モモ」を家で読んでいたとき、

平岡 秀明、婚約者の一つ下の弟はわたくしの家に遊びに来て、

父と碁を打っていた。

彼は医学生であった。

愁いに沈むわたくしを見て、

父に耳鼻科に連れて行ったほうがいいと

提案した。

難聴になってることと、口で息をしているわたくしを見ての

診断だったのだろう。

早速、わたくしは母と耳鼻科を訪れ、

1年くらいの経過を経て、簡単な手術を行った。

臆病なわたくしは、手術中に失神してしまったのだが……。

弟さんは、優しく

「これで、記憶力もよくなって、勉強も楽になる」

と、励ましてくださった。

あれから、わたくしの顔は少しずつ変わっていった。

時々、投げ出したくなるわたくしを弟さんは育て続けてくださった。

はた目から見たら、賢そうな顔に少しずつ変わっていった。

そして、弟さんは、励まし続けてくださった。

「顔は変わるんだよ」

その言葉を頼りに、いつか復讐できる日を夢見て、

今日まで、発声練習、目線の訓練、笑う練習、眉の運動。

上を向いて大きく口を開ける運動。

様々な表情豊かな美人になるための、訓練をしてきた。

勉学ももちろんのこと、なりたい自分になるために

努力してきたのだ。

明日、いよいよ復讐できるかと思うと、

心が躍る。

平岡 洋平30歳はまだ独身。

わたくしを見て、悔しがるだろうか。

婚約破棄を後悔するだろうか。

そんなことを想い浮かべながら、

ぼんやりと海を楽しんでいる。

練乳いちごのかき氷がとても色鮮やかで

口の中いっぱいに広がっていく。

キーンとした冷たさが、のどを潤し、

こめかみに刺激を与える。

一か月前、わたくしは元婚約者の弟、

平岡 秀明から、結婚を申し込まれ、

婚約をした。

明日は、結納なのだ。

お兄様もご一緒にというわたくしの申し出に、

快く承諾していただいた。

今、わたくしの学校での成績は学年トップで、

どこの大学でも行けるだろうというお墨付きを頂いている。

わたくしは本当に頑張ったのだ。

元婚約者が一言でも婚約破棄を悔いてくれたら、

わたくしの人生は新たな一歩を踏み出せる。

醜いアヒルは、美しい白鳥に変身したのだ。

外見だけではない。心も養ってきた。

「モモ」のように、聞き力を養ってきたのだ。

感情移入をしながら、本を読むことも人の話を聞くことも

努力してきた。

体は、食べ物で作られる。

心は言葉によって作られる。

地球に抱かれながら、ゆっくりと深呼吸をする。

光療法をする。自律神経を整える。

今日一日を最高にするために。

何が起きたかではない。

それに対し、どうとらえどう対処したかが問題なのだ。

ああ、キラキラと光る夏の日差しの中で、

わたくしは変化してく自分を楽しんでいる。

成長できる自分を励ます。

そして、なりたい自分に向けて

大きく羽ばたく。

待望の結納の日。

両家そろった中で、元婚約者の口惜しそうな顔。

うふふふふ。

わたくしは、自分に勝った。

夏椿、はまごう、河原撫子、昼顔、弟切草

小鬼百合、露草、待宵草、藤空木、唐松草、

様々な茶花の咲き乱れる美しい庭を

平岡 秀明と青山 めぐみは、寄り添い、

ゆっくりと散歩していた。

水色の絽の着物が夏の暑さにまとわりつく。

衣擦れの雅やかでかすかな音に加えて、

どっとくん、どっくん、

この胸の高鳴りを聞かれてしまうのではないかと

思うくらいの心臓の鼓動。

わたくしは、いま、いいなずけの平岡 秀明さまに、

恋をしているのでございます。

恥ずかしさに、耳まで赤くして。

潤んだ目で彼を見つめます。

すてきな人に出会えてよかった。

偶然、触れた手に頬がばら色に染まります。

胸きゅんです。

何があっても、助け合い、励ましあって、

これからも二人は歩み続けていくことでしょう。

ほら、にこにことお日様も喜んでいます。

冬夏青青。二人は一体となるのでございます。

ありがとうございます。

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